青酸連続殺人:サプリ自作、市販装い8人に飲ます

毎日新聞 2015年06月18日 15時00分(最終更新 06月18日 15時26分)

千佐子容疑者が青酸化合物を飲ませたことを認めたとされる8人
千佐子容疑者が青酸化合物を飲ませたことを認めたとされる8人

 カプセル入りのサプリメントを事前に何度も飲ませて信じ込ませた−−。青酸化合物による連続殺人事件で、筧(かけひ)千佐子容疑者(68)=強盗殺人未遂容疑で再逮捕=が相手にカプセルに入れた青酸化合物を飲ませる手口をこう供述していることが捜査関係者への取材で分かった。18日で再逮捕から1週間。捜査当局は青酸の入手方法など残る不明点の捜査を進める。

 捜査関係者によると、千佐子容疑者は自宅や喫茶店で結婚・交際相手計8人に青酸化合物を飲ませたと供述している。

 具体的な手口として、市販されている、カプセルに入った粉末のサプリ3、4個を、ビニールの小袋に入れて相手に渡し「体にいい健康食品」と言って飲ませたと説明しているという。何度かこれを飲ませて習慣にさせた後、殺害する日を決めて青酸入りのカプセルを用意した。

 青酸が入ったカプセルを小袋に入れた後は自宅で熱処理の機器を使って封をし、新品のものに見せかけたとされる。粉末の色の違いを隠したり、量を同じにしたりするため、青酸だけでなく、サプリの粉末も混ぜた。飲ませる前には念のため、千佐子容疑者自身もサプリだけが入ったカプセルを飲んでみせたという。

 千佐子容疑者に青酸を飲まされたとされる男性は全員が高齢者で、健康に気を使っていた人が多かった。大阪、京都、兵庫、奈良の4府県警合同捜査本部は、千佐子容疑者が健康への心配を悪用して、サプリを装った青酸化合物を飲ませていたとみている。

 千佐子容疑者は今月11日、借金返済を逃れる目的で交際相手だった末広利明さん(死亡時79歳)=神戸市北区=を殺害しようと計画、青酸を飲ませたとして再逮捕された。また、既に夫の勇夫さん(当時75歳)=京都府向日市、交際相手の本田正徳(まさのり)さん(当時71歳)=大阪府貝塚市=を青酸で殺害したとして起訴されている。

 ◇入手ルート、捜査の鍵

 事件の捜査で未解明になっているのは青酸化合物の入手経路の特定だ。捜査関係者によると、千佐子容疑者は「瓶に入った青酸を自宅などで保管していたが、その瓶は捨てた」と供述している。瓶の廃棄場所に関する説明は二転三転し、見つかっていない。

 千佐子容疑者は約10年前まで、大阪府貝塚市で衣料などに模様やデザインをプリントする会社を営んでいた。

 一連の事件に使った青酸の入手方法に関し「今から約20年前、会社の取引業者から『プリント作業に失敗したときに使えばインクが落ちる』と言われ瓶詰のものをもらった」と話した。ただ、具体的な業者名や時期については供述は曖昧だ。一般的に印刷関連業者が青酸を扱うことはほぼないとされ、さらに詳しく捜査している。捜査幹部は「事件の全容解明には青酸の入手ルートの特定が不可欠だ」と語る。

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