三井不動産、ロンドンの再開発で大勝負
複合的な街づくりで海外事業の飛躍を期す
日本流の複合開発は海外でも通用するか。
国内不動産デベロッパー最大手の三井不動産は、英ロンドンで、英国放送協会(BBC)から土地・建物を取得し、年内にも大規模再開発事業に着手する。総事業費は約4000億円に上る。
当該エリアは、ロンドンの開発促進地域に指定され、全体が変貌しつつある。周辺では理科系大学の新キャンパスの建設や、大型ショッピングセンターの増床が進む。
複合的な街づくりに、世界から高い関心
案件は二つのプロジェクトから構成され、延べ床面積は40万平方メートルになる。
「ホワイトシティプレイス再開発計画」では、既存ビルの改修や新たなビル建設を実施。BBCが長期テナントとなる。2017年竣工予定だ。
その近隣地で行う「テレビジョンセンター再開発計画」は、オフィスや約900戸の住宅、ホテルなどを複合的に建設するもの。英国人から"クエスチョンビル"の愛称で親しまれるBBCのスタジオが入居するビルの改修も含まれる。こちらは第1期工事が18年に完成する計画だ。
三井不は12年ごろから海外事業に対して一段と力を入れており、これまではオフィスビルや住宅などの単体を主に手掛けてきた。今回の案件は、同社が国内で強みを持つ複合的な街づくりのノウハウを海外で展開する、初めてのケースとなる。
欧米では不動産関連会社の機能が分化している。商業施設や住宅開発、建物運営管理のすべてを一手に引き受ける、日本の総合不動産デベロッパーのような存在は皆無に等しい。そのため、世界中の不動産関係者も注目している。
「市場を創造しながら成長を続けるリーディングカンパニーであるとともに、グローバルカンパニーとしての地位を確立する」。5月に行われた新中期経営計画の説明会の席上、三井不の菰田(こもだ)正信社長はこのように強調した。