(銃声)
(パトカーのサイレン)来るな!おいこれ以上罪を重ねるな!うるせえっ!
(椿丈太郎)何やったんですか?それもう使ったんですか?うるせえ!黙っとけ!刑事さんどうなんですか?そいつは山田組の幹部を撃った。
撃たれた人は?一命は取り留めた。
よかった…。
殺人は犯してないって事じゃないですか。
ここまでにしませんか。
あんた悪い人じゃないでしょう。
ちっちゃい子やおばあちゃんを人質に取らなかったじゃないですか?もうやめましょう。
ダメだよ。
しくじった以上こっちがやられちまうよ。
わあー!早く押さえろ。
ご苦労さまです。
あんた何者だ?杉並第一警察署の椿です。
今日は非番でした。
何でこんな無茶をした!相手は凶悪犯だぞ!説得が通じる相手だと思ったからです。
(アナウンサー)今のご意見に対して藤代社長はどうお考えでしょうか。
(藤代真知子)はい。
先生のお考えも間違っていないと思います。
しかし男性が女性の自立を拒むのは男性自身守る対象がいなくなるのを恐れての事だと思います。
(九重鉄三郎)本日のトレーニング終了!
(九重久子)お疲れさま。
「それが大切な事だと思います」順子!たまに早起きして付き合ってごらん。
気持ちいいよ!
(九重順子)えっ冗談!あれっ!?何これ?だって今日から新しい職場でしょ。
オーバーでしょ。
お父さんおめでとう!今度のお小遣いでネクタイ買ってあげるからね。
ありがとう。
それよりちゃんと噛んで食べなさい。
ごめん時間ないんだって。
ごちそうさま!いってきます!順子!体操着!あっそうだ。
ごめんごめん。
いってきます。
いってらっしゃい。
気をつけて。
誰に似てあんなにそそっかしいのかしら?そりゃあなたでしょ!?やっぱり?はい。
・
(山村佳代)ちょっと待った!はい?丈太郎君今日から新しい職場だったよね?はい。
鬼平読んだ?はっ?『鬼平犯科帳』。
池波正太郎の名作だよ。
今度のあんたの上司ね。
本所のテツ。
「鬼の平蔵」って言われてんだよ。
そうらしいですね。
「鬼の平蔵」か…。
はいサンキュー。
はい。
いってきます。
いってらっしゃい。
いってらっしゃい。
少しは勉強しておかないとまずいんでないかい鬼平。
あっはい。
何かと忙しくて。
俺ねホームズとかは好きなんですけどね。
ふうーんあんたみたいなこう何か今風の…。
火付け盗賊改め方なんて務まるのかね?何ですかそれ?いいよ。
ここらへん…。
はい行っといで!はい。
いってきます。
しかし鬼の平蔵はまた何だって丈太郎君を抜擢したかねぇ?不思議。
飛行機のチケット取れた?
(時任由加里)それがちょっと手違いがありましてもうしばらくお待ちください。
急いでって言ったでしょ!まったくグズなんだから。
申し訳ありません。
どうかしましたか?今そこの角から誰かが見てたような…。
ええっ?誰もいないですよ。
たぶん気のせいです。
・
(真知子)ちょっと何さぼってんの!
(吉村正和)申し訳ありません!トランク開けて!はい。
車から離れないようにしなさい。
運転手は!はい。
強行犯七係はこちらでしょうか?
(室賀哲也)字読めるだろ。
はい。
皆さん初めまして私本日付けで杉並第一警察署より配属…。
後でいいよ。
はい?後でいい。
(塚越正春)もうすぐ新しい係長が来るからその時一緒でいいって事。
はい。
新人さんでしょ?はい。
大丈夫。
わかってるから。
大丈夫大丈夫。
僕はね塚越。
ええ君は確か桜…?椿丈太郎です。
ああ椿君か。
どうもよろしく。
よろしくお願いします。
いい顔してるね。
はあありがとうございます。
(引田義男)静かにしてください。
気が散ります。
すみません。
気にする事ないよ変わり者だから。
はあ…。
よかったですね気の合いそうな仲間ができて。
お気遣いありがとうね。
でもねそれより伝票に集中したほうがいいんじゃないの。
処理能力ないんだから。
あなたに処理能力云々を言われたくありませんね。
たまには机の上ぐらい片付けたらどうなんです。
整理整頓が身についていないから生活のすべてがだらしないんですあなたは…。
はい。
おはよう。
本日から七係係長を拝命した九重鉄三郎です。
よろしく。
塚越正春です。
九重係長の下で働けるのは光栄の極みです。
椿丈太郎ですよろしくお願いします。
よろしく。
君達挨拶ぐらいしなさいよ。
どうもすみません。
この親からしつけられてないのが引田君でそっちが室賀君です。
あと1人松金というのがいるんですが今どっか行っちゃってます。
でももともとここにいるのが珍しいくらいの人ですからお気になさらずに。
2人共よろしく。
(電話)はい強行犯七係です。
はいわかりました。
係長菊島管理官がお呼びです。
了解。
(ノック)
(菊島秀武)ああ九重君君に会いたかったんだ。
部下のみんなと会った?はい。
一人一人はねとても優秀なんだけどもほんの少しだけ協調性が足りないんだよ。
そこで君なんだ九重君。
彼らをがっちり束ねてねその能力を最大限引き出せるのは君しかいないんだよ。
君の噂はかねがね聞いていて私は常々君をこの捜査一課に呼ぶ事を進言していたんだ。
しかし君にはほら10年前の件があるだろ。
あの件がね上の連中はどうも引っかかっているらしいな。
しかし僕は違うよ。
君は僕を信用して思う存分その手腕を発揮してくれ。
はい。
どうしたの?歯切れ悪いなぁ。
心配だなぁ。
君も前任者みたいに神経性胃炎でリタイアなんて事にならないでね。
いえ胃は丈夫ですから。
頼もしい。
頼もしいな!
(工藤悟)社長がいなくなったと言うのか?はい。
1時間ほど前にお見かけしたきりどこにもいらっしゃらないんです。
連絡はつかんのか?携帯電話があるだろ?ダメです。
電源が入っていません。
九重君。
はい。
早速君の手腕を見せてもらうチャンスがやってきたよ。
人材派遣会社「ウーマンドリームカンパニー」の社長藤代真知子42歳が昨日の夕方から行方不明になっている。
たった今会社から通報があった。
藤代真知子知ってるよね?たまにテレビにも出てる有名人。
彼女をどうしろと?だから君の七係に捜査を任せるっていう事だよ。
家出人の捜索は我々の担当じゃあありません。
ああ早めに手を打つべしと上が判断したんだ。
確か彼女の夫は政治家?与党である国民党の金庫番総務会長の藤代義則先生だ。
これ以上は何も言わなくてわかるよね?わかります。
さすが九重君だよ!話が早いよ。
ツーと言えばカーだ。
あうんの呼吸というやつだね。
藤代真知子の捜索ですか。
はい。
誘拐の可能性とかあるんですか?いやそういう事じゃないんだ。
大物政治家の奥さんだからな。
ああそういう事ですか。
事を荒立てずにさっさと片付けろって事ですよね。
会社のほう頼みます。
はい。
係長どこ行くんですかね?お茶でもしに行ったんじゃないのかね。
まあ係長は係長我々は我々。
よし行くぞ。
はい。
係長どこが「鬼の平蔵」なんですかね?穏やかじゃないですか。
名前がね同じなんだよ。
名前?鬼平っているだろ。
長谷川平蔵。
若い頃の名前が銕三郎って言うんだよ。
本所のテツ。
確か九重係長も本所生まれだったよな。
それでですか。
でもなそれだけじゃ「鬼平」と呼ばれて恐れられたりはしないだろうな。
(藤代義則)じゃあ今日は遅くなるからな。
うん待ってる。
・先生。
あの奥様の事でお伺いしたい事がございまして。
私が話すような事は何もない。
上からそう聞いとらんのか?いえ。
そうは聞いてませんが失礼しました。
あの昨夜はずっとこちらに?
(風間満)先生は話す事はないと申し上げたはずです。
あの私のほうはお訊きしたい事たくさんありますんで。
あの先生最近ずっとこちらでご自宅のほうには戻られてないって本当ですか?そんな事を聞いている暇があるのかね!すぐにあの女を見つけ出せ!すいません。
あの女って奥様の事ですか?君名前を聞こう。
捜査庁捜査一課強行犯七係九重鉄三郎です。
(橋爪香苗)あのすいません。
はい。
主人を捜してほしいんです。
昨夜から帰って来ないんです。
ご主人が一晩帰って来ないってだけですよね?ええでも主人は自殺するかもしれないんです。
(塚越)では昨日の夕方5時以降誰も社長さんの姿見てないって事ですよね?はい。
社長は失踪したんでしょうか?いやそれはまだわかりませんけど何か社長が失踪しなければならないような理由でもあるんですか?いやあのそれは…。
あの大変失礼な事を申し上げますけどもこちらの会社最近あまり成績が芳しくないですよね。
それが関係してるんじゃないでしょうかね?いやお恥ずかしい話なのですが弊社の経営状態は非常に悪化しておりました。
次の株主総会で社長の放漫経営の責任が問われ恐らく引責辞任という形を取らざるを得なかったでしょう。
クビになる前に逃げちゃったって事ですか?社長はそんな無責任な方じゃありません!それに…。
君は黙ってなさい!それに何ですか?いえ気のせいかもしれないので…。
気のせい大いに結構です。
どうしました?はい。
ここ数日社長といるといつも誰かに見られてるような気がしてたんです。
変な男の人の影も感じました。
男の影?付け回していた男がいたって事ですか?はっきりと見た訳ではないんですけど…。
時任君そういう曖昧な情報は捜査を混乱させるだけだよ。
(由加里)すみません。
どこか社長が立ち寄りそうな場所わかりませんか?ああ…時任君。
はい。
奥多摩の別荘まだ調べてません。
ああっ何をやっているんだ君は!すいません。
大体ね社長…。
まあまあまあ…。
お説教は後ほど。
その奥多摩の別荘すぐ連絡できますか?はい。
近くに管理人が常駐しています。
(ドアベル)
(管理人)どなたかいらっしゃいますか?いたらお返事してください!・
(ノック)九重君。
はい。
たった今藤代先生の事務所から電話があったよ。
訪ねて来た刑事にずいぶん失礼な質問を浴びせられたと憤慨していたよ。
そうですか。
そうですかって君相手は与党の大物だよ。
いやそうですが行方不明になった女性の夫です。
そうだよね。
しかしね話を訊くにしても訊き方ってもんがあるだろう。
そうですが初動捜査の遅れは致命的です。
で何か出たのかね?あの藤代夫妻の夫婦仲完全に冷え切ってます。
まあ世間体考えて離婚はしていませんが半年前から別居してます。
代議士は愛人とマンションに住んでます。
奥さんが行方不明になった事も会社からの連絡で知った。
そんな感じです。
つまり怪しい部分はなかったという事だな?いや冷え切った夫婦のわりには夫人の行方不明を聞いて動揺してます。
それがちょっと気になります。
仲が悪くてもいなくなったら心配するのが普通だよ。
いやそれだけじゃないような気がします。
君は藤代先生を疑っているのか?いいえ疑ってません。
ですがちょっとした疑問でもあればそれを解明したいと思っています。
何様のつもりだ。
(管理人)奥様!?社長!
(電話)はい…社長が!?わかった。
(パトカーのサイレン)
(桑原幸雄)ちょっと!何なんだいあんたら?捜査一課の椿です。
捜査一課?これ自殺だよ。
あんたらに出てきてもらうほどのヤマじゃないけどな。
被害者の旦那は国民党総務会長の藤代代議士だ。
下手な手違いでもあったらお宅の署長さんのクビくらい軽く飛ぶんじゃないの。
とにかく邪魔だけはしないでもらおうか。
もちろんですよ。
邪魔だけはしません。
(塚越)密室…ですか?ああ。
玄関にはチェーンロック室内すべての窓には内側から鍵がかかっていた。
つまり完全な密室だったって事ですよ。
もしこれが他殺だとしたら犯人は一体どこからどうやって逃げたっていうんだよ?玄関から堂々と出て行ったんでしょうね。
はあ?管理人さんが遺体を発見した時犯人はまだ室内にいたっていう事ですか?・
(管理人)奥様…!?社長!
(塚越)管理人が表に飛び出したのを見計らって自分も出て行ったんですよ。
まあきわめて単純な犯行ですよ。
しかしそれは推測にすぎんでしょう。
だったら離婚届はどう説明します?夫人は死ぬ前に夫との決着をつけたかった。
違いますか?これは自殺ですよ!逆にそんなふうにけじめをつけようとするほど冷静な人がこんな形で自殺をするとは思えませんけど。
自殺するなら離婚する事ないでしょう。
離婚するんだったら自殺する必要ないでしょう?よし全員集めろ。
はい連絡とります。
(松金大作)よいしょ。
よし到着。
これのどこをどう見れば自殺となるんだ。
…ったくもう。
どうぞ。
妻に間違いありません。
どうしてこんな事に…。
(藤代の嗚咽)さあ先生。
九重です。
ああ松金ですどうも。
どう見ます?自殺じゃありませんよ。
この手首の傷見てください。
ためらい傷別名逡巡傷。
自殺するってのは怖いもんです。
何度もためらうからこうやって浅い小さい傷がたくさんできます。
この傷がどうも少しの動揺も見られない。
他の誰かがつけたもんです。
それにほらこっちのこの傷見てください。
これ何かでこすったような傷がありますね。
これ恐らくロープか何かでこう縛られた痕でしょうねこれ。
あああの奥様は自殺ではないのですか?捜査は今からですが…。
別荘に残っていた奥様の所持品を見せていただきたいのですが。
遺留品は今お見せした物がすべてです。
あっそうですか…失礼しました。
あっすいません。
はい?何かなくなってる物あります?いいえ。
あの女どこへ隠したんだ。
先生。
これ以上事を荒立てないほうがよろしいかと思います。
金はどうするんだ?奥様は死亡時1億円の保険に入られています。
ああそうか。
うんうんそうだった。
間違いないね?うん間違いない。
あっちからすうーっと…。
それ間違いなく見たんだね?うん見た見た。
ありがとう。
どう?現場にも行かず書類とにらめっこ。
オタクだなぁ。
椿君こうならないようにね。
はあ。
現場など行かなくても今ある資料から自殺でないと判断できます。
まあまあ…出遅れた負け惜しみはいいから。
出遅れてるのはどっちですか?私のどこが出遅れているというんだ?君の判断理由聞かせてくれる?藤代真知子の性格行動パターンからです。
これほど自己中心的な人間が自殺などする訳がありません。
見事な情報収集だよ。
これだけ犯罪が複雑化多様化しているんです。
アナログな捜査では追いつけませんよ。
藤代真知子死亡時1億円の保険に入ってるな。
受取人が夫の藤代義則。
会社の役員保険なんかは?入っていたんですが最近解約してます。
残された会社の事などまったく考えていない自己中心的な性格の表れですね。
・
(桑原)目撃者が出ました!遺体が発見された少し後の13時頃農家のおばあちゃんがですね現場付近で怪しげな男を目撃しておりました。
どんな男?それが中肉中背で黒っぽい帽子を被ってたという事しか覚えてないんですよ。
ありがとう。
ご苦労さま。
どうもお待たせしました。
社長は自殺じゃないんですか?殺されたって事ですか?今はまだ何とも。
刑事さんいたずらに騒ぎを大きくしないでもらいたい。
自殺なら自殺として処理してもらいたいんです。
それはまたどうして?社長が殺人事件に巻き込まれたなんて事になったら我が社のイメージダウンです。
あなたが社長の座についても旨みがないという事ですか?失礼な!私はそんな事を言っている訳じゃない。
私は…。
いやこれは失礼。
社長の交友関係についてお訊きしてよろしいですか?はい。
誰か社長を恨んでいる人物に心当たりないですか?ない事はありません。
会社の内外に社長の事をよく思っていない人が大勢いたはずです。
社長はやり手でした。
しかし情というものがまるでなかった。
些細なミスを犯した社員を平気で解雇したりよその会社を吸収合併という形で乗っ取ったりもしましたからね。
そういう人達のリストを作成するのにご協力願えますか?はい。
もう1ついいですか?はい?社長の周りをうろついていた男がいたとおっしゃってましたよね?その男の事詳しく教えてください。
何度かちらっと顔を見た程度なんですけど…。
十分です。
お願いします。
はい。
じゃあ似顔絵を作成します。
ちょっと遅すぎるんじゃない?ええっいろいろとね。
これは?被害者の周りをうろついていた男です。
おいこれも配ってくれ。
はい。
藤代真知子を恨んでいたであろう人物のリストです。
おいおいすげえ数だな。
このリスト誰が?専務の工藤さんと秘書の時任由加里さんに協力してもらって作りました。
適当に人数挙げてるだけじゃないの?無駄足はごめんですよ。
じゃあ自分で作りなさいよ。
じゃあ俺これね。
じゃあ俺はこれかな。
よしじゃあ俺も1枚でいいか。
よしっ。
このリストに載っている人物の写真を集めて。
ええっ写真?この人いるかもしれないでしょ?わかんないかなそのくらい。
ああなるほどすぐに手配します。
お借りします。
ご苦労さまです。
おっ。
何だその男?奥多摩で起きた女社長の事件の容疑者です。
ふうん。
おい!ちょっと待てよ。
誰なんですか?そっくりじゃないですか?昨日来たんだよ。
この旦那がいなくなったから捜してくれって奥さんが!そうだよ。
自殺するかもしれないって言ってた。
わかった。
すぐに向かわせる。
向島交番。
はい。
はい。
(室賀)似てるな確かに。
橋爪勝44歳無職か。
奥さんの話ですと板前だったんですがつい先日勤めていた料亭をクビになったそうです。
元板前か…。
別荘に残っていたの包丁でしたよね。
ああ…。
お疲れさまです。
はあ…どうだ?動きは。
奥さんは家の中にいるようですね。
ああ…。
そっちはどうでしたか?橋爪勝評判はあまりよくないな。
殺された藤代真知子との接点はありましたか?いやまったくない。
これ他人の空似じゃねえだろうな。
この冴えない元板前がどうやって女社長と関わってたっていうんだ。
すいません。
捜査一課の九重と申します。
ちょっとお話ししたい事が。
はい。
じゃあお願いしますね。
はい。
捜査のほうは進んでいるんですか?お陰さまで。
あなたにいただいたメモも役に立ってます。
そうですか。
しかし社長さんずいぶん大勢の人に恨まれていたんですね。
あれだったら四六時中一緒にいたあなた大変だったでしょう?いいえ。
私は社長の弱い部分も知っていましたからね。
弱い部分?はい。
社長の生活は荒んでたんです。
会社の経営者として行き詰まっていたうえに夫婦関係が冷え切っていたせいもあってホスト遊びにのめり込むようになってました。
あっそうなんですか。
社長はたびたびそのホスト達に多額の金を貢いでいました。
私は社長に命じられて個人名義で何度となくその男達に金を振り込みました。
あなた名義ですか?そうです。
この事は私と運転手の吉村さんしか知りません。
さっき吉村さんと話してたのは今お話ししたような事です。
吉村さんに他言しないよう口止めしたんです。
どうして隠さなきゃならないんです?残された私達従業員のためです。
これ以上会社の名前に傷をつけたくなかったんです。
すみませんでした。
あの…話せる範囲で結構ですからそのホストの方達のお話聞かせていただけますか?はい。
はい了解。
係長からですか?ああ。
あの女社長ホストに入れ込んでずいぶん貢ぎまくってたらしい。
そうだったんですか。
ああ…悲しいねぇ。
きっと彼女自分を見つける事ができなかったんだろうな。
・
(ドアの開く音)ああ…これはまたずいぶん面倒くさいところ入ってっちゃったなぁ。
坂巻のところだよ。
坂巻?ヤクザ絡み。
まぁ俺のお得意さんだから。
いらっしゃいませ。
おねえさんはいいから奥にいる坂巻出して。
(坂巻)いやあお久しぶりですね室賀さん。
今ここに橋爪香苗って女が来たろ。
どこやった?どこやったって…丁重におもてなししてましたよ。
ご返済いただいたんですからね。
ふ〜んいくら?それは私の口から言えませんよ。
大切なお客様の情報ですからね。
何気取ってんだお前!似合わないんだよ。
直接ご本人に訊いたらいかがですか。
捜査一課の室賀です。
ご主人の借金3百万もあったそうですね。
奥さん…どうして黙ってるの?僕が訊きます。
私達はあなたを責めている訳ではありません。
いくつか訊きたい事があるだけです。
ゆっくりでいいですから答えてもらえると助かります。
はい…。
ご主人はどうしてこんなにお金借りちゃったんですかね?主人は10年前小さな小料理屋を営んでたんですけど経営に失敗してしまってそれで借金を作ってしまいました。
それ以来いろんな職場を転々としたんですけどどこも長続きせずギャンブルにのめり込んでしまって…。
気がついたら…。
でも主人は悪い人じゃありません。
私にはとてもやさしい人なんです。
そうだったんですか。
ああ…。
その借金の3百万をさっき返されたんですね?はい。
そのお金はどうなさったんですか?教えてください。
あの主人は…主人は一体何をしたんですか?それはまだはっきりとは言えません。
ただある事件に関わっている可能性があるという事です。
あの実は今朝早く主人からこの電話に連絡がありました。
どんな事を話しました?とんでもない事をした。
許してくれ。
俺の事は忘れて生きてくれ。
保険金で人生をやり直してくれってそう言ってきました。
保険金?2百万残っています。
今日返した3百万と合わせて5百万入っていました。
ご主人このお金どうやって手に入れたんですか?わかりません。
ただ…。
ただ?こんなものが袋の中に入っていました。
ちょっと失礼。
藤代真知子だ。
何に使った写真かは察しがつくな。
きっとよくない方法で手に入れたお金だと思います。
それがわかっていながら私も手をつけてしまいました。
借金を返さないと大変な事になると思って…。
奥さん携帯電話見せてもらって構いませんか?はい。
(室賀)6時31分…。
どこにいたか言ってませんでしたか?いいえ。
ご主人黒っぽい帽子って持ってます?はいそれが…?ウーマンドリームカンパニーという会社を知ってますか?そこの藤代真知子という女社長が亡くなったんです。
それで?この人。
その藤代真知子さんの周辺でご主人によく似た男性の姿が何度か見かけられてたんです。
まさか…主人が殺したっていうんですか!?落ち着いてください。
それはまだわかりません。
黒っぽいの帽子を被った男性が殺害現場付近で目撃されています。
室賀さん。
隠したってしょうがないだろ。
奥さんに掛けてきた電話どう聞いても何かしでかしたって内容だ。
主人がいなくなった時主人が仕事で使っていた包丁もなくなってたんです。
包丁…!?
(松金)この包丁に見覚えは?主人の物です。
事件現場に落ちてました。
じゃあやっぱり主人が…?
(塚越)この男に見覚えありますか?あります…。
この人です。
社長を付け回していた人です。
誰なんですか?この人。
何ていう人なんですか?橋爪勝という男です。
心当たりありますか?橋爪勝…!?私社長に命じられてその人の口座にお金を振り込んだ事があります。
5百万ほどを何回かに分けて…。
(塚越)どうしてそれをもっと早く言ってくれなかったんですか?ごめんなさい。
私てっきり社長が貢いでいたホストの1人だと思って気にも留めていなかったんです。
(引田)遺体凶器の状況からして藤代真知子は他殺と判断されます。
ええ橋爪勝が残した5百万は藤代真知子から振り込まれたものでしょう。
ええ橋爪と藤代真知子の間に何らかのトラブルがあって殺害に至った公算が高い。
橋爪は逃亡したものの罪の意識に駆られて死のうとしたって訳だ。
2人珍しく気が合ってるじゃん。
本当にそうなのかな?うん?何だよ?本当に橋爪勝は金銭トラブルから藤代真知子を殺害して逃亡しているんでしょうか?そうじゃなければ何だというんだ?それはまだわかりませんけど。
思いつきで混乱させるような事言わないでほしいね。
でも橋爪勝が犯人だとしたら何を考えているのかよくわかりません。
お前が何言いたいのかわかんねえよ。
橋爪は自殺に見せかけて藤代真知子を殺そうとしたんですよね?それなのにどうして自分の包丁を使ったりするんですか?使い慣れてるからだろ。
室賀さん。
冗談で言ってる訳じゃないんです。
おい!こっちだって冗談で言ってる訳じゃねえぞ。
その程度の単純な馬鹿野郎って事だ。
何か考えているようで何にも考えてねえ。
だからこういう単純なミスを犯すんだよ。
でも…。
お前の話に関わってる場合じゃねえんだ。
橋爪の足取りを追います。
頼む。
どうした?もう1つあるんです。
どうもみんなと話が噛み合わなくて…。
みんなアク強いからな。
あっいやここの皆さんの事じゃなくて…。
どういう事だ?いやいいです。
僕の思い過ごしだと思うんで。
・
(ドアの開く音)橋爪勝の事わかりましたよ。
この男ロクでもないっすよ。
年中借金だらけですわ。
哀れなのは看護師として稼いだ金旦那にほとんど使われちゃう奥さんのほうだよ。
しかしこの奥さんもかなりの訳ありでしたよ。
橋爪勝と結婚したのが12年前。
9年前に覚醒剤の不法所持の疑いをかけられてます。
結局は証拠不十分で不起訴にはなってますがかなり疑わしかったようですね。
この彼女の人生がまた悲惨なもんですわ。
早くに両親を病気で亡くしてたった1人の姉は10年前に殺人事件に巻き込まれて死亡してます。
殺人事件?ええ…。
覚醒剤中毒の夫に殺害されてます。
まあその夫も犯行後アパートにすぐに放火して焼死してますがね。
(赤ん坊の泣き声)係長?うん?どうかしたんですか?いや…。
出かける。
ただいま。
おかえりなさい。
すぐに出かける。
着替え用意して。
はい。
ねえ荷物1週間分でいいのよね?1週間で足りなかったらクビ飛んじゃう。
大変な職場に行っちゃったみたいね。
順子は?うん自分の部屋だと思うけど。
(ノック)開けるよ。
どうぞ。
勉強してるの?うんテストあるんだ。
無理すんなよ。
どうしたの?何か変。
そうかな?
(赤ん坊の泣き声)あなた何かあったの?いや別に。
順子の事ね?そうなんでしょ?うん…。
順子の母親の妹が今回の事件に関わっている。
ああ…そう。
でも順子の母親は世界中でこの私ただ一人だけ。
そうですよね。
父親はあなた一人。
そうです。
私順子に何があっても手放さないから。
わかりました。
いってきます。
いってらっしゃい。
お疲れさまです。
寝なくて大丈夫か?さっきちょっと寮に着替え取りに戻りました。
おっ!弁当佳代さんのお手製か?うまいですよ。
どうっすか?いらないよ。
係長。
うん?橋爪香苗さんの事で何かあったんですか?どうして?いやちょっと気になって…。
お前には嘘はつけないって事か…。
何もない事はないが話す事もない。
じゃダメか?ああいや…。
誰にだって言いたくない事の1つや2つありますし僕だって…。
そうか。
ありがとう。
係長どうして僕をここに引っ張ってくれたんですか?えっ?僕は他の人達みたいに大した取り柄も個性もないし不思議なんですよね。
他の奴が持ってなくてお前が人一倍持っているものって何だ?何ですかそれ?何だろうなぁ。
(パトカーのサイレン)橋爪勝に間違いありません。
自殺ですか?状況からするとね。
所持金は?財布の中に6千円しかありませんでした。
あなた…。
あなた!ねえあなた!
(香苗の嗚咽)
(松金)現場の状況および検視の結果から橋爪勝は湖に身を投げて自殺したものと見て間違いありません。
ええ…別荘から逃げていく男を目撃したおばあちゃんに帽子を見せて確認したところその帽子に間違いないという事でした。
やはり橋爪勝が藤代真知子を殺して自分も自殺したって事かな。
死亡推定時刻は?昨夜の深夜1時から5時の間です。
あの…。
何だ?その時間橋爪香苗さんはどうしてたんでしょうか?何でそんな事訊くんだ?香苗さん橋爪勝にそうとう苦労かけられていたようだし3千万の保険金かけられていましたよね?奥さんが自殺に見せかけて旦那を殺したって言いたいのか?そういう可能性もあるんじゃないですか?あのねこっちもそれぐらいの推測はしてるんだよ。
だから昨夜は一晩中彼女を張り込んでました。
彼女はどこにも行ってません。
そうですか…。
でも何もかもできすぎてませんか?君何言ってんの?何もかも推測どおりうまく運んであっさりしすぎてませんか?どこがあっさりなんだよ?どこが何もかもうまく運んでるって!?ここまで来るのにどれだけかかったと思ってんだよ!訳わかんねえ事言ってんな!すいません。
(菊島)つまりこういう事だな。
金に困ったバカな男がホスト遊びにふけっていた女社長をゆすった。
しかしそこにトラブルが生じて男は女社長を殺害して逃亡した。
しかし逃げられないと観念した男は自殺した。
そうだね?はい。
そうかそうか。
これで事件は解決だ。
捜査本部はただちに解散する。
以後マスコミへの対応はこの私に任せたまえ。
ご苦労さん。
1つ気になる事があります。
何?藤代代議士の事ですが…。
藤代先生がどうした?彼は藤代真知子の所持品を気にしていました。
気にしてたって何を?何を気にしていたのかわかりませんが藤代真知子の所持品にも橋爪勝の所持品にもそれらしいものはありませんでした。
だから?だからそれが気になります。
だからどうしろと言うんだ。
捜査本部は解散すると言ったはずだ。
藤代代議士の圧力ですか?そんな事じゃない!九重君。
私が何も知らないとでも思っているのかね?容疑者橋爪勝の妻橋爪香苗。
旧姓石橋香苗。
彼女には姉がいた。
10年前覚醒剤中毒の夫に刺殺された姉が。
その姉には娘がいた。
両親を亡くしたその娘は事件を担当した刑事に引き取られる事になった。
そうだね?君が引き取ったんだよ。
君が。
周囲の反対を押し切ってね。
その事で君は出世の道を絶たれた。
そうだろ?しかもその後君を本庁に呼んだのはこの私だ!君のクビだけで済む話じゃないんだよ。
この話はここまでだ。
捜査本部は解散する。
管理官!命令だ!・係長。
片付け終わったか?あっいやまだ…。
片付ける気にならなくて。
俺どうしても気になる事があります。
何か言ってたな。
話が噛み合わないとか…。
はい。
時任由加里さんや橋爪香苗さんとやっぱり話が噛み合いません。
どういう事だ?何か2人とも台本に書かれているセリフをしゃべっているような感じがしたんです。
何か会話が自然じゃないんですよ。
ある方向ある方向へと向かわせているような…。
隠してもしょうがねえだろ。
奥さんにかけてきた電話どう聞いても何かしでかしたって内容だ。
主人がいなくなった時主人が使っていた包丁もなくなっていたんです。
普通あのタイミングで包丁の話は出てこないと思うんですよ。
無理くりそっちの話に持ってってるような…。
時任さんも同じです。
誰なんですか?この人。
何ていう人なんですか?
(塚越)橋爪勝という男です。
心当たりあります?橋爪勝…?私社長に命じられてその人の口座にお金を振り込んだ事があります。
5百万ほどを何回かに分けて…。
どうしてそれをもっと早く言ってくれなかったんですか?ごめんなさい。
私はてっきり社長が貢いでいたホストの1人だと思って気にも留めてなかったんです。
彼女の会話の流れとても不自然でした。
2人共嘘をついているっていうのか?2人がどんな嘘をついていてどんな形でこの事件に関わっているのかそれはまだわかりません。
ただひとつの結末に向かわせるために同じ台本を演じていたような気がします。
どうするつもりだ?もう一度2人の事を調べ直します。
捜査本部解散したぞ。
俺の中ではまだ終わってません。
わかった。
納得するまでやってみろ。
ありがとうございます!皆さん待ってください!橋爪香苗と時任由加里の事もう一度調べ直したいんです。
何でもいいんです。
2人の事で何か気がついた事があったら教えてください。
お前何言ってんの?事件も解決したでしょ?捜査本部も解散したんだよ。
僕の中ではまだ終わってないんです。
じゃあ1人でやれば?どけ邪魔だ。
こんな程度なんですか!?
(室賀)えっ?何つった?捜査一課ってもっとすごい人達の集まりかと思ってたけどこんな程度なんですか!?ケンカ売ってんのかお前は!やめろやめろ。
あのね私たちは中途半端にやっている訳じゃないんだよ。
橋爪勝が自殺なんてできすぎじゃないですか!大体藤代真知子を殺したのだって本当に橋爪勝なんですか!?あのねこっちはねいちいち報告してないけど帽子に残った髪の毛1本までちゃんと調べてるんだよ。
納得いくまでやってるんだって。
ちなみに言っときますがその帽子の髪の毛は橋爪勝のものだったよ。
藤代真知子を恨んでる人間のチェック全部まだ終わってないですよね!?えっ?終わってないのか?いいえ終わってますけど。
私だってとうに終えてますよ。
終わってないのお前だけだよ。
何だよ。
悪かったなこんな程度で。
ああっ!自分の分のチェックちゃんとやってきます!何だ?あいつ…。
2人が強引に同じ結末に持っていったかぁ…。
ははは…面白い事言いますね。
あいつ橋爪香苗と時任由加里の事を調べ直そうとしてるんですね。
ええ。
係長さん!はい?あなたいいんですか?それで。
橋爪香苗の事を調べれば10年前に殺された姉の事件の事も調べるでしょう。
係長さん…10年前に残された姉の娘さんの事もわかっちゃいますよ。
そうですね。
いいんですか?
(赤ん坊の泣き声)よしよし…。
ほらっよしよし…。
あの子の心臓に欠陥?
(医師)はい。
いやだったら手術してください。
しかし大変危険な手術です。
親の承諾書がなければ。
親って…。
親2人共いないんです。
死んじゃって。
あの自分でよけりゃあやります。
そうですか。
ただ手術に必要な血液が…。
血液?あの子はABのRHマイナスなんです。
久子俺だ。
はい。
はいわかった!すぐ行くわ。
私が責任をとります。
私があの子の親代わりです。
あなた見て見て…!この子ねほらっ私に微笑みくれたの。
ねえあなた?うん?この子うちで引き取りたいの。
ああ…私達の子供として育てたい。
だってこの子には私の血が流れてるんだもん。
ねっ?うふ…。
問題が多い事はわかってる…。
でもこの子を幸せにしてあげたい。
代議士の女房のスキャンダルなんぞは我々にとっちゃあどうでもいい事です。
しかし…これ以上下手にこの事件を突っつくと娘さんが真実を知る事になりゃしませんか?いつかはきちんと話さなきゃいけない時が来る。
そう思ってました。
係長!はい。
我々どうしたらいいでしょうか!お任せします。
あいつみたいにじっとしていられなかったら動いてください。
ただあいつの目の付けどころは間違ってないと思います。
私も1つ気になる事があります。
何ですか?金です。
1億円の保険金3千万の保険金5百万の現金。
これだけ金の臭いのする犯行で影が動かない。
おかしいと思いませんか?そこまで言われたら黙っていられませんね〜。
お前さん達もだろ?おいコラ!タコ!何だよ…気付いてんならもっと早く声かけりゃいいじゃねぇか…。
(塚越)タコに言われたくないですよ。
どっちかっていうとこっちのほうがタコじゃん。
ああ引田さん…。
係長も複雑でしょうね。
こうして我々が捜査を見直す事。
下手をすると娘さんの事が露見する可能性がありますから。
橋爪香苗の資料です。
まだ不十分ですがきっかけにはなるでしょう。
引田さん!?時任由加里は他のみんなが調べています。
君ごときに先を行かれてじっとしていられる訳がありません。
それもう終わっちゃったんで…。
難しいですよ。
これどうぞ!ねっ?このとおり!お願いします!勝手にはできないんですよ。
いやいやホントこのとおり!橋爪さん。
はい。
201の患者さんの昨日の夕方の体温何度でしたっけ?あっはい。
えっと…。
えっと…36度3分です。
(室賀)藤代さんが貢いでた奴知らないか?知りません。
藤代社長がホストクラブに通ってたのはそれはご存知ですか?
(菊島)九重君。
君達勝手に捜査をし直しているようだね?はい。
君は私の話をまったく聞かないようだなぁ!そう言われても仕方ありません。
私は君と違って上昇志向の強い人間なんだ。
頼むから足を引っ張らないでくれ。
足を引っ張ってるつもりはありません。
君を係長に呼んだ私が間違っていたのかなぁ。
藤代真知子が入れあげてたホストがわかりました。
歌舞伎町のホストクラブ「パピヨン」のトオルです。
真知子はこれまでかなり貢いでますね。
時任由加里は5年前橋爪香苗が勤める病院に入院してました。
入院?何で?自殺未遂です。
動機は?これを見てください。
これは?佐竹弘治さん。
以前時任由加里が交際していた同僚の男性です。
彼は5年前藤代社長に解雇されその後入水自殺をしています。
その現場というのが…。
(松金)本栖湖です。
藤代社長にひどい仕打ちを受けたらしいです。
会社の金5千万がなくなるという事件があり社長に責任をとらされクビにされてます。
それで自殺したのか…。
時任由加里が作ったリストにその名前はなかったね。
はい。
時任由加里の作ったこの藤代社長を恨んでいる人間のリスト。
ここにはなぜか佐竹さんの名前はありません。
こっちの専務が作った退職者リストのほうにはあるのに。
意図的に外したな。
彼女は佐竹さんの死後すぐに手首を切って自殺を図ってます。
それで運ばれたのが橋爪香苗の働く病院か。
はい。
2人は面識があったはずなのになぜかその事を一言も口にしてない。
おかしいですよね。
そっちは?係長に言われて奴の事を調べたんですが奴株に相当つぎ込んでサラ金に山ほど借金してますよ。
3日前に全額完済してますけど。
金ができたって事だ。
決め手はこれ。
(塚越)この帽子に奴の髪の毛でも残ってたんですか?いや残っていたのは橋爪勝のものだった。
じゃあどうして奴が被ったって事がわかるんですか?汗だよ汗。
帽子に奴の汗が残ってたんだ。
科学捜査の勝利だよ!あっ…ちょっと待ってください。
奴奴ってさっきから誰の事言ってるんですか?うん?運転手の吉村正和だよ。
あっ…お前知らなかったの?えっ?ちょっ…また俺だけ仲間はずれですか!ふふふ…。
ふふふ…。
よし吉村の身柄確保しろ。
(一同)はい!吉村さん藤代社長殺害の件でお訊きしたい事が。
何?ご同行願います。
あっ!吉村!椿!はい!おら!ちょっと…。
おらっこの野郎!
(室賀)いいんだやらしてやれよ。
おりゃ!これで貸し借りなしだ。
吉村の身柄押さえました。
わかりました。
お話って何ですか?どうしてこんなところへ。
あなた5年前この湖で愛する人を亡くしましたよね。
あの日は…私達の門出の日でした。
(教会の鐘の音)佐竹さん…。
佐竹さん!いや…!これから幸せをつかもうとしてたのに…。
悲しみの淵をさまよったあなたは自殺を図ろうとした。
その時に知り合ったのがあの人。
橋爪さん。
あなたのご主人亡くなったのこの湖です。
あなたが殺したいほど憎んでた。
憎んでなんか…憎んでなんかいません!どういう事ですか?この事件は解決したはずじゃ…。
いえ。
事件はまだ解決してません。
奥さんあなたのご主人橋爪勝さんは殺人犯ではなかった。
どういう事ですか?藤代真知子さんを殺害した犯人は他におりました。
誰なんですか?橋爪香苗さんあなたです。
あなた達2人は共謀して藤代真知子さんと橋爪勝さんを殺害しましたね?共犯者はもう1人運転手の吉村正和です。
昨夜身柄を押さえました。
吉村正和さんは常日頃から社長に罵倒され恨みを抱いてた。
殺人計画に引き込むにはちょうどよかった。
あなた達一体何言ってるんですか?藤代真知子さんがいなくなった日最後まで彼女と一緒にいたのは時任由加里さんあなたと吉村正和さんの2人でしたね。
あの日香苗さんが病院から持ち出した睡眠薬で藤代真知子さんを眠らせそして吉村の車に乗せ換えた。
(塚越)そして時任由加里さん。
あなたはアリバイを作るために会社に戻り社長がいなくなったと騒ぎ出し…。
一方吉村と香苗さんは別荘に向かった。
(塚越)そして次の朝別荘の風呂で藤代真知子さんを殺害した。
実行犯は香苗さんあなたですね。
どうして私がそんな事を?証拠は?この人達がそんな事したっていう証拠。
これですよ。
奥さん。
この帽子誰の帽子でしたっけ?主人のです。
ですよね。
でもこの帽子吉村さんが被ったという証拠が残ってました。
どんな証拠?汗です。
汗。
汗でDNA鑑定ができるんですよ。
その判定結果の誤差は1億8千万分の一の確率です。
吉村さんの汗に間違いありません。
吉村さんは橋爪勝さんになりすましてわざと人目につくように逃走した。
橋爪勝は社長をゆすってたじゃないですか!ええ…残念ながらその証拠はどこにも見当たりません。
社長とホストの密会写真にも現金5百万円にも橋爪勝の指紋1つ残っていませんでした。
これって不自然ですよねぇ?全部あなた達の作り話だったんですよね?どういう事ですか?つまり橋爪勝は失踪したんじゃなくて吉村の車に監禁され藤代真知子が死んだ明後日の朝由加里さんが自殺に見せかけてこの本栖湖で溺死させたんですよ。
あなた達2人は交換殺人を行ったんです!どうして?どうして見ず知らずの私達がそんな事しなきゃいけないんですか?由加里さんこのカルテあなたのものです。
あなた達5年前に会ってるじゃないですか!担当看護婦は橋爪さんあなたになってますけど?忘れてましたよ!そんな5年も前の看護婦さんの顔なんて覚えてるはずないでしょ。
私だって…!患者さんの顔なんて覚えきれません。
それに交換殺人とおっしゃいましたけどどうして私が主人を殺さなきゃいけないんですか?橋爪さん。
地獄から抜け出るためです。
違いますか?香苗さん…。
そうするしかなかった。
あの生き地獄から抜け出すにはそうするしかなかった…。
(橋爪勝)おい!何入れやがった!?
(香苗)あっ…ああっ!そして捜査を橋爪に向くように派出所に捜索願を出し借金を3百万円返しに行きました。
後は刑事さんのおっしゃったとおりです。
あの男を殺すためなら殺す事ができるなら何でもしてやろうって思った。
いつかも覚醒剤を打って私に強要しました。
橋爪といたらいつか私は橋爪に殺される。
10年前私の姉は覚醒剤中毒の夫に殺されたんです。
姉には生まれたばかりの赤ちゃんがいました。
本当ならたった1人の身内の私が引き取るべきなのにできなかった…。
私はそんな事さえできなかった。
私はどうしようもない人間なんです…!さあ奥さん。
金どうしました?吉村への分け前が5百万。
彼女…。
ああそうか保険の3千万が入るか。
会社の1億円あなたどうしました?社長が貢いでたホストがすべて話してくれました。
社長は経営不振の会社の運転資金にするからと言って夫の代議士から1億円の金を借りた。
だが使い道違った。
あの女はその金を持って会社を捨てて若い男とヨーロッパへ逃げようとしてたんです。
藤代だけは絶対許さない。
ねえヨーロッパ行って2人で楽しく暮らしましょう?お金なら1億あるから。
(由加里)ワンマンで無責任で自分の事しか考えない男狂いの女。
最低よ…!許せなかった。
だから人を殺していいって事にはならんだろ!おまけにあんたその金を横取りにしてる。
違うか?金が欲しかったただそれだけだよ!あんた常日頃から虐げられてる社長を殺害して金手に入れたかった。
ただそれだけだ!だが本当はそれだけじゃねえんだよな。
愛する人を死に追いやられたら誰だって悔しくなる。
悔しくなんかならねえ奴なんかいやしねえよ。
愛する人を亡くしたら誰でも鬼になる。
心の中が鬼になる。
だけどな自分の手汚したらそれは本物の鬼になっちまう。
それじゃいけねえんだよ。
刑事さん…私私…。
(由加里)彼の復讐だと思ったら何にも怖いものなかった。
佐竹さんの恨みを晴らすためだったら人を殺す事だって…。
私…間違ってました。
金のある奴貧乏な奴偉いさんやら不幸な奴。
人間に差をつけんのは結局人間なんだよ。
権力を持ってる奴それに従わざるを得ない奴。
その差が世の中動かしてるのもこれも現実なんだ。
だがな人間生まれてくる時みんな素っ裸。
みんな同じだよみんな一緒だよ!だから法律の下じゃ人間みんな平等なんだよ。
誰も破る事なんかできやしねえ。
どんな悪人だって殺していいって事にはならねえんだよ。
姪っ子さん。
あなたのたった1人の姪っ子さん幸せに暮らしてるって言ってました。
あなたが罪償って生まれ変わって会いに来たいならいつでも会わせるそう言ってました。
ありがとよ。
えっ?お前のお陰だ。
係長が鬼平って呼ばれてる理由よくわかりました!係長。
うん?1つ訊いてもいいですか?何?みんなになくて僕にあるものって何だったんですか?ああ…あの事。
聞きたい?はい。
人間が好きって気持ち。
好きだろ?はい好きです。
お前さエントリーシートの特技欄に何て書いたか覚えてる?「友達作り」。
はははは…!ホント笑っちゃったよ。
それでお前の採用決めた。
他に思いつかなかったんで…。
はははは…!
(佳代)これ全部読みなさい!えっ!?全部?とっても面白いんだから。
あっありがとうございます。
でもうちの鬼平も相当面白いっすよ!全部無事に解決しました。
ご苦労さまでした。
・
(順子)おかえりなさーい!あれ?何してるの?いやお母さん目に何か入っちゃった。
入っちゃったみたい。
ふうん変なの。
まっいっか。
はいこれ!えっ?約束してたでしょ?今度のお小遣いで買うって。
ネクタイ栄転祝い!ああ〜!ああ〜!どんなの?かわいいでしょ?へっへへ。
あっいや…かわいいねえ〜!貸して。
似合いそう。
はい!へえ〜…。
似合うよきっと。
あててみて。
これお母さんの趣味でしょう?ううん。
(順子)わかんないえへへ。
でもすごいかわいい!
(久子)ねえ!かわいいすごく似合う!
歴史情緒あふれる京都で2015/06/29(月) 14:00〜15:51
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◇出演者
渡瀬恒彦、吉沢悠、古手川祐子、生瀬勝久、笹野高史、ベンガル、佐戸井けん太、豊原功補、中西良太、中島ひろ子 ほか
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ドラマ – 国内ドラマ
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映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
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