韓国人は「サムスン」というブランドが付いていれば世界最高だと思うが、それは携帯電話や半導体などごく限られた分野の話だ。携帯電話もアップル並みかどうか疑わしいが、それはともかく、サムスンが世界最高だったとすれば、「サムスンが陥落したのではなく、韓国が陥落したのだ」などとこぼしたりはしないはずだ。それはあたかも「虎の威を借るキツネ」にも等しい言い分だ。
そうかと言って、MERS拡大の全責任がサムスンソウル病院にあるというのも言い過ぎだ。それなら患者はどこに行くべきで、MERSと誰が戦うのか。政府の対応ミス、公務員の利己主義、情報隠ぺい、大病院が好まれる傾向、感染者のモラルのなさは指摘されてしかるべきだが、韓国の医療システム全体を「信頼できない」とスケープゴートに仕立て上げることに熱中するのは乱暴過ぎる。
誰が何と言おうが、韓国の医師は大韓民国で最高の人材たちであり、MERSとの戦いは中でも精鋭が集まった総合病院が戦場にならざるを得ない。つい昨日まで韓国の医療水準を世界最高だと称えておきながら、きょうは事情が変わったといってたたけば、他に誰が我々を救ってくれるというのだろうか。
「韓国の物だから信じられない」という心理の根底には「非科学」がある。非科学は思考バランスを崩壊させ、ついには国家を滅ぼす。「外国人医師導入論」が登場するさまを見ると、壬辰倭乱(文禄・慶長の役の総称)の当時、明と組んで倭(日本)を討ったのはいいが、40年もたたないうちに清との間で丙子胡乱(1636-37)が起きると、倭に懇願して清を討つことを検討した歴史が思い浮かぶ。