煙るように降り続く雨。
ちょっぴり遅れてやって来た今年の梅雨。
6月半ばの…大地にしみこむ雨が豊かな恵みをもたらしてくれる。
大原名物のアカジソも葉を茂らせ始めた。
(雨の音)人影のない山里に雨音だけが響く。
大原にある築100年の古民家。
ここでも庭の植物たちが花に葉に滴をまといキラキラと輝いている。
雨の日は家の中の仕事がはかどるというベニシアさん。
去年の今ごろ作った梅酒を瓶に小分けする。
もうすぐ新しいのを作るからやっぱり今あそこの場所が必要だからデキャンティングをします。
庭で採れた果物やハーブを使って自家製のリキュールを作るのがこの季節の楽しみ。
こっちはレモンバーベナ。
こっちの梅酒はレモンバーベナの葉っぱあるのね。
香りがすごい。
多分バラの次はレモンバーベナの香りはもう最高。
梅酒にレモンバーベナを加えたのはベニシアさんのアイデア。
ローズマリー酒も瓶に小分けする。
ローズマリーと氷砂糖を焼酎に漬けたベニシアさんのオリジナルだ。
いつも考えてたことはゴミが今の時代ってなるべく皆さん減らしたいと思うんですけどだけどこういう瓶をキープして洗って入れたら同じ瓶は何回でも使えるのね。
こういうものは友達にあげたいのもあるから。
季節が巡ってくるのはあっという間。
けれども手作りの梅酒やハーブリキュールはこの時間の中で確かにおいしくなった。
本格的な夏がやってくる前にベニシアさん強い日ざしに備えてドクダミで化粧水を作る。
ドクダミアロエとゆずのタネの化粧水。
まずホワイトリカーの中にアロエを入れます。
アロエはヨーロッパで有名ね。
クレオパトラが使ってた化粧水はアロエの化粧水で。
日焼けにもいいしあとしわを伸ばすのね。
そのぐらい入れて…。
これだけでも出来ますけどこの間友達のおかあさんが教えてくれたの。
日本の昔から皆さん使ってた化粧水はドクダミの葉っぱ入れます。
これの香りがすごくいいのね。
両方あったら絶対皮膚がツルツルになると思ってます。
ドクダミには皮膚の殺菌と新陳代謝を高める効果があると言われている。
ドクダミを入れて。
最後ゆずのタネいつも…。
秋になるとゆずジュース作るとかゆず氷を作るので。
タネがもったいないからタネの使い方ないのかなと思ったら昔中国はみかんとオレンジのタネを使って化粧水を作ったらしいのね。
焼酎に入れてるんですけどネバネバになるから塗りやすくなりますから。
それを入れようかなと思ってます。
ゆずのタネに含まれているペクチン。
これが肌の保湿効果を高めてくれる。
ちょっと混ぜます。
これは涼しくてちょっと暗い場所に置いといて2か月ぐらいで出来るんですよ。
それでこういうちょっとゴールドな色になりますから。
最初この葉っぱの色が変わるからこれ全部こしますね。
かわいい瓶があれば入れて毎日使ったらいいと思います。
使い方は通常の化粧水と同じようにコットンにしみこませ肌に塗る。
みんな「ドクダミの香り嫌い」という人結構多いんだけど何か化粧水作るとすごい甘い香りになる。
ヨーロッパ日本中国。
肌によいと信じられてきた女性たちの知恵をすべて合わせて使うのがベニシア流。
(雨の音)雨の日は大好きな庭仕事もお休み。
こんな時ベニシアさんは1階の奥の部屋に向かう。
そこは宝物が眠る部屋。
古い童話や名作が大好きだというベニシアさん。
本棚にはこれまで読みためてきた本が並んでいる。
こっちはトレジャー・アイランド。
この本をよく私のお父さんがいつも読んでくれた本。
アドベンチャーの本。
結構有名なストーリーですけど。
これイソップ。
イソップは好きだな。
この話大好き。
町のネズミと田舎のネズミの話。
やっぱり田舎がいいのね。
ハッハハハ。
あこれだ。
中国の本。
孔子が書いた「易経」という本ですけどイギリスからず〜っと持ってる本。
人生生きること間違いないようにアドバイスくれるから。
いい言葉とか好きな励ますものを本の中に出たら全部書き直すのね。
だんだんそうすると覚えてるのね。
だから本が何か知らないけどゆっくり頭に入って本に残るって思ってるから本を読んだ時は自分の頭の中に自分で想像するでしょ。
イマジネーションのために何かいいですね。
新しい世界を頭の中に作ることがすごく大事と思うのね。
本は心の友であり師匠。
イギリスからインド日本へと移り住み生きてきたベニシアさんにとってその時々に感銘を受けた本はいつまでもそばに置いておきたい。
梅雨の晴れ間ベニシアさん今日はちょっとお出かけ。
大原の三千院へと続く道。
散歩を楽しみながらやって来たのはベニシアさん行きつけのカフェー。
こんにちは。
ベニシアさんいらっしゃい。
久しぶりです。
福田さんいらっしゃいますか。
もう来られてますよ。
どうぞ。
あこんにちは。
(福田)こんにちは。
お久しぶりです。
お待たせ。
ちょっと遅かった。
待ち合わせをしたのは友人の福田眞基さん。
お土産持ってきた。
えっお土産?私が作った梅酒。
あ〜ありがとうございます。
すごい。
梅酒好きかどうか分からないけど。
酒大好きです。
ハーブも入れて作ったのね。
いや〜すごい。
2人は半年前このカフェーで知り合った。
福田さんがここで製本の個展を開いた時ベニシアさんが声をかけたのがきっかけだった。
う〜んコーヒーおいしい。
本どんな感じになった?はい。
こんな感じですね。
え〜すご〜い!すごい!?全然変わった。
新しい本が生まれたみたい。
実はベニシアさん福田さんにボロボロになってしまった40年前の自分の日記帳の修復をお願いしていたのだ。
これすごいね。
これ前の紙ですか?それはねちょっとボロボロになったのでコピーしました。
これが前の紙。
へえ。
この紙はインドの本の感じよね。
面白いですね。
この見返しの紙はね。
これはマーブリング。
マーブリングですね。
それはヨーロッパの作家さんの作ったマーブリングです。
へえきれいだね。
こっちは?ヤギですね。
ヤギ?ヤギで出来てるの!?へえ。
大体ヤギの革多いですね。
あそうですか!?それ全然知らなかった。
自分のだったらね簡単にいつもするんですけどちょっとベニシアさんの大事な本ですし。
すっごいきれい。
この製本に福田さんがかけた時間は5か月以上。
中はベニシアさんがイギリスを出てインドに渡った頃の日記。
貴族の家に生まれた運命に逆らって自分の力で生きていく決心の日々。
更に福田さん新しい日記帳を製本する依頼も受けていた。
うわ〜っ!すごい。
ベニシアさんが描いたハーブのイラストをコラージュした見開き。
きれい!あ〜それで自分の日記に使えるということね。
ありがとう。
ベニシアさんのこれからを記していくベニシアさんだけの日記帳が出来た。
ありがとう。
大阪・天満にある製本工房。
福田さんは週に2日ここに通い製本の技術を磨いている。
本にしていくのにページを何枚かづつ束ねていく作業です。
3枚1つで今束ねているところです。
福田さんが本を作るのはあくまでも趣味。
とはいえ最近では展覧会を開くとベニシアさんのように仕事を依頼してくる人もいる。
そんな福田さんが製本の世界を知ったのは今から10年前。
47歳の時だった。
九州で生まれ育ち就職を機に京都に来た福田さん。
和菓子などのあんを作る会社に勤め仕事に励む一方で自分が夢中になれるものを求めていた。
そして巡り合った製本の世界。
子どもの頃ね僕のふるさとの家の前に本屋さんがあるのね。
本屋さんに行くといつも小さい頃ねおばちゃんが…。
まだ…どう言うんかな。
中が真っ白で外だけがちゃんと装丁してある本があるのね。
それをくれたりしてたんですよ。
それが何か面白いなとは思ってて。
小さい頃によく本屋さんに行ってそこが遊び場みたいな感じだったんです。
中身は白いだけの美しい装丁の見本にはまった子ども時代を思い出した福田さん。
今では国際製本展で仲間と共に入賞するほどの腕前になった。
本を読むだけじゃなくてなんていうか…。
何か深い感じがしてね。
本に対する愛着が。
ただ単に読んでたんじゃなくて。
世界に1つしかないわけでしょ。
自分が作ってるわけですから。
売ってない本が自分の手元にあるというのがワクワクするというかね。
既存のものにとらわれず素材やデザインを自分で考える。
そして表紙を見るだけで内容や登場人物などに想像が膨らむような本を作りたいと福田さんは言う。
「世界に1つの本を作りたい」。
そんな福田さんが使う材料はユニーク。
これは針金を革に埋め込んだ作品。
そして今凝っているのは布を使った製本だ。
ベニシアさんから依頼された新しい日記帳。
この装丁にも布が使われていた。
これはマーブリングの紙ですね。
ここが古い布で裏打ちしてありまして頑丈になってます。
僕は結構古風をこだわったりします。
北野天満宮でフリーマーケットもありますし安く手に入るんです。
はぎれですけどね。
カーテンの切れ端とか。
どんどん部屋にたまって置く場所が無くなるような感じになります。
人生の折り返し地点で生きがいを見つけた福田さん。
これまで誰も見たことがないような本を作るのが目標だ。
(福田)これで出来上がりです。
紙からとじて装丁までして1冊の本が出来るというのがすごい感動でしたね。
行ったら一日中でもそこに居たいぐらいなんですけど時間すぐたっちゃいますね。
もうあっという間に。
どんなに時代が変わっても本はきっと無くならない。
その1冊ずつに作る人の読む人の思いが込められているかぎり。
梅雨も本番を迎える。
その前にベニシアさん庭の雨対策をする。
ハーブが植えられた前庭に炭を埋める。
ヒソップとかラベンダーとかタイムとか雨に弱いのね。
でも炭を入れたら水分を吸ってくれるから。
ちょうど今梅雨の間ですからちょっとやったらねいいと思います。
「炭は給水効果だけでなく微生物も吸着し土壌を改良してくれる」と言う。
何かこういうもの見るとやらないといけない仕事いっぱい見つけるのよ。
だからガーデニングはエンドレスね。
ず〜っと楽しむことが出来る。
終わりがない。
自然と一緒に遊んでるみたいな感じで。
何かちゃんと見てあげたら結局植物がすごく喜んで生き生きしてるのね。
それ見たら何かうれしいのね。
手間をかければちゃんと応えてくれる。
庭は生きているから。
ベニシアさんはそれがうれしい。
裏庭の植物たちもベニシアさんの手助けを待っていた。
これはイギリスのアイデアですけど植物が倒れないように。
例えばこのユリね。
雨が降ると揺れるからこうしたらバランスがね。
倒れないようにやってます。
そろそろ花を咲かせるユリ。
雨で倒れないように支柱を立てる。
これはちょっと…ササユリ。
日本の山で育ったユリ。
このササがいい支柱になります。
これはすごい細いからこのユリ。
こういうふうに8の感じでやるのね。
そうしたらちょっと動くことができるし風がちょっときたら揺れる。
でも折れない。
数日後裏庭のユリが見事な花を咲かせた。
ベニシアさんがここに越してくる前から庭にあった梅の木。
毎年6月になると実をつける。
その実を自ら収穫するのがこの季節の恒例行事になっている。
ベニシアさん毎年取った実は梅酒にしているが今年は梅シロップに挑戦。
瓶に洗った梅を入れ砂糖と酢を入れるだけ。
梅シロップみたいなのが欲しいと思って今年はね。
そしたら子どもでも飲めますから。
まあ新しいものを作るのも面白いし。
最後は酢入れます。
出来上がりは1年後。
やりたいことがたくさんある。
これがベニシアさんの梅雨の過ごし方。
2015/06/28(日) 18:00〜18:30
NHKEテレ1大阪
猫のしっぽ カエルの手・選「梅雨の過ごし方」[字]
京都大原に梅雨の季節が訪れた。この時期はもっぱら読書を楽しむベニシアさん。ハーブの周りに炭を置き湿気対策。装丁家の友人にお気に入りの日記帳を修復してもらう。
詳細情報
番組内容
京都・大原に梅雨の季節が訪れた。梅雨の時期は、もっぱら掃除や本棚の整理をしながら読書を楽しむベニシアさん。古い本を広げ、それぞれの思い出に浸る。梅雨の晴れ間をぬって、湿気に弱いハーブの周りに炭を置き、湿気対策を図る。ドクダミを摘んで化粧水を作る。午後、大原の行きつけのカフェへ出かけ、本の修理や装丁をする友人・福田眞基さんと再会。修復してもらったお気に入りの日記帳を受け取り、感動する。
出演者
【出演】ベニシア・スタンリー・スミス,【語り】山崎樹範
ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – 自然・動物・環境
ドキュメンタリー/教養 – カルチャー・伝統文化
趣味/教育 – 園芸・ペット・手芸
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz
OriginalNetworkID:32721(0x7FD1)
TransportStreamID:32721(0x7FD1)
ServiceID:2056(0x0808)
EventID:34756(0x87C4)