高脂肪食に高レベルの塩分を加えると体重が増加しなかったという、動物実験の結果が出た。
にわかには信じがたい結果で、研究グループも驚きを隠さないが、そのまま生活に取り入れるのではなく、何らかの薬につなげないかと見ているようだ。
米国アイオワ大学の研究グループが、国際的科学誌ネイチャー系のオンライン誌サイエンス・リポーツで2015年6月11日に報告した。
ファストフードで太るよね
ファストフードと加工食品が体内の快楽を呼び起こして太らせる、というのは、現状ではほぼ通説のようになっている。実際に研究報告でもファストフードは肥満につながるといった報告も珍しくはない(肥満を防ぐファストフード店のメニュー、書くと良いのは「歩く時間」「歩く距離」)。
研究グループは、脂肪と塩分が一緒になると、食事の摂取量と体重を増加させるだろうと考えた。
ネズミのエサを変えて実験
そうした仮説に基づくネズミを使った実験を行った。「フレンチフライ」仮説と言われることもあるようだ。
ネズミの1グループに標準食を、その他の5グループでは高脂肪食に異なる塩分量(0.25~4%)を加えた餌を与え各グループの体重の増加量を調査、比較した。
標準食と「同じ」
最も体重増加が多かったのは、高脂肪食で塩分濃度の最も少ない餌を与えたグループだった。16週間でおよそ15gの体重増加があった。
一方、高脂肪食で最も塩分濃度の高い餌を与えたネズミでは、体重増加はおよそ5グラムで、標準食のネズミの体重増加とほぼ同じだった。
消化効率の低下が体重増加を抑制か
塩分の増加は体内の酵素であるレニンの作用に影響を与え、消化管でのカロリー抽出効率が落ちたことによって、体重増加の抑制が起きたと考えられる。
高レベルの塩分を含む食事は体重を抑制する効果があるかも知れないという結果。
研究グループはこうした結果は出たものの、そのような食事は、心臓病や血管病のリスクを増大させると注意を促す。この常識を覆す研究結果を新しい薬の仕組みを考えるのに使えないかと見ている。
「レニン・アンジオテンシン系」と呼ばれる働きを調整することが食事の効率性を減少させ肥満治療の新しいターゲットを提供する可能性がある。
文献情報
High salt in high-fat diet found to prevent weight gain in mice
http://www.medicalnewstoday.com/articles/295322.php
Weidemann BJ et al.Dietary Sodium Suppresses Digestive Efficiency via the Renin-Angiotensin System.Sci Rep. 2015;5:11123.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26068176
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