須田世紀
2015年6月28日23時11分
昨年1月の青森県平川市長選を巡る現金買収事件で市議20人中15人が逮捕された平川市議会の議員選挙(定数20)が28日、告示された。立候補したのは現職12人、元職1人、新顔9人の計22人。党派別では共産1人、無所属21人となっている。投票は7月5日で、同日午後8時45分から市平賀体育館で即日開票される。6月27日現在の有権者数は2万7417人。
各陣営は午前8時半から受け付けが始まった立候補の届け出を済ませると、ポスターを貼るために市内各所の掲示場へと向かった。「市政を一新」「誠実に」。ポスターには事件を意識したとみられる表現があった。
事件により、市議会では辞職者を含めて9人が公職選挙法違反での有罪が確定。6人が同法違反(被買収)の罪で懲役10カ月執行猶予5年追徴金20万円とした一審・青森地裁弘前支部の判決を不服として控訴。仙台高裁秋田支部で控訴を棄却された1人を除き、5人が控訴中だ。
そのうちの1人は「(違反の)事実はない」として立候補した。また、5市議が辞職、失職して欠員が定数の6分の1を超え、公選法の規定により行われた昨年7月の補欠選挙の当選者8人のうち、今回の本選挙までに1人が辞職、1人が立候補しなかった。
新顔候補は「行政のチェックが1年以上停滞した。新しい平川をつくりたい」と告示日を迎え、リンゴを中心とする農業活性化のほか「クリーンな政治」の実現を訴えた。
一方、別の新顔候補は届け出直後の第一声で人口減少対策などを訴えたが、事件を受けての今後の議会のあり方には触れなかった。ベテラン市議は「今日は各地域を回るので演説はしない」と選挙カーに乗り込んだ。ほかの候補者たちも地元を中心に選挙カーで名前を連呼する姿が目立った。
弘南鉄道平賀駅近くに買い物に来た主婦(46)は「お金を配ることはないと思うけど、誰が当選しても議会への不信感は変わらないと思う」と話した。
2011年の前回市議選の投票率は73・97%、昨夏の補選は39・87%だった。ある陣営は今回の本選挙の投票率について、「市民の関心は低く、前回選挙より大幅に下がるのでは」と予想する。
また、黒石署は告示日までに、文書の掲示に関する事前運動で公選法違反の警告を1件出した。(須田世紀)
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