鈴木逸弘
2015年6月30日04時01分
気象庁は29日、箱根山(神奈川県)の大涌谷周辺で新たな噴気孔を確認し、ここから土砂が噴き上げられ、箱根山周辺に降下したとみられると発表した。同庁は、大涌谷の想定火口域周辺では小規模な噴火の可能性があるとして、引き続き警戒を呼びかけている。
気象庁によると、午後0時45分ごろ、同庁の機動観測班が大涌谷の北約1・2キロの上湯場(かみゆば)付近で、車の窓ガラスに白っぽい粉状のものが付着しているのを発見。箱根町強羅地区の2カ所でも同様の物質が確認されたという。
箱根山では、同日午前7時台から火山性地震が増加するなど、火山活動が高まった状態だった。同7時半ごろには、地下のマグマや熱水などの動きを示す火山性微動も確認。同9時すぎと正午すぎには、箱根町湯本で震度1の有感地震も発生した。
気象庁などの現地調査の結果、大涌谷の噴気地帯で直径10メートルほどの地滑りを確認。ここにできた新たな噴気孔を土砂が覆い、噴気で噴き上げられたとしている。同庁は今回の現象は「現時点では噴火ではない」とするが、過去の同様の現象を噴火としたケースもある。同庁は「爆発を伴った噴き上げであれば噴火とするが、今回はそれに当たらない」と説明している。
箱根山の大涌谷周辺では、火山性地震が増加したことから、5月6日に噴火警戒レベルを2(火口周辺規制)に引きあげた。(鈴木逸弘)
■噴火を誘発したと考える方が自然
〈小山真人・静岡大教授(火山学)の話〉 噴火でないというのは奇妙な感じだ。固形物が飛んだ距離と継続時間が長く、地震活動も連動している。火山学的には固形物が急激に出れば原因を問わず噴火という。地下の熱水活動が地滑りを引き起こし、噴火を誘発したと考える方が自然だ。地滑りで噴気が詰まれば強い爆発のおそれもある。レベル3に上げて規制範囲を広げることも検討すべきだ。
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