[PR]

 世界一周をめざして飛行中、天候不良を理由に愛知県豊山町の県営名古屋空港に着陸した太陽電池飛行機「ソーラー・インパルス2」が29日未明、米ハワイに向けて離陸した。1日に着陸して約1カ月。慎重に天候を見極めてきた。今回、最大の難関となる太平洋上の飛行に旅立った。

 スイス人のアンドレ・ボルシュベルグさんが操縦する機体はスタッフに押されて滑走路まで移動。午前3時過ぎ、翼のLED灯を点灯させながら舞い上がった。順調に行けば、ハワイまでは5日間の飛行になる。

 世界一周はスイスの民間団体が企画した。3月にアラブ首長国連邦のアブダビを出発し、インドやミャンマーなどの各都市を経由後、5月31日に中国・南京からハワイへ向けて離陸。天候不良で予定を変更し、計画にはなかった名古屋空港に着陸した。

 スタッフは、専用のドーム形格納庫を持ち込み、機体を整備しつつ、飛行の機会をうかがっていた。24日には、機体は滑走路まで運ばれたが、離陸直前でハワイ周辺の天候が変化したため、延期された。

 同機はジャンボ機並みの72メートルの両翼などに、約1万7千枚のソーラーパネルが設置され、発電で得たエネルギーでプロペラを回す。蓄電することで夜間も飛行できる。(増田勇介)