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 大阪を拠点に活動する劇団「May」代表で在日コリアン3世の金哲義(キムチョリ)さん(43)=奈良県=が北朝鮮の親類を20余年ぶりに訪ねた体験を元にした作品の公演が、大阪市内で開かれている。お金の配分をめぐる親類同士のけんか、わいろを求める役人……。脚本を書いた金さんは「ほとんどが実話です」。29日まで。

 金さんは2013年10月、24年ぶりに北朝鮮・東北部の町、清津(チョンジン)を訪ねた。1960年に大阪から「帰国事業」で北朝鮮へ渡った亡き叔父の妻や子、孫らに会うためだ。

 劇中で主人公のキム・ソンファは、衣類や日用品を詰めたカバンを手に、清津を訪問。初めて会うおいっ子と遊び、叔父の墓参りをする。しかし、平壌に戻るのが近づいた夜、ソンファが生活の足しにと持参した数十万円の配分をめぐり、親類が大げんかに。「僕はもめごとを持ってきてしまいました。ごめんなさい」。このソンファのせりふは、金さんが実際に親類の前で口にした言葉だ。