中国電力:島根原発の放射性廃棄物 点検書類を偽造

毎日新聞 2015年06月30日 20時27分

 中国電力は30日、島根原発(松江市)の低レベル放射性廃棄物をセメントで固めてドラム缶に詰める際に使う水やモルタルの流量計の点検を2013年11月以降怠るミスがあったと発表した。担当社員は点検したと装うため、書類を偽造していた。缶外への放射能漏れなど外部への影響はないというが、中国電は廃棄物を詰めたドラム缶1240本の日本原燃低レベル放射性廃棄物埋設センター(青森県)への搬出を取りやめた。

 中国電によると、点検を怠っていたのは水やモルタルの量を測る3台で、水を測る機器は半年ごと、モルタルの流量計は1年ごとの点検(校正)が必要だった。

 廃棄物を受け取る側の日本原燃の監査でミスが発覚。中国電では30代の社員が1人で担当しており、「委託業者に点検を依頼するのを忘れた」と話しているという。中国電が昨年10月、この社員に点検記録の提出を求めた際には、過去の点検記録のコピーで書類を偽装したり、検査日を改ざんしたりしていた。決裁のための上司の印影を偽造した形跡もあった。

 島根原発を巡っては10年3月に機器の点検・交換漏れが発覚している。中国電の苅田知英社長は島根県庁で記者会見し、「失った信頼を取り戻すために取り組んできた。このような事案が起き、重く受け止めている」と謝罪した。島根県と松江市は30日夕、中国電と結んでいる安全協定に基づき、島根原発を立ち入り調査した。【曽根田和久】

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