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 箱根山(神奈川県)の大涌谷(おおわくだに)周辺でごく小規模な噴火があったことが確認され、地元の箱根町は30日午後、新たに立ち入りが規制された区域の住宅や旅館など32棟に避難指示を出した。気象庁は「今後も火口域から半径約1キロの範囲で、小規模な噴火に伴って噴石が飛散する可能性がある」と警戒を呼びかけており、夏の観光シーズンを迎える地元に不安が広がっている。

 噴火が確認されたことで、気象庁は箱根山の噴火警戒レベルを2(火口周辺規制)から3(入山規制)に引き上げた。立ち入り規制の範囲は火口域の半径300メートルから1キロメートルに広げられ、箱根町強羅と仙石原の旅館、別荘、住宅などに避難指示が出た。対象者は通勤している人も含めて70人。対象の宿泊施設は130人まで収容できるという。

 政府は30日午後、危機管理センター内に情報連絡室を設置。山谷えり子防災担当相は関係省庁の災害警戒会議で、「安全確保に万全の態勢で対応してほしい」と指示する一方、「芦ノ湖など主要観光地は今回の規制範囲外」と強調し、観光地を訪れようとする人に冷静な対応を呼びかけた。

 気象庁によると、噴火は大涌谷周辺で29日に見つかった新たな噴気孔で発生。火山灰や火山礫(れき)とみられる噴出物が周辺で盛り上がり、直径30センチほどの噴石のようなものも確認されたという。

 箱根山では30日朝から火山性地震が増加、同日午後3時までに571回を観測した。一方、今回の噴火に伴って、地下のマグマの上昇は確認されておらず、同庁は「水蒸気噴火の可能性が高い」としている。(鈴木逸弘、桑山敏成)