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アジア投資銀、北京で設立協定署名式 7カ国が署名せず

2015/6/29 10:01 (2015/6/29 12:04更新)
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 【北京=大越匡洋】中国が主導する国際金融機関、アジアインフラ投資銀行(AIIB)の設立協定の署名式が29日午前、北京の人民大会堂で開かれた。創設メンバーとして参加を表明した57カ国のうち、フィリピンなど7カ国が今回、署名せず、運営を開始する年末までに対応を決める。中国は議決権の26.06%を握り、重要な案件で事実上の拒否権を持つ。

アジアインフラ投資銀行の設立協定に署名する中国の楼継偉財政相=29日、北京の人民大会堂(代表撮影・共同)

 昨秋、アジアの21カ国が設立に合意したAIIBはその後、英国など欧州勢が相次いで参加を表明し、創設メンバーは57カ国まで膨らんだ。米国と日本は参加を見送っている。今回、50カ国が設立協定に署名した。

 フィリピン、デンマーク、クウェート、マレーシア、ポーランド、南アフリカ、タイの7カ国は29日の署名を見送った。AIIBの設立準備事務局は「年末の運営開始まで7カ国の署名を待つ」としたが、署名見送りの理由は説明しなかった。

 中国の楼継偉財政相は署名式で「AIIB構想はアジアの経済成長の促進、世界経済の回復という客観的なニーズに適している」と強調した。AIIBの資本金は1千億ドル(約12兆3千億円)。全体の75%をアジアなど域内メンバー、残る25%を欧州を含む域外メンバーに割り振ったうえで、原則として国内総生産(GDP)の規模に応じて分配する。

 中国の出資額は297億ドルと最大だ。資本金の一部は割り当てが決まっていないため、中国の出資比率は30.34%となり、8%台で2位のインド、6%台で3位となるロシアを大きく引き離す。

 本部は北京に置く。組織運営の中心となる理事会は域内9人、域外3人の計12人で構成する。理事は運営コストを削減するため、北京に常駐しない。任期5年の総裁は初代ポストを中国が握り、金立群・元財政次官が就く見通し。総裁ら執行部の権限が大きく、その分、中国の影響力が増す。

 組織運営を決める各国の議決権は出資比率に基づいて算出し、中国が26%を確保する。理事会の構成変更や増資など、設立協定で最重要と位置づける案件は議決権の75%以上の賛成を必要とする。25%超の議決権を持つ中国が反対すれば可決できず、中国が事実上の拒否権を持つ仕組みだ。

 アジアのインフラ需要は2010~20年に8兆ドルに上ると試算されるが、既存の世界銀行やアジア開発銀行(ADB)は必要な投資資金を賄い切れていない。

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AIIB、習近平、ADB、楼継偉、中国、国際金融機関

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