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 三重県鈴鹿市が、7月4日に市内である集団的自衛権に関する元自衛官の講演会の後援を取り消していたことがわかった。「特定の思想、政治」に反対する事業は後援できないとする市の要綱に該当すると判断。講演会を企画する市民団体は「政治的中立の名の下に自由な議論を妨げようとしている」と反発している。

 講演会は、市内の主婦や教諭らでつくる団体が「元自衛官が語る日本の防衛 集団的自衛権と秘密保護法」と題して開く。兵庫県姫路市の元陸上自衛官、泥(どろ)憲和さん(61)が鈴鹿市文化会館で話す。

 市によると、後援を2月に決めたが、市内に勤めるという2人が6月上旬に来訪。昨年11月に同じ団体が市内で開いた前回の泥さんの講演会の様子が投稿された動画サイトを示し、「市の要綱に合わない」と後援の取り消しを求めた。

 動画では「集団的自衛権反対」「安倍内閣をぶっつぶす」などの表現があった。市は6月18日、市民団体の事務局の萩森繁樹さん(66)らを呼び、7月の講演内容について説明を求めたうえで、「市後援等の取扱いに関する要綱」により24日に後援を取り消した。

 担当の市生涯学習課は、「前回の講演会は反対側の主張で締めくくられ、市民団体は7月の講演も基本的には同じと説明した。今の政治の動きに反対という立場は特定の政治思想に基づく」としている。

 萩森さんは「市に対し、7月の講演内容については答えようがなかった。過剰に政権をおもんぱかっているのではないか」と話す。