読むナビDJ :第153回:追悼・クリス・スクワイア 栄光の<イエス・マン>名演10選

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第153回:追悼・クリス・スクワイア 栄光の<イエス・マン>名演10選

不意打ちのような訃報で昨日からインターネット上でメッセージが飛び交っています。イエスの全活動に参加した唯一のメンバーの足跡を追いながら哀悼の意を表したいと思います。

この記事の筆者

ミュージック・ペンクラブ・ジャパン会員。ミュージック・マガジン誌、レコード・コレクターズ誌、ギター・マガジン誌などの音楽誌に定期的に寄稿。『木田高介アンソロジー~どこへ』『THE FINAL TAPES はちみつぱいLIVE BOX 1972-1974』『ベルウッド40周年 三浦光紀の仕事』などのCDの解説、共著など多数あり。

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イエスの歴史を支えたベーシスト、クリス・スクワイアが2015年6月27日に、アリゾナ州のフェニックスでこの世を去った。死因は白血病だとされえている。リッケンバッカーのベースを抱えたその姿を、もう見ることはできない。長年にわたりイエスに在籍し、数々の名盤で貢献した。2015年の夏もイエスの北米ツアーが決まっていたのだが、スクワイアは療養に専念するために離脱。68年にイエスが結成されて以来、クリス・スクワイアが参加しないのは初めてのことであった。

本名は、クリストファー・ラッセル・エドワード・スクワイア。1948年にロンドンのキングズバリーで生まれ。65年からは、スティーヴ・ナーデリフランシス・ダナリートム・ブリズリンなどを排出した名門バンド、ザ・シン(The Syn)に在籍。その後は、サイケデリック色の濃いメイベル・グリアーズ・トイショップでベースを弾いた。このバンドはクライヴ・ベイリージョン・アンダーソンピーター・バンクスも関わっており、<プリ・イエス>ともいえる存在であった。

ギターがピーター・バンクスからスティーヴ・ハウに交代し、『サード・アルバム』が発表される頃から、プログレッシヴ度が加速していく。そしてリック・ウェイクマン参加の『こわれもの(Fragile)』、『危機(Close to the Edge)』といったアルバムで、イエスのサウンドが確立されていったのだ。一般的にいえば、「ロンリー・ハート」の大ヒットを放った83年のアルバム『ロンリー・ハート』が一番有名かと思うのだが、終始そのイエスのサウンド・メイクをささえたのが、ベースのクリス・スクワイアであったのだ。

ザ・シン

The Syn 「14 Hour Technicolour Dream」 (1967)


クリス・スクワイアが在籍していたザ・シンの67年に発表されたセカンド・シングル曲。若さと野心に溢れた作品だが、ヒットには至っていない。キーボードのアンドリュー・ジャックマンは、のちにラッシュバークレイ・ジェイムス・ハーヴェストの制作に関わり、イエス『トーマト』のアレンジャーとしてもアルバムに関わっている。



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メイベル・グリアーズ・トイショップ

Mabel Greer's Toyshop 「Beyond and Before」 (1968)


ピーター・バンクスクライヴ・ベイリー、クリス・スクワイア、それにジョン・アンダーソンも一時在籍していたという、まさにイエスの前身と呼ぶのにふさわしいグループだ。音楽性はその後のイエスとは違い、ポップでサイケデリック。この「ビヨンド・アンド・ビフォー」はイエスの『ファースト・アルバム』にも収められているが、クライヴ・ベイリーとクリス・スクワイアが共作した曲としても知られている。



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イエス

Yes「Beyond and Before」 (1968)


「ビヨンド・アンド・ビフォー」のイエス・ヴァージョン。フランスのテレビに出演した際の演奏なのだが、実に若々しく、ジョン・アンダーソンなどはどこかアイドル然としている。それでも間奏での変拍子気味のアレンジメントや、キーボードの使い方など、その後のイエスのサウンドを彷彿とされる部分も少なくない。



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イエス

Yes「Yours is no disgrace」 (1972)


72年におこなわれたレインボウ・シアターでのライヴより。スタジオ録音ほどの鋭さはないものの、どのようにライヴがおこなわれていたのかがよく判る貴重な映像だ。スティーヴ・ハウはギブソン社のフル・アコのギターを抱え、クリス・スクワイアは羽の付いたマントのようなものを着て演奏している。ベースはもちろん、リッケンバッカー・ベースだ。



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イエス

Yes「Roundabout」 (1971)


73年のライヴより。シングル・カットされ大ヒットした「ラウンドアバウト」なのだが、最近ではアニメ「ジョジョの奇妙な冒険」のエンディング曲としてお馴染みであろうか。コードの部分を経て、もとのテーマに戻っていくところがたまらなく美しい。後半のクリス・スクワイアの躍動感に溢れたベース・プレイが聴きものだ。



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イエス

Yes「Close to the Edge」 (1972)


5作目のアルバム『危機』の冒頭に収められた長尺曲「危機(Close To The Edge)」のライヴ・ヴァージョン。最初からスティーヴ・ハウの火の出るようなギターが炸裂していく。非常にインプロビゼーション的であり、それまでのロックにはなかった展開だ。その後、リック・ウェイクマンのオルガンにのって華麗に展開されていく。コーラスも非常に上手かったバンドであったのが再確認できるが、ここにもクリス・スクワイアの存在感が光っている。



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イエス

Yes「Wonderous Stories」 (1977)


12弦のポルトガル・ギターを弾きながら歌われていく「不思議なお話を(Wonderous Stories)」。77年のアルバム『究極(Going for the One)』に収められてる。メロディ・ラインは、どこか英国のトラッドを思わせるようなところがある、とても美しい曲だ。曲の合間で、クリス・スクワイアによるリード・ベースのようなフレーズもあるので、ぜひここにも着目していただきたい。



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イエス

Yes「Onward」 (1996)


96年のライヴより、カリフォルニア州のサン・ルイス・オビスポにあるフリーモント・シアターで収録されている。78年の『トーマト』収録曲で、クリス・スクワイアが作詞作曲した。この曲を聴いても、スクワイアが優れたソングライターであったことがわかる。曲のバッキングのオブリガードも素晴らしい。



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クリス・スクワイア

Chris Squire「Hold Out Your Hand」 (2014)


クリス・スクワイアのソロ・アルバム『未知への飛翔(Fish Out of Water)』収録曲。米国の「ベース・プレイヤー」誌のためのライヴ・パフォーマンスだ。中央に仁王立ちし、リッケンバッカー・ベースを弾く。その大胆な指裁きを、存分に味わっていただきたい。



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イエス

Yes「On the Silent Wings of Freedom」 (2006)


最後はクリス・スクワイアのベース・プレイが盛大にフィーチャーされた映像で。78年の『トーマト』の最後に収められていた「自由の翼(On The Silent Wings Of Freedom)」で、スクワイアとジョン・アンダーソンの共作曲。まさしくクリス・スクワイアの独壇場。これぞとばかりにベースを弾きまくっている。Mr.リッケンバッカーは永遠だ。



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