手記「絶歌」:貸し出し制限に該当せず…図書館協会が見解

毎日新聞 2015年06月29日 21時07分(最終更新 06月29日 22時38分)

ビニールシートを張り、中学校門を捜査する兵庫県警の捜査員=神戸市須磨区で1997年5月27日、北村隆夫撮影
ビニールシートを張り、中学校門を捜査する兵庫県警の捜査員=神戸市須磨区で1997年5月27日、北村隆夫撮影

 神戸市須磨区で1997年に起きた連続児童殺傷事件の加害男性(32)による手記「絶歌」について、全国の図書館などが加盟する公益社団法人「日本図書館協会」(東京)は29日、貸し出しなどの提供を制限するケースには当たらないとする見解を発表した。

 見解は協会のホームページに掲示し、「図書館は国民の知る自由を保障する」「(思想など)著者の立場にとらわれて著作を排除しない」などとした過去の声明を引用。例外的に提供を制限するのは、頒布差し止めの司法判断がある▽被害者が図書館に制限を求めている−−など3要件を全て満たした場合に限り、今回は「該当しない」と示した。

 協会は取材に「図書館の対応を縛るものではなく、個々に判断してほしい」としている。

 手記を巡っては、取り扱わない書店が出るなどの波紋が全国に広がり、神戸市や兵庫県明石市は市立図書館で購入しないことを決めている。【茶谷亮】

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