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【エルマウサミットの舞台裏(下)】
「学級崩壊」変えたシンゾー流 メルケル首相「シンゾーの発言で締めくくろう」
自国の主張しかしない各国首脳と異なり、出席者同士の和を尊重し、話をまとめていこうとするのが日本流の議論の進め方だ。そんな安倍首相の姿勢が評価されたのか、ワーキングディナーでは、デザートが出だした終盤に来て、メルケル首相がこう発言を促した。
「昼のセッションで『夜にシンゾーから中国と南シナ海の問題を聞こう』となっていた。シンゾーの言うことにみんな反対はないのだから、シンゾーの発言で締めくくろう」
安倍首相は、南シナ海での中国の軍事的野心について詳しく説明し、併せて北朝鮮やイスラム教スンニ派過激組織「イスラム国」による邦人殺害脅迫事件にも言及した。
議論をリードした結果、最終日に取りまとめられた首脳宣言には、中国による岩礁埋め立てに関し「強く反対する」という文言が明記された。
「日本は経済が好調な上、安全保障法制でも新しいことをやろうとしているので一目置かれている」
安倍首相は今回のサミットを周囲にこう振り返る。来年5月の「伊勢志摩サミット」での主導権確保に向け、さらに基盤を整えられるかが問われる。(阿比留瑠比、桑原雄尚、千田恒弥)