京都地検の女7 2015.06.19


(パトカーのサイレン)
(カメラのシャッター音)
(刑事)ご苦労さまです。
(成増清剛)おう。
(池内弘二)おっ…これまたバリッとした格好でお出ましですね。
姪っ子の結婚式だったんだよ。
二次会でよ『てんとう虫のサンバ』をいい感じで歌ってたらこの野郎が呼び出しやがった。
すいません。
戻ってすぐ続けられますよ。
うるせえな。
いやいや成増さん交番に自首してきたそうです。
ガイシャと酒を飲んでいて口論になって突き飛ばしたらこうなったって。
(鶴丸あや)ただいま。
(鶴丸りん)御社の予備校経営における先見性と並びに卓越した創造性…。
えー御社の社風に共感を覚え入社を希望しました…。
面接試験の予行演習?
(りん)やだ。
いたの?続けて。
お母さん見ててあげる。
やだやだ。
恥ずかしい。
私もお母さんみたいなタイプならよかった。
みたいなタイプって何?人前で話すの苦手だもん。
この性格直したい。
何言ってるのよ。
りんは素直で裏表がなくて誠実でとってもいい性格だとお母さんは思うわよ。
面接にはもっとハッタリがきいたり人を引きつけるオーラがあったりじゃなきゃ。
かもしれないけど面接のために性格を変えるなんて。
お母さんには私たちの切迫感がわかんないのよ。
顔を整形する男子学生だっているのよ。
整形!?そうだ!ねぇお母さんのスーツで私が着られるのないかな?グイグイ前に出るパワーにあやかりたい。
はぁ…でもご時世とはいえ男子学生が整形って…。
ああ…。
ちょっとでいいんだけどねここが…。
ちょっとでねぇ…。
土屋秀樹さんあなたは今月の2日の夜中京区の壬生ヶ丘公園で知人の前原信二さんに偶然出会い彼が持っていた缶ビールを2人で飲んでいた。
そこに…。
(土屋秀樹)あっち行け!
(前原信二)ちょっと土屋さん。
来るなっていうんだ。
お前たちは人間のクズだ。
こら!ちょろちょろのさばるんじゃない!あっち行きなさい!そんな言い方ないでしょう!どんな人間かて生きてる価値あるんやから。
君は私に説教するつもりかね。
ちょっとやめてください。
離せ…!ああっ…。
(頭を打つ音)大丈夫か?つまり不幸なアクシデントだった。
だとしても人一人を死に至らしめた罪は償ってもらわなければなりません。
悪いのはあのクズどもだ。
クズ?それはホームレスたちを指してるんですか?人の本分は労働する事にある。
ああいった連中は自分に甘えてるんだ。
人間が平等だなんてのは建前に過ぎない。
優劣はある。
あなたは社会的地位が人間の価値を決めるとでも?そういう考えなら私はあなたの価値観に疑問を感じます。
(太田勇一)落ち着け鶴丸…。
ああ…。
質問を変えます。
あなたは61歳。
亡くなった前原さんは28歳。
知人だとしても歳が離れすぎていませんか?警察で説明した。
くどくど聞くな。
(斉藤加奈子)土屋秀樹。
東都大学を卒業のあと大手保険会社帝都損害保険に入社。
(加奈子)でまもなく中東に赴任し今まで未開発分野だった発電所工事での火災保険を獲得。
その額なんと150億。
いい大学を出ていい会社に入っていい仕事をバリバリしてたって事か。
でその功績が認められて5年前に役員職に就いたんですが今年1月突然依願退職してるんです。
その理由は?不明です。
なんか秘書にも側近の部下にもまったく予告なしに辞表を出したそうです。
重役の椅子よりも退職金をがっぽりもらって南の島で悠々自適の暮らしでもしよう…そう思ったんじゃないの?待って。
これ交番に土屋が自首してきた際の所持品よね。
おかしい。
どこがです?ごく普通のショルダーバッグに水筒に折りたたみ傘にこれペンケースでしょ。
でタオルにメガネに携帯にトイレットペーパーじゃないですか。
トイレットペーパーを持ち歩くなんて不自然!普通ティッシュですよね。
うん。
太田さん。
次の取り調べ1時間遅らせて。
(太田)検事の1時間が1時間で終わったためしないでしょ!たかがトイレットペーパーにこだわる検事のその姿勢が私にどれだけの負担を与えてるかお考えください!太田さん人は不遇な境遇にあってこそ伸びるの。
検事のもとできりきり舞いをしていれば小心で自分好き女性に縁がない太田さんも変われるかもしれない。
整形しろとは言わない。
でも変わったほうがいい。
ガンバ。
なんで私が?そっちが問題なんだよ暴走検事!なんで変わらなきゃいけない…。
おふくろに失礼だよ。
(栗原美波)せっかく時間作ってネイルサロン行くとこだったのに。
刑事が爪磨くより先にやる事はないの?なんで聞こえたの…?ご要望どおり土屋の所持品をそろえておきましたがこれがなんなんでしょうか?調書によると土屋は事件発生前に図書館に立ち寄り本を返却してます。
これがその時返却された本です。
じゃ栗原刑事これらすべてをバッグに詰めてみて。
そこすき間なくね。
はい。
あれ?やっぱり入らない。
どういう事です?爪磨くよりここ磨きなさい。
土屋が図書館に行った時このバッグにトイレットペーパーは入ってなかった可能性があるわ。
ちょっと…ちょっと話が見えないんですけど。
だから調書にあるように土屋は図書館から犯行現場の公園に直行したのではなくどこかに立ち寄ってトイレットペーパーを手に入れたという事です。
コンビニかどっかで買ったんじゃないですか?あんたのそのパッチリお目目はマスカラ塗るためのお飾り?トイレットペーパーバラで売ってるのを見た事ある?スーパーでもコンビニでもトイレットペーパーは4個8個12個っていったパック売り。
でもなんか違和感あるのよねぇ。
あのあの…。
なんでかなぁ?イテテテテ…。
なんでだろう?これ。
(美波)ああ痛い痛い痛い…。
(坂田)信二…信二!
(安藤真佐子)さあ行きましょう。
こんにちは。
あの…お店の方ですか?
(田宮)わしは客や。
おかみさんは買い物や。
すぐ戻るで。
じゃああの待たせてもらいます。
ただいま。
田宮さん堪忍え。
ああいらっしゃいませ。
初めまして。
私京都地検の鶴丸といいます。
地検の検事さん…?はい。
先日起きた傷害致死事件について調べています。
被疑者の土屋秀樹はこの店の常連だったそうですね?ええ週に3日ほど来たはりました。
亡くなった前原さんともこの店で知り合ったとか。
ええ…。
半年前の2月雪の降る日やった思います。
まだかいかいか?ああ。
ほんまアカンなぁ。
(扉の開く音)
(前原)おお寒…寒い。
じいちゃん歯ブラシあの柔らかいやつ買うてきたからな。
(真佐子)おおきに。
ずいぶんおせっかいな店だね。
は?お客の身の回りの買い物をしてやったりおまけにあれだ。
(前原)田宮のじいちゃんと俺らはこの町内でずっと一緒に暮らしてきたんや。
じいちゃん奥さんに死なれて今独りやし。
俺らが面倒見るのは自然な事や。
べたついた付き合いだね。
僕は好まない。
ほんならもう来るなよこの店に。
信ちゃん初めてのお客さんにそんな言い方ないやろ。
もういい。
不愉快だ。
勘定してくれ。
あっはい。
外まだ降ってるさかい風邪引かはらんように。
それなのに土屋はまたこの店に?ええ…。
それからひと月後に。
(真佐子)いらっしゃいませ。
まあ…。
意外です。
もう来はらへんかと。
客層には問題があるがおでんはうまい。
アハハハ…ありがとうございます。
(前原)せやからこのままやと商店街みなジリ貧やないか。
新しい事せなアカンねんて。
例えばせやなスマートフォンのアプリの企画開発とかどうや?くだらない。
なんやおたくか。
安直に流行りものに飛びついても市場は飽和状態だ。
もっと頭を使って考えろ。
なんやと?何が言いたいねん?信ちゃん!信ちゃん。
その時も信ちゃんと口論になって…。
2人とも大事なお客さんやったのに…。
そうですか…。
あと1つだけ。
土屋秀樹いつもトイレットペーパー持ってました?えっ?さあ…。
(田宮)真佐ちゃん!そろそろおでんもろうてもええかのう?ああ堪忍。
すぐにね。
お嬢さんもおでんどうや?ここのはうまいで。
あ…私もおでんいただこうかしら。
うーん…ほんと美味しい。
このおでんのおかげでわしも長生きできたんや。
おおきに。
けど田宮さんお酒は程々にな。
これや…。
いっつも一言多いんや。
(真佐子と田宮の笑い声)検事おはようございます!おはよう。
事件の事がネットで話題になってますよ。
(太田)町の小さな英雄…?ああなるほどね。
私も彼はまさに英雄だと思います。
格差社会の底辺に生きる人々を前原さんは守ったんですよ。
敵役として土屋は最適の男だが…。
いいか斉藤!私…私にはなこんな英雄譚に共感している余裕なんかないんだよ。
なぜならば京都地検の検察事務官として案件を速やかに処理していかなければならないからだ。
というわけで検事朝一番で土屋の起訴手続きお願いします。
(携帯電話)ちょっとこれ成増さんだ。
おう!土屋秀樹のお嬢さん。
(神田まどか)父は去年の暮れすい臓に悪性の腫瘍が見つかり1月から抗がん剤治療をしていました。
一応腫瘍は消えたのですが先月転移している事がわかったんです。
でも昨日父に面会したらこれ以降手術も治療も一切拒否すると言っていました。
拒否…?まだ助かる見込みはあるのに…。
今後の事もあるでしょうから検事さんにそれだけお伝えしておきたかったんです。
私は今夜の飛行機でカナダへ戻ります。
カナダ?あああの…結婚して向こうで暮らしているんだそうだ。
ああ…。
では。
待ってください。
確かお母さまは12年前に病死なさってお父さまの身寄りはあなただけですよね?治療を拒否するお父さま一人残して行かれるんですか?父は仕事人間でした。
母が亡くなる際も中東にいてお願いだから帰国してと私が頼むと「俺がそばにいたからって助かるもんじゃないだろう」…そう言いました。
冷たい人です。
まして人一人を死なせた人を自分の父親だとは思いたくありません。
今回も弁護士費用の支払い等事務手続きのために仕方なく帰国しただけです。
でも…。
失礼します。
一人娘に見捨てられて土屋も孤独な男だな。
治療拒否…。
あなたは犯行時トイレットペーパーを所持していましたね。
でも図書館に本を返しに行くまでは所持していなかった。
どこで手に入れたんですか?呼び出しておいて何を聞くかと思えば…。
答えてください。
自宅のペーパーが切れていたんだ。
それを思い出してね。
(土屋の声)公園の公衆トイレから1つ失敬したんだ。
それだけの事だよ。
あなたが勤めていた会社を退職した理由ですが健康に問題を抱えていたとか。
そんな事まで調べたのかね。
会社に迷惑をかけたくなかった。
だから辞めた。
そしてあなたは今助かる可能性があるのに手術も治療も拒否している。
お嬢さんから聞きました。
なぜですか?僕はね…葉巻をたしなむんだ。
夕食後その日の気分に合わせてクラシックの名曲を聴きながらの一服…。
それが至福のひとときだった。
ところが今はどうだ。
狭い留置場に押し込められて品のない警官どもの指図を受ける日々だ。
これから待っているであろう刑務所暮らしも同じ…。
いやもっと不自由だろう。
考えただけでうんざりだ。
それなら刑に服するよりも楽になりたい。
命よりもプライド。
僕はそういう男なんだ。
(高原純之介)参ったな…。
バブル期を生き抜いてきた熱血サラリーマンはやる事が過激だ。
まるで切腹を覚悟した侍だ。
感心してる場合ですか!土屋の供述が正しければ彼の罪状は傷害致死です。
殺意もなかった。
おそらく4年から6年の刑です。
死刑に当たる罪ではありません。
無論僕は被疑者の決意を賞賛してるわけではない。
しかし老いを迎える季節に功成り名を遂げた人物が刑務所生活を強いられるのは確かにつらいだろうなと。
だからって生きる意欲をなくすでしょうか。
私には土屋には別の理由があって治療を拒否しているとしか思えません。
別の理由?はい。
この事件には別の顔があります。
その根拠は?犯行時土屋が所持していたこれです。
これはただのトイレットペーパーだろ?いいえ。
これにはどこか違和感があります。
普通のトイレットペーパーではない。
これ主婦の勘!どっかがおかしいのよ。
ありゃ普通じゃないわ…。
(吉川香織)じゃいくでいくで。
死ぬまでにしたい10の事。
(桜井麗子)世界一周旅行!
(漆原さやか)イケメンと1か月のアツ〜い濃いデートがしたい。
(柿野たまこ)絶対結婚!ああ結婚…。
ほいでほいでフォアグラ食べてトリュフ食べてうな重を食べてしゃぶしゃぶ食べて…。
そんなぎょうさん食べたら体重オーバーで棺桶入られへんようなるわ。
(たまこ)今飲んでるこのジュース毎日飲んだら私のようにスリムになります。
そんなメリハリのないゴボウになりたくなーい!んな失礼な…。
あんたら2人並んだらサイズまったくちゃうで。
サイズ…?へぇ〜…!そうよサイズ違いよ。
仰せのとおり署内のトイレから持ってきましたが。
並べてみて。
(美波)あれ?違う?やっぱりねぇ。
こっちが一般的に流通しているJIS規格で定められた幅11.4センチのトイレットペーパー。
で土屋が持ってたのが幅10.5センチのエコタイプ。
だから?あっ検事!ここは男子用ですから私が。
いえお気遣いは結構。
失礼。
うわっ…恥じらいゼロ。
11.4。
エコタイプじゃないわ。
土屋はここからトイレットペーパーを持ち出したんじゃなかった。
とすればどこから?ねぇこうは考えられないかな?土屋は図書館を出たあとで誰かに会った。
でその誰かからトイレットペーパーを受け取った。
だとしても土屋がこのヤマのホシである事には違いありませんけどね。
あれ?成増警部補じゃないですか?成増さん!おう。
どうかした?うん…?見ろよ。
これは…。
(池内)町の小さな英雄にも敵がいたっていう事ですね。
もう1つ引っかかる事が出てきた。
えっ?実は先月の末市の職員がここに住みついてたホームレスを衛生上の理由で撤去してたっていうんだよ。
じゃ事件があった2日の夜には…。
ここにホームレスはいなかった。
という事はホームレスうんぬんで土屋が前原さんに対する犯行に及んだというのはすべて嘘。
動機は別にある事になる。
ネットに前原さんの書き込みをしたのはあなた方なんですね?
(坂田)はい…。
俺たち信二とは同じ商店街でずっと一緒に活動してきたんです。
信二は漬物屋の営業俺は和菓子屋の経理祐美子は土産物屋。
ここんとこどこも業績がパッとしなくて。
だから力を合わせて何かやっていこうって話してたんです。
前原さんの事を恨んでる人はいませんでしたか?あいつに敵なんていませんでしたよ。
それに…。
えっ…?本当に土屋さんが犯人なんですか?信二は土屋さんにビジネスの事をいろいろ相談に乗ってもらってたんです。
人脈広げる手助けも…なあ?
(桐谷祐美子)ええ。
通販会社の人を紹介してもらってるの見ました。
彼女にいろいろ教わるといいよ。
はい。
じゃあ中見せてもらいます。
(前原)どうぞ。
土屋秀樹と前原さんの関係は徐々に変化していったんですね?あ…ええ。
では事件当夜2人が口論になった原因はなんだったんでしょうねぇ?公園にホームレスがいなかった事はわかってるんです。
ああ私に聞かれても…。
土屋秀樹は図書館を出たあとどこかに立ち寄ったと思われるんですよ。
ひょっとしてこの店に?いいえ来たはりません。
そうですか…。
検事さんあの…ただ気になる事が…。
(前原)秋から松茸の通信販売始めるって告知打ったらもう注文が7件も。
(土屋)目標はもっと高く。
はい。
春にはタケノコを販売してその2つを起爆剤にして漬物も売り上げアップ!その調子だ。
あっ商店街の仲間にもこのやり方教えたってもいいですか?仲間?何を生ぬるい事を言ってるんだ。
そんなものは足かせにしかならない。
切るべき奴は切れ!土屋さんそんな簡単やないですって。
せやなぁ。
大根やニンジンは簡単に切れるけど人切る包丁はなかなかないわ。
ハハハ…。
損得抜きで付き合える友達は大事やし。
損得絡みの人脈を作らなきゃ儲けは出ない。
儲けがすべてなのかよ。
ビジネスにそれ以外のものがあるか!あるよ!フフッ…なんかまるで親子ゲンカやなぁ。
そんなん言うたら失礼やて。
って俺が一番失礼な事言うてんのか。
(真佐子と前原の笑い声)とにかく僕の遺言だと思って話をよーく聞いておけ。
あれはどういう意味やったんか…。
検事さん。
土屋さんどこか体悪いんですか?この半年で少しやつれはったような気もするし。
その事に関して私からは…。
ここ最近食べる量も減らはったし。
留置場での生活つらいん違いますか?私気になって眠れへんし。
あ…余計なおせっかいですよね。
もう悪い癖なんです。
「三食食べて下さい」…。
それはどういう意味なのかな?
(池内)丸2時間問い詰めましたけど一言も口ききませんでした。
とりあえず厳重注意で帰しましたがね。
ややこしい事になってきたなぁ。
おそらく土屋と前原さん桐谷祐美子の間に何かがあったんだわ。
そしてそれを真佐子さんも知ってる。
じゃおでん屋のおかみさんも。
とにかく土屋の病状は刻々と悪くなってるはずよ。
一刻も早く犯行に至った本当の動機を探って治療を受ける気にさせなくっちゃ。
ご住職!
(成増清一)あっはい。
あの…お聞きしたい事が。
あはい。
重い病気の方と会話をする時に心がけなきゃいけない事はなんなんでしょう?は?なんて言ったんですか?うん?バカになれって。
えっ?いやあの…謙虚になって腰低く学ばせてもらう気になれって事だよ。
ああ…自信ないな。
私そんな人間できてないしな。
でトイレットペーパーのほうはどうなったんですか?ああ元の持ち主は不明。
今の土屋は交友関係が希薄だから…。
あっイタ…。
ああまた刺されちゃったよ。
もうこれかゆいんだよなぁ。
いた…もう1人!わしゃなんも知りまへんけどなぁ。
ああ…。
アタタタイタタタ…。
ちょっとあらお腹が痛くなっちゃって。
すいませんあのお手洗いお借りできます?おうそっちや。
あっちょっと失礼します。
はぁ…イタタタタ…。
(田宮)どないしたんや?変なもんでも食うて食あたりか…?当ーたーりー!はあ?真佐子さんあなたやっぱり事件当夜土屋さんと会ってたんですね。
田宮さん宅で見つけました。
このエコタイプのトイレットペーパー。
毎朝飲まなければいけない薬を忘れないようにこんな事まで…。
なんだ?それ。
ん?今までなぁ薬飲んでって紙に書いて田宮さんの部屋にあちこち貼ってたんやけど田宮さんすぐ捨てはるさかいこれ思いついたんえ。
土屋さんにもなんか書いてあげましょか?断ってもどうせ書くんでしょ?あなたは土屋さんにこのエコタイプのトイレットペーパーを渡した。
それが事件のあった夜。
違います。
教えてください。
あなた何を隠してるんですか?
(祐美子)おばさん!もういいの。
検事さん…。
信ちゃんを殺したのは…私です。
どういう事?私みんなに内緒で信ちゃんと付き合ってたんです。
でも…。
(祐美子)ちゃんと答えてよ!私見たのよ!信ちゃんがあの女と歩いてるところ。
彼女と付き合ってるの?ああ…。
「ああ」って…。
彼女は仕事の大事なパートナーなんや。
仕事って何よ!彼女を選ぶの?私を捨てるの?私は信ちゃんの子を中絶してるのよ!
(前原)おい祐美子!待てって!
(真佐子)信ちゃん!信ちゃん!
(前原)ちょっと待てって!
(祐美子)あの女に全部バラしてやる!ああ…。
(倒れる音)ごめんなさい…。
違います。
祐美子ちゃんは…祐美子ちゃんは殺してない。
どういう事ですか?真佐子さん本当の事を話してください!祐美子ちゃんと前原君が店を出て行って土屋さんはすぐに2人を追いかけたんです。
20分ほどして土屋さんから電話がありました。
前原君を殺してしまったと…。
それで?これから自首する。
だが自分は店に行ってない事にしてほしい。
それと祐美子ちゃんと前原君のさっきの話は絶対に…絶対に伏せておいてくれって。
(土屋)真相も何も前原君は僕が殺したんだ。
動機はなんです?公園にホームレスがいなかった事並びに前原さんが桐谷祐美子さんを傷つける言動をしていた事は判明しています。
鶴丸何言ってるんだ…?前原さんは英雄などではなかった。
な…なんでそんな余計な事調べるんだ。
君は僕を起訴すればそれでいいんだ。
どうやらあなたはなんとしても前原さんを好感の持てる人物にしておきたいようですね。
君に…僕の気持ちがわかってたまるか。
あなたのような賢い人の考える事は私のような者にはわかりません。
ただ私はあなたに治療を受けてほしい。
自ら死を選ぶような逃げ方はしてほしくない。
僕の人生だ。
どう生きようが勝手だ!あなたの体が心配で今夜も眠れないでいる人がいてもですか?これは犯行直前あなたが真佐子さんから受け取ったものです。
ここには何も書かれていません。
でも彼女は書いたんです。
…本当は。
その文字がカウンターの上に残っていました。
こんばんは。
なぜ彼女は破ったか…。
歳を重ね人の痛みがわかるようになると相手の重荷になってはいけないとためらい口をつぐむ事もあるんじゃないでしょうか。
おでん屋のカウンターには「三食食べて下さい」…そう書かれた文字が残っていました。
あなたの体を気遣い「三食食べて下さい」繰り返し彼女は書いた。
そんな人がいるのにあなたは勝手に生きるというんですか?教えてください。
あの夜何があったのか。
真佐子さんのためにも祐美子さんのためにもそしてお嬢さんのためにも。
(ため息)あの時おでん屋で二度目に会ったあと彼が私の家に来なければ…。
(チャイム)君か…。
土屋さん。
俺なんかにこんな事言われても迷惑やろうけどネットでいろいろ調べておじさんの事すごい尊敬したんです。
お願いです。
俺にビジネスを教えてください!お願いします!
(土屋)これを1週間以内に読んでそれぞれの著者の問題提起とその解決法をレポートしろ。
それを読んで君を相手にするかどうかを決める。
(土屋の声)気を紛らわすものが欲しかったのと食いついてくる目が若い頃の僕に似ていた。
じゃあビジネスの事を教えてもらえるんですか?IT産業に参画するなどと浮ついた事は言うな。
漬物屋は漬物で勝負しろ。
(土屋の声)気晴らしで始めた手ほどきが実際動き出すと知らず知らず僕も熱くなっていった。
儲けがすべてなのかよ!ビジネスにそれ以外のものがあるか!あるよ!フフッ…なんかまるで親子ゲンカやなぁ。
その一言で気づいた。
退職以来自分がどれだけ孤独だったか…。
その店の温かさにどれほど救われていたかを…。
(土屋の声)前原君にしてやれる事はなんでもしてやろうと思った。
こんばんは。
(土屋)暑いねぇ。
あれ?僕にも何か書いてくれたのかな?おせっかいは嫌いなんでしょ。
ああ…べたついたのは御免だね。
でもまあせっかく書いてくれたんならいただいておきましょうか。
ああ…ここで見ちゃダメなんだね。
わかりました。
では家に帰ってから見せていただきます。
(真佐子)はい。
(祐美子)ちゃんと答えてよ!私見たのよ!私は信ちゃんの子を中絶してるのよ!
(前原)おい祐美子!
(前原)待てって!待てって!
(真佐子)信ちゃん!信ちゃん!僕が見てきます。
(前原)待てって!
(祐美子)あの女に全部バラしてやる!ああ…。
(倒れる音)
(土屋の声)笑うかもしれないがね僕は親になったつもりで父親のつもりで彼を追いかけたんだ。
祐美子さんが言っていたあの女ってのは僕が紹介した人の事かい?うちの店一緒に盛り立ててくれるって言うてんねん。
でもそれじゃあ祐美子さんが…。
邪魔な奴は切れ…そう言うたんはあなたやないか。
僕はあなたみたいになりたいんや。
150億は無理でもでっかい仕事がしたいんや。
じゃあ君は僕を真似て…?女一人ぐらい捨てたって。
違う。
そうじゃないんだ。
確かに昔の僕は何人もの人間を切り捨ててきた。
でもね今になってよーくやっとわかったんだ。
人は金や権力や名誉があっても幸せになんかなれないんだ。
そんなのは全部手に入れた人の言うセリフや。
違うよ。
命ギリギリになってやっとようやく見えてくる事だってあるんだよ。
全然甘いやないか!ピリッとしてた土屋さんはどこ行ったんや。
幸せってのはな…。
あんたはもう年寄りなんやて。
間違えるんじゃない!
(前原)離せよ…!ああっ…。
(頭を打つ音)大丈夫か?僕が彼を変えた…。
彼のよさを消してしまった。
だからつい…。
そうでしょうか。
前原さんはあなたにぶつかる事で自分の進むべき道を模索してたんじゃないでしょうか。
父親のようなあなたにぶつかる事で。
だったら余計にたまらないじゃないか。
自分を慕ってくれる人間を死なせてしまったんだ。
死をもって償う他はない…。
土屋さん…。
あなた一番簡単な方法を選ぼうとしてませんか?…えっ?確かに今の状況で生きていくのはとてもつらい。
でも未来を夢見ていた前原さんはたったの28年しか生きられなかったんですよ。
まだまだ生きたかったでしょうに。
たったの28年しか…。
考え直してもらえませんか?もう一度。

(看守)土屋差し入れだ。

(真佐子)「三食食べて下さい」
(真佐子)じゃあ土屋さんは治療を受ける気になってくれはったんですね。
ええ。
刑が確定したら土屋さんは医療施設の整った刑務所に収監され治療を受ける事になります。
前向きに罪を償い前原さんを供養していく。
心配しないでくれ。
そうあなたに伝えてほしいって。
よかった…。
よかった。
(祐美子の泣き声)祐美子さん…。
私…私やっぱり信ちゃんが好きでした。
人は右に行ったり左に行ったりしながら成長するものなの。
前原さんは前に進むのに夢中になってスピード出しすぎたのね。
もう少し考える時間があったらきっとあなたのよさを再確認したはずよ。
ね?うつむかないで。
胸を張って生き直して。
はい。
人は出会いによって変わる。
長い目で見ればどんな変化も成長につながってるのよね。
(りん)うん。
私も考えた。
やっぱりお母さんよりお父さんのような人に変わりたい。
え?章ちゃんみたいな?だってお母さん度胸はあるけどそのせいで周りはてんてこ舞いだもん。
そうはなりたくない。
何言ってるのよ。
私はねこう見えても意外と繊細で心がこう波打つような…そこがまた愛されるの。
オホホホ…。
そのうぬぼれの強いとこが問題なんだよな。
何?何?惚れちゃう?惚れちゃう?もうやだ。
私に惚れるとヤケドするわよ〜。
オホホホ…。
2015/06/19(金) 09:55〜10:53
ABCテレビ1
京都地検の女7[再][字]

「父と子でいたかった…京風おでんに沁みる殺意の罠!!」

詳細情報
◇番組内容
名取裕子主演▽“主婦の勘”を武器に難事件に立ち向かう女性検事・鶴丸あやの活躍を描く検察ミステリー第7弾!心に響く深い人間ドラマを京都情緒たっぷりにお届けします!
◇出演者
名取裕子、寺島進、益岡徹、渡辺いっけい、蟹江敬三 ほか

ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
福祉 – 文字(字幕)

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
映像
音声 : 2/0モード(ステレオ)
日本語
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