実はジェンダーのことについて話すのはあんまり好きじゃない
大島 そういったカテゴライズについては自分の中でも考えるところはあります。でも実はジェンダーのことについて話すのはあんまり好きじゃないんですよ。
それこそ「みんなに訴えかけよう!」なんて全くなくて……それも僕を見て他人が判断すればいいことだと思うので。
トランスジェンダーといっても、MtX(男性の体に生まれ、Xジェンダーの認識がある人)、FtX(女性の体に生まれ、Xジェンダーの認識がある人)とかいろいろありますからね。
※Xジェンダー…出生時に割り当てられた女性・男性の性別のいずれでもないという性別の立場をとる人々
カテゴリーができることによって救われた人もたくさんいると思うんです。それこそ一昔前みたいに同性愛を苦にして自殺する人も減ったでしょうし、誰にも言えず引きこもって1人で悩むこともネットの発達で少しは解消されたと思います。でも、カテゴリーを分けることによって、無理矢理そこに自分をあてはめようと努力しちゃうんじゃないかなって思うところもあります。
「自分らしくありのままに生きる」、「他人はその人自身で捉えてあげる」
──既存のカテゴリーに当てはめて考えると、より窮屈になる?大島 僕がゲイじゃないかニューハーフじゃないかと悩んでた時も、既存のカテゴリーにしか自分を当てはめて考えられなくなっていたと思います。でも、「ゲイ」、「レズビアン」、「ニューハーフ」とか、そこに「MtF」(女性化を目指す男性)だったり「FtM」(男性化を目指す女性)だったりという性同一性障害のカテゴリーも加わってきたり……。
ずっと思ってたことがあるんですけど、四つ角があるから四角、五つになったら五角形というように角をたくさんつくっていくと、どんどん丸になるんですよね。細分化されたカテゴリーもそんなイメージで、垣根がなくなってだんだんフラットになっていくんじゃないかって。それで、のちのち「どんなカテゴリーかじゃなくて、結局その人自身がどうかってことだよね」と気づく。その過程段階に入ってる時代なのかなって。
──言葉がイメージを縛っているんでしょうか?
「ゲイだから髪の毛短くするんだ」とか「ひげを生やすんだ」とか「オネエ口調で喋るんだ」ではなくて、「あの人はゲイで、かつオネエ口調で話すタイプの人だ」という感じに解釈すべきなんじゃないかなと思います。
昔の「女装子」だって本来なら女装癖なだけなのに、「女装するんだから綺麗にならなきゃ! じゃあ女性ホルモン打たなきゃ」と考えるのはあまりに短絡的というか、そこは別にみんなと一緒にしなくていいじゃんって。「自分らしくありのままに生きる」、「他人はその人自身で捉えてあげる」っていう世の中になればいいなと思いますね。
僕を見てくれた答えがそうなってくれるといいなという気持ちではいます。それでも僕を「男だ」「女だ」「オカマだ」というふうに区別したい人がいるなら、それはそれでいいんじゃないかな。
なにかしら自分が発信していけば、それを受け取った人が何か考える。それが批判的な意見であっても拒否反応であっても、そこに何かが生まれることがその人生に影響を与えることになると思うので。否定的な発言からまた意見が生まれるわけだし、こうしてくださいって人に強制するものではないと思います。
遠い島国のおじいちゃんまで知ってるような存在になりたい
大島 昔に比べてSEXとかの話を公の場で語れる人が増えたというのは生活していて思うことですが、マスメディアは逆で、昔は深夜番組とかだとお茶の間にも女性の胸が普通に放送されていたのに、今は一切禁止になってますよね。すごくスポンサー至上主義というか。しょうがないことなんですけどね。
じゃあ刺激を求めてる人はどこに行くかといったら、ネット番組やネットメディアになっちゃうわけで、そこのズレがなんとかならないのかなっていうのはすごく思います。
──マスメディアも奔放になるべきだと?
大島 やり方はいろいろあると思います。もちろん子供が帰ってきてTVでおっぱい出てたら、それは問題なわけで、もちろん配慮すべき点ですが、全チャンネルを有料化にしちゃうとかして、みんなが好きな番組を視聴できる選択肢を持てるようにしたらいいんじゃないかなとか……。それは僕が考えることじゃないですけどね。
──かなり踏み込んだ質問に答えていただきありがとうございます。それでは最後に、今後の展望についてお聞かせください。
大島 タレント活動に力を入れていきたいです。もともとお笑い芸人の方と舞台に立ってトークとかもしていたので、これからどんどんやっていきたい。あと、意図していなかったのですが、なんだかんだコラムなどの執筆のお仕事も来ていて、のちに本も出せれば嬉しいです。オリジナルTシャツもつくったりしてます。(大島薫通販特設所 http://kaoruoshima.theshop.jp/)
テレビでもラジオでもなんでもいいですけど、自分の名前を広めることはやっていきたいです。できるなら遠い島国のおじいちゃんまで知ってるような存在になりたいですね。
大島薫 // おおしまかおる
純粋な男性でありながら、男の娘として大手AVメーカーと専属契約をした元AV女優。
現在はタレントとして活動中。
ヴィレッジヴァンガード、シンデレラバスト専用下着ブランド「feast by GOMI HAYAKAWA」ではモデルとしても抜擢。
GAP原宿フラッグシップ店の「OUT IN JAPAN」プロジェクトにおいて、多くの著名人と並び、男の娘として大々的に紹介された。
作家としての執筆活動も熱心に行っている。
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