●更新日 06/29●






『マンガ家は儲かるの? 誰もがワンピース描けるわけじゃないけど』岡田斗司夫





発売中の少年ジャンプで、『ワンピース』がギネス入りした、と特集している。
「1人の作者が描いたコミック累計発行部数が世界最多」としてギネス世界記録に認定された。
ギネス・ワールド・レコーズによると、昨年末の時点で、約3億2086万6000冊を売ったことになる。
まぁ「1人の作者が描いた」という注釈が入るのは、複数スタッフ制度のアメコミなら「X−MEN」の5億部とか、バケモノみたいな作品が他にあるからだ。

いまや唯一のジャパニーズドリームと言われるマンガ家業。
「ワンピース」だったら原稿料で年間5000万。単行本の印税で年間13億以上。
テレビアニメ1話あたりの原作使用料が30万だから、年間で1500万。映画版でも使用料で100万円はもらえる。
一番大きいのはキャラクター化権などのグッズ販売。これが15億程度。
海外での収入はあんがい少なくて2億円。
ざっと合計で30億円以上が【毎年】の収入になる。

「ドラゴンボール」なんかは連載が終わったのはもう20年前なのに、いまだキャラクター権での収入が年間5億以上だとか。

と、ここまでは「誰でも知ってる売れているマンガ家」の話。
では売れていないマンガ家や、「そこそこ」のマンガ家は?

日経BPが以前に面白い調査をした。
まず、いま日本にはマンガ家が何人いるのか?
セルシスの川上陽介氏によると「プロが5000人、アマチュアは20〜30万人」だと言う。
セルシスはマンガやアニメのIT化でトップメーカーだから、この数字は信じて大丈夫。

プロのマンガ家5000人の年収は、わからない。というよりあまりにバラバラで平均値を求める意味がない。
ただ言えるのは「20世紀中に単行本を出した作家は、比較的楽に暮らしている」ということかな?

たとえば僕の知り合いの、マンガ家の話。
Aさんはマンガ家としては知名度は低い。どっちかというとマンガに関するエッセイやテレビ出演などが有名。でもマンガ関係者以外に名前が広く知られている、というほどではない。
しかし都内に持ち家があり、リゾートに別荘もある。

Bさんは都心の超一等地に豪邸がある。マンガ家としての知名度は高いし、アニメ化も経験している。すべて20年以上前の作品だけど、生活には困っていない。

Cさんはいまだに「現役でマンガ家であること」にこだわっている。Cさんもヒットを出したのは20年以上前。最近はネットなどで作品を公開している。

3人とも、20世紀のウチに、つまり子ども人口が多くてネット影響力が少なかった時代に単行本が出せた。
だから当時の子供たちなら誰でも名前を知っていたし、いまその子供たちが編集者や雑誌・新聞の記者になって彼らに仕事を発注してくれる。

この場合の仕事とはマンガとは限らない。
マンガよりもずっと原稿料単価が高く、コスパの良いイラストの仕事。
テレビタレントとしての仕事。
エッセイストとしての仕事。
そういうマンガ家近辺の仕事で、かなり喰えている、というのが「そこそこのマンガ家」の実態だろう。

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岡田斗司夫 岡田斗司夫


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