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七 口をつぐむ証人者事件
織田原と伴刑事は、安藤の家の裏庭の小径をゆっくりと歩いていた。
その小径は白い石灰の粉でラインを引いたばかりの裏口のポーチから裏庭のガレージまで続いていた。
伴刑事が言った。
「安藤は軽部が殺されるところを絶対見ている筈なんです。唯一貴重な目撃者なのに何も見ていないと言うんですよ」
「あれは何かね?」
織田原が小径に点々と続いている石灰の染みを指差した。
「ちょうど殺人事件が起きた頃、安藤は小径のライン引きを塗り終えて、そのラインカーをガレージに片づけていました。ガレージに入るまで、ラインカーから石灰が部分的に漏れていることに気づかなかったと言っています」
織田原は石灰の染みについて、よく調べた。
ポーチからガレージまで点々と続いている染みは、手前半分は約1メートルごとに綺麗な円になっていたが、残り半分は約20センチ程間隔が広がり、何やらお粗末な円となっていた。織田原の予想通り、ガレージの内側には鉄の杭が散乱していた。
「安藤は大変怯えきっています」
と伴刑事が言った。
「まるで貝のように口を閉ざしてしまって。軽部が殺される現場を目撃していたとしても、それを証明してみせなければ、あの口を開かせることはできないでしょうね」
「殺人を目撃したことを認めれば、犯人に復讐されると怯えているのでしょう」
織田原は言った。
「でも、彼が見てしまったことは間違いありませーん!」
問七 どうして織田原はそれがわかったのでしょうか?
(制限時間1分間の推理をして下さい。答えは下記の通り)
正解七
石灰の染みから、安藤は小径の半分まで来たところで殺人を目撃したのだとわかったのです。
残り半分の石灰の染みは、お粗末な円になり、その間隔も広がっていました。
それは安藤が動揺してそこから駆け出したからです。
ガレージ内にあった鉄の杭は、ガレージの扉を開かないようにする為、つまり安藤が怯えながら、ガレージ内に閉じこもっていたこともわかりました。
織田原任三郎でした……。
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