働き方・人間関係

フォローする

Myニュース

有料会員の方のみご利用になれます。
気になる連載・コラムをフォローすれば、
「Myニュース」でまとめよみができます。

日本の若者はなぜ立ち上がらないのか 内田樹×城繁幸×原田泰×山田昌弘

(2/4ページ)
2011/10/26 7:00
小サイズに変更
中サイズに変更
大サイズに変更
保存
印刷
リプリント
共有

■内田氏「若者、『連帯の作法』失う」

ローマで行われた抗議デモ(15日)=ロイター
画像の拡大

ローマで行われた抗議デモ(15日)=ロイター

 一方、神戸女学院大学名誉教授で哲学者の内田樹氏(61)は日本の若者たちが格差拡大に対して声をあげないのは、「社会がこの30年間にわたって彼らに刷り込んできたイデオロギーの帰結だ」と説明する。「今の日本の若者たちが格差の拡大や弱者の切り捨てに対して、効果的な抵抗を組織できないでいるのは、彼らが『連帯の作法』というものを失ってしまったから。同じ歴史的状況を生きている、利害をともにする同胞たちとどうやって連帯すればよいのか、その方法を知らない」

 「若者が教え込まれたのは『能力のあるもの、努力をしたものはそれにふさわしい報酬を受け取る権利がある』『能力のないもの、努力を怠ったものはそれにふさわしい罰を受けるべきだ』という『ニンジンとムチ』の教育戦略」。「能力主義」「成果主義」「数値主義」の結果、「弱者の連帯」という発想や、連帯する能力が損なわれたという。

■原田氏「欧米ほど失業率高くない」 城氏「標的がいない」

 エコノミストで大和総研顧問の原田泰氏(61)は「欧米に比べて失業率が高くないことも、デモが起こりにくい理由」とみる。欧米では若年層の失業率は20~40%。スペインでは25歳未満の失業率が8月には46%に達した。これに対して日本では高いとはいえ10%に満たない。「年収200万円でも暮らしていける現実があり、欧米ほど失業が深刻化していない。不満が顕在化しにくい」と原田氏は言う。

原田泰 大和総研顧問

原田泰 大和総研顧問

 欧米に比べ低い失業率の背景として城氏は「日本語の壁」を指摘する。「欧米では低賃金の労働が外国人に次々と取って代わられているが、日本ではまだまだ、日本人の若者が雇用されるケースが多い。日本語が話せることが保護壁となって低賃金の外国人労働者の流入を阻み、若者を失業から守っている」。これが逆に「若者から危機意識を奪っている側面もある」とする。

 城氏はまた、「欧米と違い、日本には明確なデモの対象がいない」ことが若者が立ち上がらない一因だという。「欧米で広がった一連のデモは『ウォール街的なもの』を敵視しているが、日本には『強欲な資本家』が見当たらない。例えば東京電力の経営陣をつかまえても、欧米のように莫大な報酬をもらっているわけではない。ただのサラリーマンにすぎない。どこに向かって拳を上げたらいいのか、実にわかりにくい構造になっている」。

  • 前へ
  • 1ページ
  • 2ページ
  • 3ページ
  • 4ページ
  • 次へ
小サイズに変更
中サイズに変更
大サイズに変更
保存
印刷
リプリント
共有

日本の若者

【PR】

【PR】

働き方・人間関係 一覧

フォローする

Myニュース

有料会員の方のみご利用になれます。
気になる連載・コラムをフォローすれば、
「Myニュース」でまとめよみができます。

社労士労働紛争解決センター埼玉の模擬あっせんの様子。手前にあっせん人が座る(さいたま市浦和区)

職場のいじめ、お金で解決 「あっせん」利用で増加

 職場でいじめられたり、処遇の不当さを感じたりしている人が、裁判ではなく第三者の判断を交えて話し合いで解決する「あっせん」制度を利用し、解決金を受け取って退職する例がここ数年増えている。勤め続けてスト…続き (6/29)

「マタハラNet」代表 小酒部さやかさん

マタハラNet代表に聞く、「現在進行形」の無理解 [有料会員限定]

 妊娠や出産を機に、働く女性が職場で嫌がらせや不当な扱いを受けるマタニティーハラスメント(マタハラ)が後を絶たない。被害者の支援活動で米国務省の「世界の勇気ある女性」賞を3月に受賞した、マタニティハラ…続き (6/22)

就活生からの質問に答える三井物産の社員たち(東京都港区の知るカフェ@慶応大学前店)

就活カフェが充電基地 会社説明会の合間に利用 [有料会員限定]

 就職活動している学生にとって空き時間の過ごし方は悩みの種だ。企業の説明会や面接は東京や大阪のビジネス街などに集中するため、空き時間をどう過ごすかで平均15万円ほどとされる就活費用が膨らむからだ。そん…続き (6/16)

新着記事一覧

最近の記事

【PR】

日経ウーマノミクス・プロジェクト

[PR]