新国立競技場:工費2520億円、完成2カ月遅れ…文科相

毎日新聞 2015年06月29日 11時50分(最終更新 06月29日 12時54分)

 2020年東京五輪・パラリンピック組織委員会の調整会議が29日、東京都内であり、主会場となる新国立競技場の建設について、現行のデザイン案で総工費が2520億円となることが下村博文・文部科学相から報告された。内訳や建設会社との契約時期などの詳細な内容の説明はなく、7月7日に事業主体である日本スポーツ振興センター(JSC)が開催する将来構想有識者会議で明らかにする。工期は今年10月の着工で変わりはないが、完成時期は当初の予定から2カ月遅れとなる19年5月末を目指すことも報告された。

 調整会議は五輪・パラリンピック関連の組織のトップが集まり、調整を図る機関。組織委の森喜朗会長、東京都の舛添要一知事、下村氏らのほか、今回から新任された遠藤利明・五輪担当相が加わった。

 会議後、下村氏は19年のラグビー・ワールドカップ(W杯)日本大会に向けて「ぎりぎり間に合うと思う」と述べ、開催に支障はないとの考えを示した。今後は当初予定より大幅に膨らんだ総工費の財源が焦点となる。この日は開催都市・東京都に費用負担は要請しなかったが、下村氏は「上限を上げてお願いするつもりはない」と述べ、当初の方針通りに500億円を求める考えを強調した。財源確保のため、命名権(ネーミングライツ)や寄付を検討する考えも示した。

 費用負担を巡っては国と東京都の対立が続いている。森氏は「東京都と文科省の間に立って、ぜひ調整役をお願いしたいと申し上げた」と述べ、今後は遠藤氏が調整を進めることを求めた。遠藤氏は「東京都にどうやって協力をお願いできるか、国の財源以外にないか。みんなで考えていきたい」と述べ、財源確保に努力する考えを強調した。

 総工費は昨年5月の基本設計段階の1625億円から約900億円増えた。国際公募した建築家ザハ・ハディド氏が提案したデザインを基本的に維持したが、開閉式の屋根の設置は20年東京五輪・パラリンピック後に先送りした。8万人の常設席のうち1万5000席分を取り外せる仮設席とした。森氏は国際オリンピック委員会(IOC)の名前を挙げ「他の立候補都市と比較して、支持を獲得できた大きなポイントはあの新国立競技場の姿のはず。IOCの評価、期待を忘れてはならない」と述べた。

 招致段階で1300億円だった総工費は、その後の試算で最大3000億円となることが判明。基本設計で1625億円に抑えたが、見積もりの甘さと人件費や資材費の高騰などで再び膨れ上がった。【田原和宏、三木陽介】

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