[口永良部1カ月] 帰島まで息長い支援を
( 6/30 付 )

 何より不安なのは、避難解除の時期が見通せないことだろう。屋久島町・口永良部島の新岳が爆発し、住民が屋久島に全島避難してから1カ月が過ぎた。

 公営住宅への入居が進み、仮設住宅の建設にも着工した。避難住民の生活の場は、少しずつ整ってきている。

 しかし、暮らしを支える仕事はまだ、決まっていない人が多い。長引く避難生活で、健康面や精神面に不安を抱える人もいる。

 気象台によると、火山活動は依然高まった状態が続いている。噴火警戒レベルは5(避難)のままだ。

 避難は長期化が避けられない様相である。住民の心に寄り添い、帰島が実現するまで息の長い支援を続けたい。

 本紙の取材に住民の一人は、「がむしゃらに日々を過ごすのがやっとだった」と振り返った。着の身着のままで島を出てきた人たちにとって、無我夢中の1カ月だったことだろう。

 この間、住宅には一定のめどがついた。公営住宅や民間住宅に、合わせて39世帯66人が移った。仮設住宅は7月29日に完成予定で、今も避難所に生活する住民を中心に27世帯47人が入る予定だ。

 一方、避難先で働き始めた人は少数のようだ。仕事は生活の基盤でもある。住民の希望に添った雇用の受け皿を整えたい。

 生活環境が変わり、コミュニティーの維持が困難になることへの不安の声も聞かれる。

 町は情報が行き届くように、避難住民の電話連絡網をつくった。建設中の仮設住宅には人々が集える談話室も設ける予定だ。島民の絆が断ち切られることがないよう、引き続き心配りを願いたい。

 避難住民への支援は広がっている。義援金や支援物資が全国から届いているのは有り難い。

 それでも、経済的な支えには限界がある。

 今のところ住宅被害が確認できていないことから、支援金が支給される被災者生活再建支援制度の対象になっていない。

 町は独自に見舞金を支給しているが、避難が長期化すれば、町だけで支えるのは困難である。

 鹿児島県議会は、避難生活の支援策強化などを国に求める意見書を可決した。国や県は、実態に合わせた柔軟な支援を検討してほしい。

 29日の住民説明会では、火山活動や不安定な天候のため、一時帰島の日程は示されなかった。

 「せめて生活に必要な品を持ち出したい」という住民の願いが一日も早くかなうことを望む。


 
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