電力9社の株主総会で、「脱原発依存」を求める株主提案の議案がことごとく否決された。

 原発再稼働に固執する経営陣に問いたい。「本当にそれで経営は大丈夫ですか」と。

 来年春から電力小売りが自由化され、電気の購入先を各家庭が選べるようになる。東京電力福島第一原発事故前と変わらぬ経営姿勢は、消費者の厳しい選別の目にさらされよう。

 事故前に原発依存度が5割に達した関西電力の総会では、大株主の大阪市や京都市が脱原発を促す議案を提出した。

 使用済み核燃料の処分法が決まらない限り原発を動かさない▽原発に代わるエネルギー導入を積極的に進める――。

 将来にツケを残さない立場からの、もっともな提案だ。

 しかし経営陣は「安全を大前提に原発の早期再稼働をめざす」と繰り返し、否決を求めた。副社長は「中長期的には原発の新増設や建て替えが必要」とまで踏み込んだ。

 ほかの電力も同様だった。

 中国電力は山口県の上関原発計画を推進する考えを改めて示した。九州電力は川内原発のすみやかな再稼働への決意を強調し、東京電力も原発を続けたいとの意向を鮮明にした。

 過酷事故が住民を苦しめ、原発の「安全神話」が崩壊してから4年。事故の教訓を忘れたかのようなあからさまな原発回帰には、あきれるばかりだ。

 各社を強気にさせているのは国だ。昨年決めたエネルギー基本計画で原発を重要なベースロード電源と位置づけた。今月には、30年度の原発比率を20~22%程度と、運転延長や新増設が前提となる案をまとめた。

 日本の原発は戦後、「国策民営」で進められてきた。「国民にどう思われようが、国に従っていくだけだ」。電力各社がそう考えているなら、危ういというしかない。

 原発は明らかに、先が見通せない事業になっている。

 全国の43基中、16基は運転開始30年を超え、存廃の決断を迫られる時期が近づく。事故後、安全規制は強化され、延命には千億円単位の費用がかかると見込まれている。

 新たな原発をつくるといっても、周辺住民や自治体の理解をどうやって得ていくつもりなのか。国ばかり見ている電力各社に、その覚悟や青写真があるとはとても思えない。

 「原発と心中するという印象しか持てない」。関電の総会で、ある株主が言った。

 このままでいいのか。経営陣は改めて考えたほうがいい。