ギリシャで銀行破綻も-ポールソンやブラックロックも炎上か
2015/07/01 16:17 JST
(ブルームバーグ):ギリシャ危機で痛みを感じているのは、シャッターが下りた銀行の外に押し寄せる市民だけではない。ヘッジファンド運営会社ポールソンや資産運用会社ブラックロック といった米国の投資会社が2014年に購入したギリシャの銀行株の価値は、今や半分足らずに下落した。
ブルームバーグが集計したデータによれば、海外投資家が回復期待から積極的な株式投資を行った結果、ギリシャの4つの銀行は110億ドル(約1兆3470億円)を上回る資金を昨年集め、あたかも同国銀行システムへの「信任投票」のようだと受け止められた。別のデータによると、ポールソンとブラックロックのほか、キャピタル・グループとフィデリティ・マネジメント・アンド・リサーチ 、フェアファクス・ファイナンシャル・ホールディングス もギリシャの銀行株を取得した。
ユーロバンク・エルガシアスとギリシャ・ナショナル銀行(NBG)、ピレウス銀行、アルファ銀行の株価は1年後に平均56%急落し、ギリシャの銀行への米投資会社の信頼は裏目に出た。ギリシャがデフォルト(債務不履行)の瀬戸際に追い込まれる状況では、損失の急激な拡大もあり得る。
欧州政策研究所(CEPS)のディエゴ・バリアント研究員は「ギリシャ政府がデフォルト状態に陥れば、投資家はバランスシートに膨大は不良資産を抱え込むことになる」と指摘。ギリシャがデフォルト状態とならなくても、不良債権の急増と過剰保有の国債の価値低下で銀行は破綻する恐れがあると述べ、「出口がどうなるにせよ犠牲は避けられない」との見方を示す。
銀行への資本注入を目的として10年に設立されたギリシャ金融安定基金(HFSF)を除けば、米投資会社が今やこれらの銀行の上位株主リストに名を連ねる。
ポールソンとフェアファクスは、それぞれピレウス銀とユーロバンクの第2位の株主であり、キャピタル・グループも2行の上位5位に入る株主。ポールソンは今年3月末時点でピレウス銀株式の6.6%を保有しており、投資が開示された段階での持ち分の価値は約6億5500万ユーロ(約893億円)。
原題:Paulson, Fairfax Among Investors Caught Out in Greek Crisis (1)(抜粋)
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更新日時: 2015/07/01 16:17 JST