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台湾には、台湾の総人口のうち約2%を占める「台湾原住民族」といわれる少数民族がいる。
社会的にその文化に対する認識や評価が高まっている。政府や民間の機関は、原住民の言語や文化の発揚に力を注いでおり、
2005年には原住民族テレビが設立され、「原住民族基本法」が制定された。
なお日本統治時代には、「高砂族(たかさごぞく)」と呼ばれたので、その名称をご存知の方も多いだろう。
台湾原住民の歴史
台湾原住民とは、17世紀初頭に漢民族が中国大陸から台湾に渡ってくる以前、大昔からすでに台湾に住んでいた南洋民族の子孫とされている。
台湾社会は約2,300万人のうち原住民はわずか2%、それ以外の大多数は漢民族という構成になっている。
80年代に萌芽し90年代に盛んになった台湾の本土化運動が奇しくも彼ら原住民族に
自らのアイデンティティを確認する行動を取らせるきっかけとなった。名称や戸籍、委員会の設置など台湾政府が大陸と違った独自路線で
台湾の原住民族を治めていくことに舵を切った90年代半ばのこと。
十数部族
台湾原住民は大まかな分類として12部族に分けられ、あくまでも分類上のもので実際は使用言語の違いや伝承、生活習慣の違いなどから、
より細分化される。台湾原住民の研究・分類を推し進めたのは、1895年から1945年まで約50年間の長きにわたり台湾を植民地支配してきた
日本人の学者だった。以前は"九族"とされていたが、2002年10番目の民族としてサオ・ツァオ(Thao/倦ー)が認証され、2004年にはクヴァラン(葛瑪蘭族)と
タロコ(太魯閣族)が認証された。(原住民総人口…約46万人/文献:人口統計は2005年7月付の資料より抜粋)
♦アミ・アミス(Ami/阿美族)... 北部の平原から台東まで、東海岸の広い地域に分布(最も人口が多く、16万人)
♦タイヤル・アタヤ(Ataya/泰雅族)...台中、埔里、花蓮より北の山岳地区、台中、南投、苗栗、新竹、桃園、台北、宜蘭、花蓮など。(人口約9万人 阿美族の次に多い。)
♦パイワン(Paiwan/Payuan/排灣族)...屏東県の八つの山地郷、および台東の大武・太麻里一帯に住む。(約8万人 勇猛で知られる)
♦ブヌン(Bunun/布農)...台湾の中央山脈の両側、海抜1000〜2000メートルの場所に住む典型的な高山族(約5万人)
♦ルカイ(Rukai/魯凱)...台東県卑南郷、屏東県霧台郷、高雄県茂林郷などに住む。(約1万1千人)
♦ピヌユマヤン・ピュマ(Puyuma/卑南族)...台東の平原、卑南郷に住み、別名「八社藩」とも呼ばれ、集落は八社十村落のみ。
文化的特徴は母系社会、階級制度、シャーマンの儀式などが挙げられる。(約1万人)
♦サイシャット(Saisiat/塞夏族)...新竹県と苗栗県の交わる山岳部に住む。(6千人)
♦ツォウ(Tsoa/鄒族)...嘉義県阿里山郷、一部は南投県信義郷に住む。(6千人)
♦タウ(Tawu/達悟族)旧称ヤミ(Yami/雅美族)...東海岸に位置する小島、蘭嶼島に住む。(4千人)
一般的にはヤミ族として知られているが彼らの言葉ではタウ族
♦サオ・ツァオ(Thao/倦ー)...ほとんどが日月潭付近に住んでいる。(600人)
♦クヴァラン(口葛瑪蘭族)...(千人)
♦タロコ(太魯閣族)...日本統治時代はタイヤルの一系統と分類されたが、2004年1月14日に12番目の原住民族と認められた。男女とも16歳から20歳ごろに顔面を中心にイレズミをおこなった。男性のイレズミは狩猟や敵の首をとったことを示した。女性のイレズミは、大人になったことと織物の技術が優れている証として、美しさを増すものとして入れられた。粟を収穫した7月におこなわれる祖霊祭が、重要な祭礼である。(2万2千人)
♦その他...(6万5千人)
原住民出身の有名人が多数!
日本で安室奈美恵が『沖縄ブーム』を起こしていたころと時を同じくして、台湾ではブノン族出身のアーメイ(張惠妹)が『原住民ブーム』を起こしていた。
原住民出身の歌手、が出自を明らかにした上で、台湾の音楽市場に一大センセーションを巻き起こした。原住民的要素を前面に押し出した楽曲「姐妹」でも受け入れられ、
それ以降原住民であることが一種のアピールポイントとなり、音楽の面では原住民の才能が広く認められている。
実際、台湾の芸能界では原住民出身のアイドルや歌手が多数活躍している。日本でも活躍していたビビアン・スーや、
日台の観光大使も務めていた大人気の若手男性4人組「F4」のメンバーのヴィック・チョウ(周渝民)、ジェリー・イェン(言承旭)や、
ショウ・ルオ(羅志祥)、男性デュオのパワーステーション(動力火車) らも原住民の血を引いている。原住民は、歌って踊ることが好きなので
その血を受け継いでいると言われている。芸能人以外にも、プロスポーツ選手にも原住民出身の人が多くいる。日本プロ野球で活躍している
日ハムの陽岱鋼(よう・だいかん)選手などもそうだ。
文化保護が重要課題
現在、母語と言われる原住民独自の言葉や風俗習慣といった文化保護が重要な課題となっている。若い世代の人々では、
原住民独特の言葉を話すことができず、中には聞き取ることさえもできない人がいるというのが現状である。
学校でも國語(標準中国語)教育を行っているため、母語を教える機会がなく、なおかつ教育の為の理論体系も確立されておらず
教師もいないため教える事が非常に困難である。また風俗習慣についても、祖先が文字を持たなかったために彼らには文献も残されていない。
そこで、現在台湾政府では、原住民の言語や文化の保存・維持への取り組みの一環として、原住民の村落にある小中学校のカリキュラムの中に、
それぞれの村落の言語を学ぶための授業を取り入れている。
「台湾原住民」は、自然との共生の文化・明るく元気な気質といった固有のプラス面が台湾全体で見直されつつある。芸能人や野球選手でも
原住民出身で人気のある人は多い。原住民の人口は台湾総人口の約2%とされているが、原住民の女性は漢族と結婚すると原住民籍を失うため、
実際はその子どもたちも含めると2%より多いという。そこで、その原住民籍を失った人の中には、
アイデンティティーを取り戻すために、再び原住民籍を持って原住民氏名を使う人も増えている。
台湾原住民の文化や気質に多くの人が好印象を抱き、原住民出身の芸能人がこれほど進出しているかを知る一方で、
就職の問題や観光開発と文化の問題、教育格差や医療格差など原住民はいまだ多くの問題を抱えている。しかし、民族固有の文化を保護する
動き、ポピュラーカルチャーへの浸透など、「古くからの文化と新たな文化」という二つの文化的側面において、今後期待できる動きが多くあると
感じ、このコラムを通じて多くの人に台湾原住民の素晴らしい文化を知っていただけたうれしいです。
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