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【社会】

放射性廃棄物 輸送容器 ボルト破損 4カ月超報告せず

 原燃輸送(東京)は二十七日、低レベル放射性廃棄物を海上輸送する際に使う金属製容器のふたを固定するボルト計五本が折れているのが見つかったと発表した。同社は輸送中に折れたケースはないと説明し「環境への影響はなかった」としている。

 国土交通省は二十七日、原燃輸送に対し、安全が確認されるまで低レベル放射性廃棄物を輸送しないよう命じた。同社が輸送を独占しているため、全国の原発から当面、運び出せなくなる。

 国交省によると、原燃輸送は二月にボルトが折れていたことに気付いたが「特異な事例」と判断して四カ月以上、同省に報告していなかった。

 国交省や原燃輸送によると、同社は二月、青森県六ケ所村の保管施設で空容器を点検中、一個の容器に付いているボルト四本のうち一本が折れているのを確認した。

 今月二十二日にも、関西電力美浜原発(福井県美浜町)で輸送の準備中に一本折れているのを見つけた。同二十五日に六ケ所村の保管施設でも一本の破損を発見。他の容器を点検したところ、新たに二本折れているのが見つかった。

 容器は二百リットルのドラム缶八本を収納。原燃輸送は全国の原発から年間でドラム缶約一万本を運んでいる。国交省は「年間の輸送回数は十回程度」としている。

 原燃輸送は二〇〇九年四月、容器のボルトが緩んでいたケースがあったとして、国交省から厳重注意を受けた。

 低レベル放射性廃棄物は、原発で使用した作業着や機器などをセメントなどで固めたもの。ドラム缶の中に密閉し、専用の容器で運ぶ。

 

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