中田敦彦です。
山田彩です。
今回は林業と水産業です。
私結構魚好きで水産業はイメージできるんですけど林業って…?ちょっとこれを見て下さい。
これを見て気付く事ありますか?日本地図だから海に囲まれている?うんそうですね。
それから緑の部分が森林です。
国土の2/3は森林なんですね。
じゃあほとんどが森林なんですね。
日本は緑豊かで海産物も豊富っていうイメージがあります。
そうですね。
日本の林業や水産業実際はどうなのでしょうか?一緒に見ていきましょう。
まずは林業から見てみましょう。
今から60年ほど前日本は高度経済成長で建築ラッシュ。
木材の需要が急激に増えました。
そのころは日本各地に育っていた木を切って国産の木材を作っていました。
伐採をしたあとの山には比較的早く育ち高く売れる杉やヒノキが植えられ日本中に人工林が広がっていきました。
ところがしばらくすると外国から安い木材が大量に輸入されるようになりました。
すると国産の木材は急激に使われなくなっていったのです。
現在建物や家具紙などに使われている木材の70%以上を海外から輸入しています。
国産と比べて安い輸入材。
値段の差が生まれる理由の一つが生産コストの差です。
日本の人工林は杉やヒノキと木の種類がそろっています。
そのため木を選別する手間はかかりませんが険しい斜面での手入れや伐採はベテランの職人でも大変な作業です。
その上山道は狭く木を運び出すにも技術や労力がかかりその分木材の値段は高くなります。
では…ロシアのタイガ。
同じ種類の針葉樹が広大な平地に広がります。
そのため必要な木を選別する手間がかからず大型の機械で大量の木材を取り出したり運んだりする事ができるのです。
つまり人手をかけず大量生産できるためコストが下がるのです。
変わってこちらはマレーシアの熱帯雨林。
今から十数年前の映像です。
熱帯雨林の特徴はさまざまな樹木が密集している事です。
そのため必要な木を選別する手間はかかります。
ところが労働者の賃金が日本よりはるかに安いため木材も安くできるのです。
輸出用の安い木材を作るため無計画に木が切られました。
その上道路を造るためにお金にならない木まで次々と倒されました。
森林破壊が進み現在は環境への影響を配慮して伐採は規制されています。
外国から持ってくる方が値段高くなりそうじゃないですか?そうだね。
地形やその土地に育つ木の種類それから人の賃金そうしたものが木材の値段を左右してたんですね。
それに対抗するには国産の木材も安くすれば…。
そうですけどね。
ただ国産の木材が売れなかったり売れてもすごく安い値段だったりしたら林業やってる人はもうからない。
という事はどうなる?林業をする人はどんどん減ってしまう?そう。
若い後継者ができないんですよね。
すると林業はどうなりますか?どんどん駄目になる。
そのとおりです。
林業が衰退すると森林はほったらかし状態になりますよね。
すると木が育たないから質のいい木材はできず売っても安いからもうからなくて後継者がいなくて…という。
まさに悪循環ですね。
そうです。
まさに負のスパイラルですね。
これを断ち切るために今全国でいろいろな取り組みが始まっているみたいです。
日本の林業は仕事に就く人の数が年々減り続け高齢化が進む厳しい現状です。
そこに現れたのが強い味方林業用の高性能マシンです。
木をつかんだ途端僅か6秒で切断。
アームを伸ばしながら長さを測り一定の間隔で切りそろえます。
余分な枝もその場で切り落とします。
一人前になるのに10年はかかるといわれる林業。
人の労力を減らす高性能な機器の開発が進められています。
一方こちらは…この森林組合の取り組みが注目されました。
その取り組みとは森林の所有者を一人一人説得しそれぞれの森林を縦横に行き来できる太い道路を造ったのです。
この道のおかげで大型の機器も通れるようになり作業効率が格段にアップしたのです。
効率を上げて負のスパイラルを断ち切る第一歩です。
林業を守る事は森林を守る事につながります。
人の手が入っていない真っ暗な森。
森林には人が適度に伐採する間伐や枝を切り落とす事が必要です。
木に光が十分に当たる事で幹が太りしっかりと根が張ります。
すると根は土や水を抱え込む事ができるのです。
ところがほうっておくと幹も育たず根も張りません。
毎年日本各地で起こる土砂崩れ。
その原因の一つが間伐されていない森林だといわれています。
森を守る事は意外な効果も生みます。
宮城県の…ここは古くからカキの養殖が盛んな地域です。
カキは海水のミネラルなど養分を取り込んで育ちます。
この海の養分と森林に深い関係があるのです。
養殖場に近い山。
地元でカキを養殖する人の呼びかけで荒れ果てていた山に木を植える活動が始まりました。
7年後育った木の根が雨水をたっぷり抱え込み山の栄養分を吸収した湧き水となって海に流れ込みました。
山の再生が海を豊かにしたのです。
震災でカキが育つ海も荒れてしまいました。
しかし2か月後海の復活を願う人々の手によって植林は再開されました。
山の木々は海と人々の希望も育てています。
森林と海ってつながってるんだなって驚きました。
林業を守るという事は森林を守るという事だし環境や人の暮らしも守ってたんですね。
さて海の話が出たところでもう一つのテーマ水産業。
エビとかタラとか…日本って海に囲まれてるしいっぱい水産のものは取れるってイメージがあるんですけど。
ありますよね。
魚といえばやっぱりマグロという事で。
世界一マグロを食べてるのは日本なんです。
お〜。
世界のマグロの3/3を日本で消費してます。
でも日本人が世界一食べてるマグロ。
なかなか厳しい状況らしいですよ。
うん?かつて日本はマグロを求めて遠く離れた漁場まで漁に出ていました。
しかし船の燃料となる石油が値上がりした上当時は世界各国が海の利用についての共通ルールいわゆる200海里水域の議論を始めていました。
それによって漁獲量の激減に拍車がかかったのです。
200海里水域のルールを漁業の視点で簡単に説明すると領土から200海里およそ370km沖合までをその国が管轄するというものです。
その外側の公海では各国が基本的には自由に漁をする事ができます。
しかしほかの国の200海里内で漁をする場合には料金を支払うなどその国のルールに従わなければなりません。
他国の200海里内で漁をする事もある遠洋漁業は打撃を受けました。
更に現在では輸出品として価値があるマグロを多くの国が取り合うためその数が減り公海でもマグロの漁獲量は制限されています。
漁獲量が制限されてたりとか結構世界中でマグロを取り合ってるんですね。
そうなんですよ。
乱獲で数が減ってるという環境問題にまで影響してたんですよね。
世界の国々との取り決めだからもはや漁師さんだけがなんとか頑張るぞという範囲を超えてるんですね。
そうですね。
その打開策として今最も注目されているものがあるんです。
調べてきました。
トリプルGが…
(山田)
まず私が訪れたのはここ水産研究所という名前のレストランです
ここでは近畿大学が世界で初めて成功したという完全養殖によって育てたマグロを提供しているんです
一般的な養殖は海から小さなマグロを取ってきて養殖場で大きく育てて出荷します
一方完全養殖は最初だけは海で小さなマグロを取ってきますがそこから親を育てて卵を取りふ化させて大きくします
卵から育てるサイクルができる事で海のマグロを減らす事はなくなります
完全養殖のマグロ私も頂きました
う〜ん!これはもっちもちでめっちゃおいしいです。
いざマグロの完全養殖の現場へとやって来たのは和歌山県串本町の大島。
近畿大学水産研究所の大島実験場です
研究所で待っていて下さったのは澤田好史先生。
先生に養殖場を見せてもらう事にしました
この周辺の海には昔から暖かい黒潮に乗ってマグロなどの魚が来るんだそうです。
入り江に10か所ほどある丸い囲い。
これがマグロの生けすです
(山田)泳いでるの見える。
え〜すごい。
これ何匹ぐらいいるんですか?この生けすの中に。
(澤田)今ここはねえ〜っとね…
(山田)200?
出荷のためにマグロを釣り上げます。
一突きでマグロを射止めたあの人。
一見漁師さんに見えますが研究所の職員さんです
ここでは育てるのも出荷するのも研究所の方の仕事なんです
すごい。
今血液を入れましたね。
(阿川)万が一マグロに悪い菌とか何かそんなの付いても後から分かるように出荷する魚の血液全部保存してます。
(山田)えっ一匹一匹全部?はいそうです。
生けすのマグロはこうした研究の成果なんだなと改めて思いました
このマグロの完全養殖っていうのはどうして串本で行われてるんですか?そうですねまずはこの辺に沖合を黒潮が流れていてマグロが住む環境としても非常に適しているという事になります。
もう一つはねマグロはこの沖で取れますからそれを取ってくる漁師さんたちがいたと。
漁師さんはマグロの事をよく知ってますよね。
その人たちが育てる技術っていうのをいろんなヒントを与えてくれているという事があります。
32年もの歳月をかけて成功させた完全養殖。
世界中から注目されるマグロです
今日は澤田好史先生にスタジオに来てもらいました。
よろしくお願いします。
よろしくお願いします。
先生それは…。
これはマグロをかたどったネクタイピンです。
すごいですね。
徹底してますね。
私たちの実験場で作りました。
あら〜。
この完全養殖の注目度というのは高いんじゃないでしょうか?そうですね今育てる漁業という事でですね非常に注目されています。
それには理由が2つありまして1つは卵から育てる事で天然の魚天然の資源を使わなくてもいい。
天然の資源を減らしてしまう事がないという事ですね。
もう一つは卵から親まで育てて出荷できますから全てをコントロールできます。
そして安定的に生産ができるという利点があるんですね。
32年も研究していたという事で…。
マグロ養殖っていうのは一体何が難しいんでしょうか?マグロはですね広い海を大きく回遊する魚なんですね。
どんなとこで生まれて何を食べてどういうふうに育っているのか誰も知らなかったという事が一番難しい理由でしたね。
なるほど。
牛とか鶏とかね陸上にいる動物なら見えますが確かに海の中では見えないですもんね。
そうなんです。
例えば豚なんかですともう1万年以上も人間はつきあいがあるんですよ。
1万年?差がありますね。
まだまだそれでも技術開発が進んでいます。
ですから海の養殖もまだまだこれからなんですね。
例えば品種改良をやってもっと早く育つようにする。
もっとおいしく育つようにするという事がこれからの課題になっていきます。
これからはもっともっと期待を膨らませていい訳ですか?そうですね。
ただそれには時間がかかるんですよね。
私たちの世代だけで終わるんではなくて若い人にそれを引き継いでいってもらいたいと思っています。
じゃあ高校生とか大学生とかその辺りの若い世代が…。
そうですね。
もっともっとって事ですよね。
そうですね。
これからどんどん技術開発をしていってもらえたらと思います。
楽しみですね。
先生ありがとうございました。
ありがとうございました。
ありがとうございました。
林業も水産業も日本ってせっかく資源を持ってるのにもったいないなって思いました。
確かに。
でもそれが結構技術革新によって木を切るロボットが…。
そうですよねちょっとずつ先へは進んでるんですよね。
完全養殖が出てきたりっていう。
今うまく使えてない日本の資源をこれからもっと効率的に使えるかもしれない。
私たちも植林とかに参加したりとか。
あっ我々も参加できる事があるかもしれませんね。
ちょっと国産のものを買ってみるとかね。
それでは次回も世界中のあんな事…。
こんな事…。
(2人)いろいろ知っちゃおう!日本で使う木材や木の製品の70%が輸入です。
木材の値段を左右する生産コストはその国の森林の形や人件費などが大きく影響しています。
水産業は世界の国々との関係が大きく影響します。
マグロ漁では各国が競って漁を始めた事で水産資源の減少という国際問題も起こっています。
こうした背景から…森林に恵まれ海に囲まれた日本。
自然環境を守りながら豊かな資源を活用する事が求められています。
2015/06/26(金) 14:40〜15:00
NHKEテレ1大阪
NHK高校講座 地理「林業・水産業と世界の自然環境」[字]
人・モノ・情報が地球規模で行き交う現代。国や地域を越え、多様な社会や文化を理解し合うことが不可欠。“世界の今”を読み解く「地理」は、未来を切り開く力となる。
詳細情報
番組内容
林業・水産業は山林を守ること、海を守ることにもつながっている。産業と自然環境のかかわりについて、地理的視点で考えてみよう! 「林業・水産業と世界の自然環境」 (1)自然環境(植生)と林業の発展 (2)海の自然環境と漁場 水産物の輸出 (3)林業・水産業と環境保全の両立
出演者
【出演】中田敦彦,山田彩,【語り】安元洋貴
ジャンル :
趣味/教育 – 中学生・高校生
バラエティ – その他
趣味/教育 – 大学生・受験
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