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共益費未納、団地で送電停止寸前 京都・久御山、自治会対立

京都新聞 6月29日(月)15時28分配信

 京都府久御山町の府営東佐山団地(209戸)で、自治会の運営をめぐり対立が続いている。6月初旬、一部住民の共益費の未払いを理由に、自治会が送電停止の寸前まで共用部分の電気料金を滞納していた。21日に開かれた自治会の臨時集会では、府が未払いの住民と自治会の話し合いを求めたが、折り合いが付かなかった。
■京都府が警告も折り合いつかず
 共益費は各戸月千円で、自治会が徴収している。未払いの住民は4戸で、1戸当たり月500円のみを支払っている。未払いのきっかけは、13年の自治会長が月10万円の報酬を得たことから。500円だった自治会費が同時期に1500円になり、翌年は自治会費500円、共益費千円になった。いずれも自治会の総会で決まったが、一部住民が運営に疑問を感じたという。
 自治会は今年4月、4戸が暮らす3棟(160戸)で共用部分の電気料金の滞納を決めた。5月末「まじめに納めている人が他人の共益費を払っている。不公平をなくすため、4月分から電気料金を滞納している」とした通知を全戸に配布し、停電に理解を求めた。
 共用部分には各戸への給水ポンプも含まれ、府は「入居者の生活に大きな支障が生じる」と双方に支払いを要請。6月2日、自治会に対し、山田啓二知事名の異例の警告文を出した。関西電力は契約者の自治会に送電停止を通知したが、自治会が5日午前中に4月分の電気料金を支払い、停電は回避された。
 その後、府の仲介で4戸は滞納分のうち4〜6月分の共益費を払い、自治会も5月分の電気料金を払った。21日の住民集会で府住宅課の篁雄巳府営住宅管理担当課長は「4戸に圧力をかけるため、160戸のライフラインを止めるという間違った方法はやめてください」と双方に解決に向けた話し合いを要請。未払いの住民は「自治会の通帳を見て納得すれば払う」と話したが、自治会側は「話し合いの間も肩代わりは続く。総会で決まったことを議論しても解決しない」と主張した。自治会側は府に対し、共益費の徴収方法の変更を要望。集会は住民がもみあい紛糾した。
 公営住宅法には共益費について規定がなく、府は徴収していない。自治体が徴収する例は京都市などで一部あるが、府は「低廉な家賃の公営住宅には自治会による徴収が合理的」とする。徴収方法の変更は条例整備が必要という。府は引き続き、4戸に共益費の支払いを求めていくという。
 今回の事態について自治会長は「ここまでしないと、共益費問題について皆さんに分かってもらえなかった。入居させたのは府なので、共益費の徴収も府が責任を持ってほしい」と訴える。
 コミュニティーづくりに詳しい帝塚山大名誉教授の中川幾郎さんは「権利や義務の意識が強くなり、全国で自治会トラブルは頻発している」と指摘。「自治会は昔でいう里山と里川。みんなで一緒に維持していくという姿勢が必要だ」と話している。

最終更新:6月29日(月)15時28分

京都新聞