ビンラディン暗殺の真実を暴露した記事が全米で大波紋、これはオバマへの警告なのか?
週プレNEWS 6月8日(月)6時0分配信
アメリカがアルカイダに勝利した「栄光の瞬間」が、一転してオバマ政権の最大の汚点となる可能性が出てきた。
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アメリカの著名ジャーナリストが「ビンラディン暗殺作戦は茶番だった」とする記事を発表し大きな波紋を呼んでいるのだ。
掲載されたのは、今年5月10日発売の英誌『ロンドン・レビュー・オブ・ブックス』。筆者は、ピュリツァー賞も受賞した大物ジャーナリストのシーモア・ハーシュだ。
これまで、ビンラディン暗殺作戦に関する報道はほとんど黙殺してきたオバマ政権も、さすがにハーシュは無視できなかったようだ。ホワイトハウスやペンタゴンのスポークスマンは「ほとんどは作り話」「間違いだらけ」などと火消しに躍起になっている。
ハーシュの主張はこうだ。
これまでオバマ政権は「アメリカの諜報機関がビンラディンの潜伏先を発見。本人の確証は得られなかったが突入に踏み切り、銃撃戦の末、殺害した」と公式発表してきた。
しかしハーシュの記事によると「ビンラディンを見つけ出したのは、アメリカではなくパキスタン軍の情報機関。ビンラディンは難病を患っており、彼の主治医からDNAがパキスタン軍を経由してアメリカに渡り、本人を特定した。さらに突入時も銃撃戦はなく、実際は無抵抗な状態で射殺した」という。
その真偽のほどは不明だが、なぜ今これが暴露され、そこまで波紋を呼んだのか…少し視点をずらし、「ハーシュの記事が出たことで、誰が得をするのか」が問題となる。中東の対テロ戦争の最前線で戦う、ある日本人コントラクター(傭兵)はこう語る。
「記事が出てアメリカとパキスタンの関係がギクシャクすれば、パキスタンは保有する核兵器をサウジアラビアなど湾岸諸国に渡しやすくなる。これはオバマ政権が事実上、核開発を黙認したイランに対する牽制(けんせい)となります。
では今、イランを牽制したい国でこれだけの仕掛けができるのはどこか? そう考えると、どうも背後にはイスラエルの影が見える気がしてならない。ハーシュはユダヤ系で、かつてイスラエルの核保有を真っ先にスクープしたように、イスラエルに強いパイプを持っていることは間違いありませんから」
国際ジャーナリストの河合洋一郎氏も次のように補足する。
「アメリカの大統領は、2期目に入ると歴史を意識する。オバマはすでにノーベル平和賞を受賞していますが、まだ外交の実績に乏しいためパレスチナ和平交渉やイランとの関係正常化に本腰を入れる可能性は十分にある。
しかしこれはイスラエルにとっては迷惑この上ない話。そんなオバマへの最初の“牽制球”が、この暴露記事だと考えることもできる。まだまだおまえのスキャンダルは握っているぞ、というメッセージというわけです」
臆測が臆測を呼ぶ謀略の世界。「真実」は永久に闇の中なのだろうか…。
(取材/小峯隆生 世良光弘)
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