これが、すべての国民の代表たる国会議員の発言か。無恥に驚き、発想の貧し…
戦後最長、95日間の大幅延長となった国会で、安全保障関連法案をめぐる衆…[続きを読む]
これが、すべての国民の代表たる国会議員の発言か。無恥に驚き、発想の貧しさにあきれ、思い上がりに怒りを覚える。
安倍首相に近い自民党若手議員の勉強会で、出席議員が「マスコミを懲らしめるには広告料収入がなくなるのが一番。経団連に働きかけて欲しい」「悪影響を与えている番組を発表し、そのスポンサーを列挙すればいい」などと発言していた。
権力を監視し、検証して批判する。民主主義国の新聞やテレビならば当たり前の仕事である。それに対して、政権与党の議員が「反論」でも「批判」でもなく、「懲らしめる」というのだから恐れ入ってしまう。
【懲らしめる】制裁を加えて、悪いことはもう二度としないという気持ちにさせる(「明鏡国語辞典」)
正義は我にあり。気に入らない言論には圧力をかけ、潰してしまって構わない――。有志による非公式な会であっても、報道の自由、表現の自由を脅かす発言を見過ごすわけにはいかない。勉強会には加藤勝信官房副長官や、首相側近の萩生田光一総裁特別補佐も出席していた。谷垣幹事長は「クールマインドでやってほしい」と他人事だが、党として事実関係を調査し、厳正に対処すべきだ。
さらに講師として招かれた、前NHK経営委員で、作家の百田尚樹氏が「沖縄の二つの新聞社は潰さないといけない」「米兵が犯したレイプ犯罪よりも、沖縄県全体で沖縄人自身が起こしたレイプ犯罪の方が、はるかに率が高い」などと発言していた。
地元の2紙については出席議員も「左翼勢力に完全に乗っ取られている。沖縄の世論のゆがみ方を正しい方向に持っていく」と主張したという。
沖縄県民全体に対する明らかな侮辱である。
きのうの安全保障関連法案を審議する衆院特別委員会で、民主党の寺田学氏に、百田氏の話を聞いた感想を求められた加藤副長官は、「大変拝聴に値すると思った」と答えた。
首相は「事実であるなら大変遺憾」としたものの、「沖縄の人たちにおわびすべきではないか」との寺田氏の指摘には、「言論の自由こそが民主主義の根幹であり、当然尊重されるべきものだ」と一般論で応じた。
傲慢(ごうまん)と怠慢。安保関連法案をめぐってはリスク論議が盛んだ。しかし、異論には耳を貸さず、力で踏みつぶせばいいのだという政治家に、国民の生死がかかった判断を委ねてしまうことこそ、最大のリスクだ。
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