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【エルマウサミットの舞台裏(下)】
「学級崩壊」変えたシンゾー流 メルケル首相「シンゾーの発言で締めくくろう」
「サミット冒頭に基調発言をしてほしい」
安倍晋三首相は、ドイツ・エルマウ城で開かれた主要国首脳会議(サミット、G7)に先立ち、議長のメルケル首相からこう打診を受けていた。
与えられたテーマは、(1)サミットでG7首脳が一堂に会する意義(2)アベノミクスの現状(3)経済分野での中国への向き合い方-の3点。「セッション1」の討議の冒頭、米国のオバマ大統領が世界のマクロ経済状況を短く語った後、安倍首相がこの3つのテーマについて長めに発言する段取りだった。
ただ、事前におおよそのシナリオがある通常の首脳会談とは違い、各国首脳の発言次第で展開が大きく変わるのがサミットだ。
「セッション1」開始直後にオバマ氏が「世界経済も米国経済も調子がいい。ただ少しリスク要因もある」と述べると、欧州連合(EU)首脳が突然挙手してギリシャ債務問題について発言を求め、メルケル氏も指名してしまったのだ。
サミットは世界の主要国の国益が直接ぶつかり合う場であり、「各国首脳が議論の流れを無視して割り込み、言いたいことだけ言うのはざら。次の発言者がそれに反論せず、また違う主張をしたりする」(日本政府高官)という。今回も出だしから、誰も議論をまとめようとしない「学級崩壊」(同)のような事態が起きてしまった。