たぁ!うわ〜。
いててて…よし今度こそやぁ!とう!うわ〜。
負けるものか。
昔むかし優れた武士になるため幼い頃から剣術や学問の教育を受ける2人の兄弟がいました。
兄は教えられたことはすぐに覚え学問も剣術の腕も上達していきました。
しかし弟のほうは何をやってもさっぱりうまくいきません。
読み書きを教えられてもすぐに忘れてしまいなかなか頭へ入っていかないのです。
顔立ちはりりしく体格にも恵まれている弟の姿に屋敷の者は誰もが首をかしげました。
お前は我が家の恥だ。
これ以上この家におくことはあいならぬ。
弟は自分のような未熟な者がこの家にいることで家族に肩身の狭い思いをさせることを気にしていました。
わかりました。
今までのご恩忘れはいたしませぬ。
父親も心を痛めていました。
別の道を探し出し自立させるための決断であったのです。
弟は心を決めて家を出たものの遠ざかるにつれだんだんと不安がこみ上げてきました。
《剣の腕もなく読み書きもろくにできない者がこれからどうやって生きていけばよいのだろうか》しばらく行くと妙に輝いている川が目に留まりました。
うわっ!なんだこの赤毛は。
何者だ?初めてお目にかかりますどうやらあなたと私は同じ星のもとに生まれついたようですね。
同じ?同じものか。
お前は何者だ?これを読んでみなされ。
《手紙?読み書きもできず家を出て途方にくれている身に》バカにするな!たぁ!待て待て。
私たちは何のために戦っているのだ?そう言われてみると…。
私も別段あなたに恨みなどない。
私もあなたと同じだったのです。
幼い頃から剣術も読み書きも苦手で家を出なければならなくなっていました。
途方にくれこの川岸へやってきてぼんやり眺めていると川の水が青く輝きだしました。
聞くがよい若者よ東のはずれに湖がある。
いまや魔神の巣窟となろうとしているのだ。
そこには人間がこの世のために守るべき大切なものがある。
選ばれし若者2人よその2人があなたと私ということなのです。
しかしなぜ私のような力も学もない者を選んだのだ。
魔神の餌食にでもしようというのか?フッ力なき者が先ほどの俊敏な動きなどできるものかな?《確かに。
不思議だと思っていたがなぜ?》自分たちにはもともと優れし力があったのです。
しかし初めからその力を発揮してしまえばこうした使命に出会うこともなく生きていったことでしょう。
この手紙を読んでみてください。
弟は手紙に目をやりました。
するとあれだけ覚えられずにいた文字が不思議と苦もなく理解ができました。
手紙には若者に話を聞かされていたことがしたためられていました。
思わずカッとなり無礼をいたしました。
私も神に選ばれたからには使命を果たします。
では早々に東の湖へともに向かおう。
しかしなぜあなたは青毛なのですか?ん?ハハハハそういうそなたは赤毛ではないか。
あっそうであったか。
(2人)ハハハハ。
弟と若者は東の湖へ出発しました。
フフフハハハ。
我が魔窟へよう入り込めたものだ。
神の願いなどつまらぬものを聞きおって。
たかが人間ごときを…承知のうえか?グオ〜ン。
よし行くぞ。
おう。
えい。
とう!やぁ!たぁ!
(2人)うわ〜。
いくぞ使命の力。
勇気の力。
グオ〜!魔神は崩壊していった。
しかしなぜこの湖が魔の巣窟になろうとしたのだろう。
弟と若者は何かを感じていた。
そして生涯にわたりこの湖を守り続けていったという。
大切な何かを知るために。
(鼻歌)ちょいとご隠居。
エヘヘヘ。
バア。
ギャ〜!ケケケケケ。
昔村人を化かしては食べ物を奪うキツネとタヌキがおった。
あ〜ん。
自慢なんだけど今月はざっと数えて30回は化かしてやったのよ。
さ…30回だ?まだ月半ばだ。
化かすのはいいがウソはダメだウソは。
1日2回化かしたのさハハハハ。
あ〜ん。
ヘヘヘヘヘヘヘヘ。
残り物だけどおあがりタヌキや。
ウフフフ。
バレたか。
もっと腕磨くべ。
フンッ!以来タヌキは日々厳しい化け方修業に励んだ。
えいやあキエ〜イ!お〜腕を上げたようだね。
おうさ我こそ化けダヌキ日本一!そこまで言うなら勝負するかい?負けたほうが家来になるというのはどうだい?う〜よし!負けてほえ面かくなよ。
フフフフ。
化かしの勝負の約束をして数日後。
《オホホホいただき》苦〜い!ペッペッ。
魚に見えたのはなんと苦い木の実。
どうだまいったかヒャヒャヒャ。
あっぼた餅!フゥ〜。
こんな罠はお見通しだぜよっ。
あ〜!ぼた餅ではなくカニだった。
オホホホ引き分けだよ。
え〜い勝負はまだまだ。
望むところさ。
村人を化かすことなどもうそっちのけ。
ありゃ何じゃ?2匹は化かしの勝負を続けた。
お次は大きいもの比べだよ。
決着つかず。
次はどれだけ高く上がれるかだ。
ハァハァハァハァ…。
簡単に化かせるのは人間だぁ。
ハァハァ…何考えてんのさ。
村中の人間をどっちがどれだけ長く化かせるか。
それで勝ち負けを決めるべ。
いいねぇ。
ひと月ほどたったある日。
村はずれの荒れ寺の境内に見世物小屋が建った。
居合と剣舞与三郎一座だと。
軽業おさん参上?よさそうじゃねえか。
覗いてみるか。
噂を聞きつけ村人が次々とやってくる。
与三郎こと旅芸人の正体はタヌキ。
(村人たち)はぁ〜!とくれば軽業師おさんの正体はキツネ。
長丁場でいくぜ。
望むところさ。
(2人)はっ!
(2人)よう!はっ!ふん!よっおさん日本一!よっ与三郎こっちも日本一!《降参するなら今のうちだよ》《そっちこそつらそうだぜ》え〜おでんえ〜いなりずし。
いい匂いだ。
やあやあやあ…。
あ〜れ〜負けるもんか。
朝から何も食べていない与三郎とおさん。
とうとう…。
なんだ?どうした?ありゃタヌキだぞ!ほらキツネ!
(どよめき)はぁ〜くたびれもうけだったね。
一世一代の大芝居をしておでんの一つも食えなかった。
ところがそれ以来…。
与三郎ダヌキに会ったら江戸で評判ちゅう歌舞伎役者に化けてほしいだよ。
わしゃおさんギツネだな。
べっぴんの静御前の舞いを見たいわい。
(2人)ハハハハハハ。
こうしておさんギツネと与三郎ダヌキは村から姿を消した。
けれども山に入ると楽しそうに芝居をする2匹の姿を見ることがあるという。
昔むかしあるところに八蔵という若い侍がおりました。
八蔵は鵜を捕らえてはそれを売りわずかな稼ぎの足しにしておりました。
おい若いのやめんか〜。
危ないぞ〜。
(八蔵)えっ誰だじいさん?まだ小さな雛を巣から落としてはかわいそうじゃ。
鵜は魚をうまく捕まえるから漁師に高く売れるんだ。
だから雛のうちに捕まえて訓練するのさ。
祠のある神聖な場所でそんな乱暴な振る舞いを。
とって食うわけじゃねえだろ。
とって売るんじゃろうが。
神仏の怒りに触れようぞ。
なあに神や仏なんているもんかハハハハハ!あ…あ〜っ!ほ〜れ言わんこっちゃねえ。
バチが当たったのぉ。
(八蔵)バチだ!?そんなことあるもんか。
あっあれ?か刀が…大切な家宝の刀がねえ。
八蔵の刀は海の底の暗い穴の中へ。
取り戻したい一心で八蔵も穴の中へ入っていきました。
しばらく狭い穴の中を進むとぽっかり開けた場所に出ました。
何だここは?お〜いその先は危険じゃぞい。
あきらめて戻ってこ〜い。
なんだここは祠の真下なんだな。
(八蔵)誰があきらめるもんか!う〜ん。
八蔵は手探りで刀を探しながら暗い洞窟の中を進んでいきました。
《ない…ないぞ。
いったいどこまで流れていってしまったんだ》ついにわずかな光も届かなくなりさすがに八蔵もあきらめて戻ろうとしました。
しかしどこをどう来たのかさっぱりわからず八蔵は迷ってしまいました。
どうしよう狭いし暗いしこんな所で死にたくないよ〜うぅ…。
光だ!あそこから外へ出られるかもしれないぞ。
はぁ〜助かった空気がうめえ。
あんな山見たことねえな。
ここはどこだ?そこは…。
シャ〜こんなところに人がおる。
うまそうだマオウ様の土産にしよう。
なんと鬼の国でした。
えぇ〜!八蔵は鬼に捕まり牢屋に入れられてしまいました。
《あぁ〜地獄へ来てしまったのかな。
もう元の世界には戻れないのかな。
神様仏様どうかお助けくださいませ》ダメだよな…。
《今までまるで信じてこなかった神や仏に祈ったって聞いてくれるわけないよな》シャシャシャ!よ〜しいい感じに煮立ってきたぞ。
久しぶりのごちそうだからなよ〜く煮込もうぜウシャシャ。
あ〜まさかあの中に…。
マオウ様準備万端ととのいました。
わかったそろそろ始めるとするか。
(八蔵)た助けてください!俺絶対まずいですよ。
そんなもん食ってみなきゃわからんだろ。
(八蔵)イヤだ〜!だいたいここは人間の来るところではない。
いったい何をしにきた。
八蔵は泣きながら今までのことを話しました。
落とした刀を探しにここまで来てしまったと。
大切な刀…これのことか?あっ!そそれです。
それを探してここまで来てしまいました。
決してこの地を荒らすために来たのではありません。
どうかお願いします刀を…。
あいえ刀は差し上げます。
せめて命ばかりは!よしわかった。
え!?そそれでは…。
これは私がもらっておく。
お前はこいつらの餌食としよう。
はい?
(鬼たち)わ〜い!なっ…イヤだ死にたくないよ!助けてくださ〜い!神様仏様!ヒャ〜ヒャヒャヒャヒャ!なっなんだ!?だいぶこりたようだな八蔵よ。
あの…じいさん?あれほど行くなと言ったではないか。
勇敢なのと向こう見ずではちょっと違うぞ。
じいさん。
か…神!死者の国の王よ。
どうか私に免じてその若者を許してやってくだされ。
あっはい喜んで許します許しますとも。
これもお返ししますから。
じいさんあんた…。
マオウに返してもらった刀が輝き始めました。
そうか…じいさんこの祠の神様だったのか。
ハッハッハッハッ!ありがとうございました。
それからというもの八蔵は信心深くなり日頃の行いも改まりました。
末は誰からも尊敬される立派な侍になったということです。
2015/06/28(日) 09:00〜09:30
テレビ大阪1
ふるさと再生 日本の昔ばなし[字][デ]
「さだめを背負った二人の若者」
「おさん狐と与三郎狸」
「地底の国」
の3本です。お楽しみに!!
詳細情報
番組内容
私たちの現在ある生活・文化は、昔から代々人々が築き上げてきたものの進化の上にあります。日本・ふるさと再生へ私たちが一歩を踏みだそうというこの時にこそ、日本を築いた原点に一度立ち返ってみることは、日本再生への新たなヒントになるのではないでしょうか。
この番組は、日本各地に伝わる民話、祭事の由来や、神話・伝説など、庶民の文化を底辺で支えてきたお話を楽しく伝えます。
語り手
柄本明
松金よね子
テーマ曲
『一人のキミが生まれたとさ』
作詞・作曲:大倉智之(INSPi)
編曲:吉田圭介(INSPi)、貞国公洋
歌:中川翔子
コーラス:INSPi(Sony Music Records)
監督・演出
【企画】沼田かずみ
【監修】中田実紀雄
【監督】鈴木卓夫
制作
【アニメーション制作】トマソン
ホームページ
http://ani.tv/mukashibanashi
ジャンル :
アニメ/特撮 – 国内アニメ
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
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