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台湾 イベント火災「粉じん爆発」か
6月28日 19時14分

台湾 イベント火災「粉じん爆発」か
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台湾で、日本人2人を含む500人以上がけがをした火災で、台湾の消防当局は、当時、音楽イベントの開催中に色の付いた粉が大量にまかれ、粉末に引火する「粉じん爆発」を起こした可能性もあるとみて、現場検証を行うなどして当時の状況を調べています。
日本時間の27日午後9時半ごろ、台北近郊の新北市のレジャー施設で、音楽イベントが行われていたところ、屋外のステージの近くで、突然、炎が上がり、燃え広がりました。
地元の消防当局などによりますと、20代と30代の日本人女性2人を含む、合わせて519人がやけどなどをして、手当を受けたということです。
音楽イベントでは、28個もの噴射装置を使って、客に向かって、色の付いた粉を大量に吹きかける演出が行われていました。
消防当局は、NHKの取材に対し、当時は細かい粉が大量に舞い上がり、空気中の濃度が、粉末に引火する「粉じん爆発」を起こしかねないレベルに達していたという見方を示しました。
そのうえで、消防当局は、噴射装置や照明機器などが火元となって粉に引火した可能性もあるとみて、現場検証を行うなどして当時の状況を詳しく調べていることを明らかにしました。
イベントで使われていた粉は、粉末状にしたトウモロコシなどに色を付けて使っていたとみられ、消防当局は成分についても調べています。

イベントの様子は

当時開催されていた音楽イベントは、台湾の会社が「カラー・パーティー」と題して、2013年から毎年開いているもので、27日は、新北市にあるレジャー施設の水を抜いたプールの中を会場に有料で開かれていました。
当時、会場には水着姿の客を含む数千人が集まっていたとみられ、地元メディアによりますと、ステージに上がった歌手などがラップミュージックやダンスなどを披露していたということです。
事故が起きたのは、イベントが後半にさしかかった現地時間の午後8時半ごろ、日本時間の午後9時半ごろで、ステージ近くの参加者が音楽に合わせて踊り、会場の雰囲気が最高潮に達したのに合わせて、主催者側がさまざまな色が付いた粉を、ステージの周辺に置いた機材を使って吹き飛ばし、客に向けて浴びせる演出を行いました。
当時の様子を撮影した映像によりますと、空中に大量の粉が舞って煙のように視界を遮るなか、ステージから数メートル離れた一帯から、突然、炎が上がっています。
台湾では、このところ、今回のようにさまざまな色の粉を浴びながらダンスやランニングを楽しむイベントが流行しているということです。

専門家「粉じん爆発の可能性高い」

今回の台湾での火災について、火災のメカニズムに詳しい早稲田大学理工学術院の長谷見雄二教授は、出火当時の火災の映像から、会場にまかれた粉に何らかの原因で引火したあと連鎖的に燃え広がる、一種の「粉じん爆発」が起きた可能性が高いと指摘しています。
今回の火災当時の映像では、会場に粉が大量にまかれ、その後、強い光が見えたあとに地面付近を炎が一気に燃え広がる様子が写っています。
映像を分析した長谷見教授によりますと、まかれた粉は、空気中に漂う様子から乾燥した状態だったとみられ、密度も高かったということです。
このため、何らかの原因で会場にまかれた粉に引火したあと、粉状になったものが一瞬にして燃える一種の「粉じん爆発」が起きて連鎖的に燃え広がった可能性が高いと指摘しています。
そのうえで、長谷見教授は、「今回のような火災現象は粉の乾燥状態や空気中の密度などの条件がそろっていれば、照明の熱やたばこの火などがきっかけで起きる可能性がある。大量の粉を使った演出は、状況によっては非常に危険だということをまず認識し、仮にこうした演出を行う場合でも、大気中の粉の密度がどれくらいであれば安全かといったことを事前にチェックしたうえで、安全な範囲で行うことが必要だ」と話しています。

色付き粉のイベントは日本でも

トウモロコシを原料にした粉末に色を付けた粉が使われるイベントは、最近、アメリカや日本などでも行われています。
こうしたイベントは、数年前にアメリカで発祥し、白いシャツを着て5キロのコースを走る間に色とりどりの粉をかけられたり、大勢で粉を浴びたりして、楽しむことを目的にしています。
日本でも、代理店が主催するイベントが去年あたりから各地で開催され、若い世代を中心に人気を集めています。
ただ、台湾と日本で使われている粉の違いや使用時の状況の違いなどは、今のところ分かっていません。

トウモロコシを原料にした粉末に色を付けた粉を使ったイベントを、去年から日本で行っている東京の「ローソンHMVエンタテイメント」は、「イベントでは、走っている人に手で粉をかけたり、ステージ上から観客に向けて圧縮空気を使った噴霧器で粉を吹きかけたりしているが、場所は屋外の開けたスペースで、火元になるものもなく、台湾と同じようなことは起きないと考えている。台湾の事故を受けて、念のため、山盛りにした粉や空気中にまいた粉に火を近づける実験を行ったが、燃えなかった」と話しています。
そのうえで、「今のところ安全性に問題はないと考えているが、台湾の事故については引き続き情報を収集し、原因が分かれば必要に応じて対応を検討したい」と話しています。

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