自閉症の子どもに100年前に開発された、思わぬ薬が効くのかもしれない。このたび検証が開始された。
米国カリフォルニア大学のサンディエゴ校の研究グループが報告、同大学が2015年6月10日に紹介している。
世界人口の2%が自閉症とも
自閉症は、虹のスペクトラムのように症状が多様に表れるところから、専門的には「自閉症スペクトラム障害」と言う。
複数の要因が組み合わさって起こる発達障害の一種だ。
社会的な規範の意識が低下したり、コミュニケーションの困難を起こしたり、同じ行動の繰り返しに陥ったりする。
いくつかの遺伝子が関連していると分かっている。特定の遺伝的変異体が疾患に特有の行動をどのように引き起こすかについてはよく分かっていない。世界中の人口の2%に見られると説明されている。
寄生虫による病気「睡眠病」の薬で
研究グループは、自閉症が神経細胞の働きが異常になって、細胞同士の反応に問題が起こると見ている。
研究グループは、20人を対象として、最も初期の人に対する検証である第1相臨床試験(フェーズ1)を実施。自閉症スペクトラム障害の診断を受けた子どもの初めての治療として、「アフリカ睡眠病」と呼ばれる寄生虫病で使われている薬の効果を確認することになった。100年前に開発された「スラミン」という薬だ。
従来の研究によると、スラミンを1回注射すると、自閉症スペクトラム障害の症状のあるネズミで症状を回復させると報告されていた。
4歳から17歳が対象
治験参加資格は、4歳から17歳の年齢の男子としている。
精神科医によって自閉症スペクトラム障害の診断を受けて、同大学の地域の住民で、自閉症と似た症状のある脆弱性X症候群といった既に知られている突然変異による病気ではない、という条件を満たすと良い。さらに、まだ薬を使っておらず、過去2カ月間に入院しておらず、今回の試験の間にほかの治療を受ける予定がないこと。
対象となった子どもは3~4カ月の間に10回~12回来院して診察を受けることにしている。
実現するか?
今回の臨床試験ではスラミンが静脈から1回注射される。半数の子どもはスラミン、残りの半数はニセ薬(プラセボ)を使う。
行動検査、医学的検査は治療前後に行われて、血液や尿も分析される。
効果が分かると自閉症への薬が実現するかもしれない。
文献情報
Clinical Trial Launched to Assess Safety and Efficacy of Autism Drug Treatment
コメント0 件のコメント
▼コメントを開く