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元少年の手記「制限するケースに当たらず」
6月29日 16時35分

元少年の手記「制限するケースに当たらず」
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平成9年に神戸市で起きた児童連続殺傷事件の加害者の元少年が出版した手記を巡って全国の図書館で取り扱いが分かれていることについて、「日本図書館協会」は「本の扱いを制限するケースには当たらない」とする見解を示しました。
元少年が出版した手記を巡っては殺害された児童の父親が出版の中止を求めていて、全国の図書館では購入を見送る所がある一方で、一般の本と同じように貸し出しを行う所もあり、対応が分かれています。
全国の図書館で作る「日本図書館協会」は29日、ホームページで協会としての見解を示し全国に周知しました。見解は「国民の知る自由を保障する機関として、図書館が資料を集めることを制限すべきではない。また、図書館での貸し出しや閲覧などを例外的に制限する場合には差し止める司法判断が出て図書館に通知され、被害者が図書館に対して提供しないよう求めた時、という要件が必要だ。今回は制限を行うケースには当てはまらない」と指摘しています。
図書館の自由委員会、西河内靖泰委員長は「今回のように社会的に関心が高い本の場合は読み手である市民が判断できるようにすべきだ」としています。

見解の根幹に「図書館の自由宣言」

今回の見解の根幹となっているのが「日本図書館協会」が昭和29年に採択した「図書館の自由に関する宣言」です。
戦前の図書館が国の検閲を受けた本だけを提供し思想統制の一翼を担ってしまったという過去の反省から生まれたもので「国民の知る自由を保障する」ことを基本としてうたっています。さらに宣言には、本を幅広く収集することや、原則として自由に利用してもらえるようにすること、思想や言論を抑圧するあらゆる干渉に反対することなどが明記されています。

図書館の利用巡る最近の事例

日本図書館協会は昭和29年に採択された「図書館の自由に関する宣言」を基にこれまでも閲覧や貸し出しの制限に対する見解を示してきました。
このうち「はだしのゲン」を巡って3年前、松江市教育委員会が小中学校に自由に閲覧できないよう要請したことがありました。日本図書館協会はこれに対し「資料を特別扱いしたり書架から撤去したりしない」と宣言に記されていることを引用し「学校図書館の自由な利用がゆがむことを深く懸念する」として見直しを求めています。
また先月は、在日韓国・朝鮮人を批判する内容の図書が人権侵害に当たるとして一部の市民団体から閲覧の中止を求められたということです。これに対しては「『人権』ということばを広く解して市民のアクセスを制約することは国民の知る自由を保障する図書館として慎重であるべき」などとしたうえで、本の扱いについては図書館が自主的に判断するべきだというコメントを公表しています。

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