EU交渉:ギリシャ側が突然退席 再建策、合意寸前決裂
毎日新聞 2015年06月30日 21時46分(最終更新 06月30日 23時23分)
【ブリュッセル斎藤義彦】欧州連合(EU)などが示した財政再建策をギリシャが国民投票にかける問題で、EUとギリシャが再建策で合意寸前だったことが、EU首脳らの証言で明らかになった。ギリシャに「大盤振る舞い」(メルケル独首相)の再建案を示した26日夜、ギリシャが突然、交渉の席を立ち、チプラス首相が国民投票実施を表明した。再建案が合意寸前だったのにいったん白紙に戻すような国民投票にEU側は、激怒、失望したのが実情だ。
ユンケル欧州委員長は30日、ギリシャが再建案の主要点を「歓迎」していたと明かし、交渉の「山(の頂上)に登る最後の数分でギリシャは扉を閉じた」として「深い悲しみ」を表明した。オランド仏大統領も29日、国民投票は「遺憾」と述べ、その理由として「合意にほとんど近づいていた」点を挙げた。ショイブレ独財務相も27日「準決勝まで行っていた」と話した。
ユンケル委員長の説明によると、欧州委、国際通貨基金(IMF)、欧州中央銀行(ECB)の担当者とギリシャの交渉担当者が26日夜に協議を行った。交渉は順調に進み、ユンケル委員長はチプラス首相に、再建策は翌日のユーロ圏財務相会合で合意でき、同時に11月まで155億ユーロ(約2兆1000億円)の支援を行うとの意向を伝えた。その後、突然、ギリシャの交渉担当者が退席、EU首脳らへの予告なしに27日未明、チプラス首相が7月5日に国民投票を実施、再建策を拒否するよう呼びかけた。「信頼が壊された」とショイブレ財務相は厳しく批判した。