勉強会問題:自民、火消しに躍起 3氏が出演辞退
毎日新聞 2015年06月27日 21時57分(最終更新 06月28日 01時34分)
自民党若手議員の勉強会「文化芸術懇話会」で出た報道機関への圧力を求める発言が、波紋を広げ続けている。27日未明放送のテレビ朝日系「朝まで生テレビ!」に出演予定だった自民党議員が、直前に出演を辞退した。懇談会を巡る問題で批判を浴びることを懸念する党本部の意向もあったとみられる。同党は関係議員の処分を発表するなど火消しを急ぐが、発言封じともとれる姿勢に野党は反発。有権者の不信を招く可能性もある。【水脇友輔、須藤唯哉、取違剛】
番組では当初、与野党の若手議員が安保法制などについて議論する予定だったが、自民党議員とともに公明党議員も出演を断り、参加は野党議員と評論家らだけだった。
番組内で説明したプロデューサーらによると、出演予定だった自民党議員3人が「地元の日程の調整がつかない」と辞退。その穴を埋めようと自民党議員三十数人に出演を求め、1人が出演を承諾した。だが放送直前、この議員も「体調不良」を理由に辞退した。
司会の田原総一朗氏は番組で、辞退の背景について「安保法制の議論が際どいところへきている」と語り、懇話会問題も影響したと分析。公明党については「なぜ出ないのか。自民の子分でもあるまいし」と批判した。
谷垣禎一幹事長は27日の記者会見で、出演辞退の経緯は不明としつつ、「こういう時は慎重に対応してもらいたい」と暗に今後の出演自粛を促した。自民党幹事長室は今月、安保法案審議の混乱を受け「マスコミに出演する際には事前に報告するように」と通知していた。党関係者は「幹事長室が(番組出演を)止めたのだろう。首相官邸がテレビでの議員の発言にピリピリしている」と語った。
一方、公明党は「出演できる議員を探したが、日程の都合がつかず、25日に断った。自民と歩調を合わせたわけでない」(広報部)としている。
出演した民主党の蓮舫氏は27日、「平時ならば与党は議員をテレビに出すのに必死なのに、都合がよくないと出ないのは権力のおごりだ。議論が深まらなかった」と、与党の不参加を批判した。
◇出席議員 おわびや釈明に追われる
懇話会に出た議員たちは、おわびや釈明に追われた。
懇話会代表で党青年局長を更迭された木原稔氏(熊本1区)は27日、地元での会合で、支持者に「私の本意に反して国会運営に多大な迷惑をかけたことを申し訳なく思っている」と陳謝。会合後、取材に「処分は全面的に受け止める」とした。
「(圧力を加えるには)広告収入をなくすのとスポンサーにならないことだ」などと発言した井上貴博氏(福岡1区、厳重注意)は26日、「私の発言が誤解を招いたとすれば申し訳なく思っている」と、おわびのコメントを発表した。
長尾敬氏(比例近畿、同)は26日、ネット上で「沖縄の二大メディアには偏向的な記事が極端に多い。報道の自由を盾に、ノリを越えたあり方は激しい疑問符をうたざるを得ない」と改めて持論を展開したが、27日にネット上で陳謝した。
大西英男氏(東京16区、同)は26日、ホームページ上で「一部の新聞が報道したようなマスコミを規制することを目的に開かれた会合では決してない」などと釈明した。