購入者が支払った補償金は、SARVHが受領する。SARVHは、補償金の返還請求に備えた返還基金(還付引当基金)、管理手数料(SARVHの運営経費、補償金収入の20%以内)、共通目的基金(20%)を控除し、残りを分配基金として権利者に分配する。
補償金を受領する権利者団体は、SARVHに参加する著作権者、著作隣接権者の以下15団体である。
上記15団体に対する補償金の分配の割合は、分配基金を100として、著作権者団体(11団体)である「私的録画著作権者協議会」が68%、このうち、映像製作者団体(7団体)が36%、音楽団体が16%、文芸3団体が16%である。著作隣接権者団体は32%、このうち実演家団体(2団体)が29%、レコード製作者団体として2団体が3%である。日本音楽事業者協会は日本芸能実演家団体協議会を通じて、また音楽出版社協会は日本レコード協会を通じてそれぞれ補償金を受領する。
(参照:9.私的録画補償金の流れ)
補償金を受け取ることができるのは、この15団体加盟の著作権者・著作隣接権者(権利者)に限られるものではなく、テレビ番組の中で放送された自己の著作物・実演等が特定機器等を用いて私的使用目的で録画された場合であれば、これら15団体に参加していなくても、その権利者は補償金を受け取る権利がある。このため、SARVHは15団体に分配する前に、参加15団体以外の権利者のための補償金として、分配基金総額の5%を充てる準備をしている。ただしこの場合、参加15団体以外の分野の著作物の著作権者であることが前提になる。
参加15団体と同じ分野の権利者の場合は、15団体のいずれかの同じ分野の団体に補償金を請求する。各団体とも分配額の一部を、外部権利者からの請求に充てることにして、それぞれ準備している。
映像製作者団体の場合も、同様にそれぞれの団体が補償金を準備しなければならないが、映像関係では非参加の映像製作者団体等が多いため、7団体がまとまって独自にこれら外部の映像製作者等の補償金請求に備えた基金を準備している。
(参照:9.私的録画補償金の流れ)
特定機器等を購入の際、購入者が支払った補償金は、毎年度9月末と3月末の2回に分けて製造業者団体、輸入業者からSARVHに支払われる。補償金が支払われる期間は上期と下期に分かれ、例えば上期の4月~9月に購入者が支払った補償金は半年後の翌年3月末に、下期の10月~翌年3月の分は9月末にそれぞれ支払われる。
SARVHは前述の所定の控除額を控除したのち、各権利者団体に毎年2回、5月と11月に分配する。