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 中日新聞
   2015年4月20日 の記事

いま大津市立図書館に何がおころうとしているかご存知ですか?
大津市では、『指定管理者制度』の積極的な導入が検討段階に入っています
2003年に『指定管理者制度』ができ、それまでの規制が緩和され、図書館などの公共施設の管理運営を民間業者が請け負うことができるようになりました。

滋賀県下で『指定管理者制度』を導入した図書館は一館もなく、現在全国10%の図書館にこの制度が導入されています。

なぜ、大津市は『指定管理者制度』の導入をすすめているのか?
背景にあるのは、自治体の財政難と大津市の図書館利用者が極めて少ないことです。

利用者の登録率(人口比)は、大津市の図書館が14%、県下全図書館の平均(以下県平均と記す)は23%。

では、図書館の利用者が少ない要因はどこに

(1)図書館の本の購入費が
   少なすぎます。
本の購入費(人口一人当たり)...大津市は118円で、滋賀県下最下位
                 (県平均は304円)

(2)だから、貸出数も低いのです。
個人貸出冊数(人口一人当たり)..大津市は4.75冊で、滋賀県下最低
                 (県平均は8.35冊)

(3)人口に比べて蔵書数も見劣りします。
蔵書数(人口一人当たり).....大津市は2.27冊
                 (県平均は6.63冊)

(4)図書館の職員に占める司書の割合も低い。
専任司書率............大津市は47%
                 (県平均は80.7%)


(1)〜(4)
で比較した数値
をグラフで表し
ますと、右図の
ようになります
 (5)さらに、専門職の不安定な雇用が長期的な計画を立てにくくしています。
平成26年4月には本館の専門職の館長、副館長を共に他課へ異動させ、長期にわたる図書館の構想や地域に根差した運営ができなくなっています。

指定管理者制度の導入を考える前に、大津市はするべきことがあるはずです
図書館の利用の向上を図るために、大津市は現在の図書館を見直し、人的配置や予算を増やして大津市立図書館の運営方針(資料3)を真に実効あるものとしていただきたいと思います。

公共図書館の使命を考える時、提供されるサービスは指定管理者に委託するべきではなく、市民のために大津市がするべきものです。(資料4

以上の現状を踏まえ、私たちは2015年1月9日に
     『図書館を考える大津市民の会』をたちあげました。

【参考資料】
    図書館の役割や図書館サービスのあり方は、法のもとに定められています
図書館の役割は、憲法によって保障されている、知る自由と、等しく教育を受ける権利等の精神に基づくものです。
図書館サービスのあり方は、教育基本法の精神に基づく図書館法の中に定められています。
教育基本法第12条2項は、『国及び地方公共団体は、図書館、博物館、公民館その他の社会教育施設の設置、学校の施設の利用、学習の機会及び情報の提供その他の適当な方法によって社会教育の振興に努めなければならない』と定めています。
    図書館の自由に関する宣言(日本図書館協会)
図書館は、基本的人権のひとつとして知る自由をもつ国民に、資料と施設を提供することを、もっとも重要な任務とする。この任務を果たすため、図書館は次のことを確認し実践する。
  • 図書館は資料収集の自由を有する。
  • 図書館は資料提供の自由を有する。
  • 図書館は利用者の秘密を守る。
  • 図書館はすべての検閲に反対する。
図書館の自由が侵されるとき、われわれは団結して、あくまで自由を守る。
    大津市図書館の運営方針 (大津市図書館協議会 H26.8)
  • 市民の求める図書を自由に気軽に貸し出すこと
  • 児童の読書要求に応え、児童サービスに重点をおくこと
  • あらゆる人に図書を貸し出し、図書館を市民の身近な施設とするため、市内サービス網を形成すること
    指定管理者制度の問題点
  • 図書館の継続性・安定性が失われます
  •  
    指定管理者制度を導入すると、基本的に3〜5年で業者が入れ替わる可能性があります。司書や職員の継続雇用も難しくなります。経営が悪ければもっと早く交代します。新しい業者はまた一から図書館運営を始めなければなりません。図書館では新しい本から絶版になった古い本まで、郷土の資料や専門書など、扱う資料は多岐にわたるため、経験と知識を蓄積した司書が継続して業務に携われる体制が必要です。
     
  • 指定管理の委託業者は支出を減らすことでしか利益を増やすことができません
  •  
    業者は収入を増やし支出を減らすことで利益を多くすることができます。これに対し、図書館の場合は図書館法で無料の原則が定められています。そうなると、業者は、司書等の人件費を削って利益を生み出すことになります。専門性の薄れた図書館の魅力は薄れ、来館者が減ればさらに人件費が削減されるという悪循環に陥り図書館はさびれていきます。
     
  • 図書館の本来業務が最優先されません
  •  
    図書館は、基本的人権のひとつとして知る自由をもつ国民に、資料と施設を提供することをもっとも重要な任務としています。それに対して、民間業者は利潤の追求を優先します。教育行政との意思疎通や連携もとりにくくなり、図書館活動に対する市議会のチェック機能も大幅に低下します。他の公共施設との連携・協力も困難となります。
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