放火を想定、04年基準強化=韓国の地下鉄火災受け―延焼抑えた可能性・国交省
時事通信 6月30日(火)22時29分配信
約半世紀前の開業以来、事故による死亡者ゼロを誇っていた東海道新幹線。火災は乗客が故意に油をまいたのが原因とみられるが、国土交通省は死傷者の発生にショックを隠せなかった。一方、韓国で12年前に起きた地下鉄火災を契機に車内での放火も想定し、耐火基準を強化したといい、ある幹部は「被害の拡大を抑えることができた」と話す。
国交省によると、火災が起きた先頭車両には、運転室と客室に各2本の消火器が設置されていた。運転士は2号車の非常ブザーが押されたのを知り、緊急停止させて消火作業に当たったという。
車内は一時煙に包まれたが、延焼は前方のデッキ付近にとどまったとされる。他の車両に異常はなく、16両編成の「のぞみ」は火災発生から約2時間半後に小田原駅へ向けて自走を始めた。
国交省は他の車両への延焼を抑えた要因として、耐火基準の強化を挙げる。契機となったのが、韓国の大邱で2003年2月、地下鉄の車内で男がガソリンをまいて放火した事件。火は車両全体に燃え広がり、対向列車にも延焼し、約200人が死亡した。
この火災を受け、国交省はそれまで想定していなかった車内の放火を念頭に置き、04年に耐火基準を改定。天井部分に用いる素材について、延焼しにくくするよう鉄道各社に通達した。同省幹部は「死傷者が出たのは残念だが、対策を強化していたことで、被害を抑えることができた可能性が高い」と話した。
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