挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
1分間のミステリー事件簿 作者:蝦夷川乱歩
1/10

一 ヒッチハイカー事件

 「ふうーっ。乗せていただきどうもありがとうございます」

青年は黒いリュックサックを背中から下ろして、エアコンがギンギンに効いたトラックのハンドルを握っている50代前半の男の助手席に乗り込んだ。

「いやあーしかし今日は暑いですね?」

「全くだ」

トラックの運転手が答えた。

青年は一息つきたい気持ちとなり、リュックサックからとても冷えたガリガリ君のアイスキャンディを取り出して、その一つを運転手の男に差し出した。

「いや、いらねえよ!」

アクセルを全開に踏み込みながら、運転手の男が答えた。

「ハハハハ、誰かを追跡でもしているんですか?」

「ついさっきだ、山梨某銀行が四人組の強盗に襲われてな。黒い大型のジープで逃走したんだ」

「えっ」

ヒッチハイカーは驚いた。

「ほんの数分前に黒いジープを見ましたよ。それも四人の男達が乗っていました。危うくもう少しでひかれるところでしたよ。一時間以上も待って、ようやく目の前を通りかかった車だったのに・・・。でも、その車は右に曲がって東に向かいましたよ。南じゃなくて」

それを聞いた運転手の男は急ブレーキをかけて、車をUターンさせた。

「おい、今日は道路に陽炎が立っているよな」

「そうですね」

ヒッチハイカーもうなずいた。

今日は日陰でも軽く摂氏三十五度以上あるだろう。

「あれっ、曲がり角を通り過ぎましたよ。一体何処に向かっているのですか?」

「警察署さ」

ぶっきらぼうな感じで運転手の男はそう答えた。



問一 どうしてトラックの運転手はまっすぐ警察署に向かったのでしょうか?

  (制限時間1分間の推理をして下さい。答えは下記の通り)




















正解一 

 警察署に着くと、ヒッチハイカーは、自分は強盗の一味で、追っ手をかく乱させる為にあえて残ったことをすぐに白状しました。

「とても冷えた」ガリガリ君のアイスキャンディを取り出して、その一つを運転手の男に差し出したことを考えると、彼は明らかに嘘をついているからです。

摂氏三十五度以上の暑さの中を一時間以上立っていたのなら、アイスキャンディはとっくに軟らかく、溶けているはずです。


織田原任三郎でした……。









+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。

Ads by i-mobile

↑ページトップへ