これに対し、韓国政府の対応は「単線」だった。従軍慰安婦問題が解決しなければ、韓日関係正常化や首脳会談は難しいという原則だけ掲げてきた。このため、「韓国は日本との関係改善に消極的だ」という印象を与え、道徳的優位性があるのにもかかわらず、対米外交戦で後れを取るような状況になった。遅ればせながら「歴史問題と経済・安保問題の切り離し」という二重戦略に路線変更したが、日本に圧力を加えられるだけの手段はまだ見つかっていない。
歴史問題と経済・安保問題を切り離そうという中途半端な二重戦略は、長期的な代案にはなり得ない。非正常な状況を恒久化するこうした外交的ニューノーマル(New Normal)は、韓米同盟に悪影響を与えるのはもちろん、対中外交交渉力も弱体化させる可能性が高い。
安倍首相との外交戦で成果を挙げるには、原則のみを前面に押し出す単線的・消極的な対応から脱しなければならない。安倍首相が先に変わるのを待つよりも、日本に何を与え、日本から何を得るかを冷静に判断すべきだ。朴大統領も後ろに下がっているのではなく、主導的立場で取り組まなければならない。必要なら安倍首相に対し先に首脳会談を提案することも考える必要がある。韓国から対話と交渉を主導する姿勢を見せなければ、米国の支持を得られないし、日本人の否定的な認識も変えられない。慰安婦問題の解決に積極的な国連・ドイツなどと連携する一方で、9月に対日戦勝記念日を控えている中国との協力案も模索する必要がある。