僕たちはいつのころからか「それ」を曖昧にしてきた。
「それ」とはゆがみのない真理。
明快で合理的な思考。
考えを伝えるための強力な武器。
今こそ手に入れよう。
(ドアが開く音)
(手を打つ音)
(マリア)圭次ここさぁ飲みかけのペットボトルくらいで疑い深いタネが納得しちゃうかな?
(圭次)何で?納得しちゃうでしょ。
飲んでた人がいるって事になるから。
(ノーノ)でもいつ置かれたのか分からなくない?じゃあ…「洗濯物が干してあった」ならどう?それも同じだよ。
ずっと前から干してそのままになってるかもしれないじゃん。
じゃあ…「さっきまで干してあった洗濯物がいつの間にか取り込まれている。
だから生きている人がいる」ってどうかな?
(来緋)風で飛ばされたのかもね。
駄目か…。
(溝口)駄目という訳ではないわ。
(4人)溝口先生。
今あなたたちは推測をしていた。
推測?そう。
飲みかけのペットボトルとか洗濯物といった証拠に基づいて生きている人はいるかどうか考えていたのよね?つまり推測をしようとしていた。
推測は絶対に確実という事はないわ。
外れる可能性がある。
だけど外れる可能性があるからといって駄目な訳ではないの。
でも…外れちゃったら駄目じゃん。
だからより強い証拠を求めて推測が外れる可能性を小さくしていくの。
証拠に強いとか弱いとかあるんだ。
う〜んまだよく分かんないけど何か大事そう。
ついてらっしゃい。
第12話…
たまには気分を変えて外でやってみましょ。
またか…。
これで4人目だ。
この推測はどうかしら?今まで会った人がそうだからといって次に会う人もそうとは限らないんじゃない?推測なのだから外れる可能性は必ずあるわ。
だから単に外れる可能性があるというだけではなくてこの推測がどのくらい確からしいものなのかを問題にしなければいけないわね。
推測である限り外れる可能性はゼロにはならない。
でもなるべくゼロに近づけるって事か。
4人だけじゃちょっと怪しいか。
20人くらいに会って全員が例外なくロープを持っていたらこの町にはそういう習慣があるんだって結構確かな推測ができそうだよね。
そうだとしてもその日だけかもしれない。
確かに。
その日は何か特別な日で…例えば町の投げ縄大会とか。
だから一年中そうなのかはもっと調べてみなくちゃ分からない。
そうか。
この町の人たちはみんな一年中ロープを持っている…っていう推測をより確かなものにするにはもっと強い証拠が必要なんだね。
早速「強い証拠」なんて言葉を使いこなしてるね。
絶対確実じゃなくてもより強い証拠を見つけてより確かな推測にするってこういう事なのか。
あ…これって…。
圭次の台本に似てる。
ウッフフ。
では次にいってみましょ。
うわ〜。
次はミステリーよ。
この石こう像を割った犯人を推測するの。
野球ボールが落ちてるんだから普通に考えたら野球部がやったんじゃない?誰かが落っことしちゃってそれを野球部のせいにしようとしてボールを置いたのかも。
この場合は1つの証拠に対して2つの推測が出された事になるわね。
野球部犯人説の方がより確かな推測って感じがするけど。
そうだよね。
野球部が犯人でいいんじゃない?野球部犯人説の方がより確かな推測というのはそのとおりだけどだからといって決めつけては駄目。
犯人を捜すといった重要な事に対しては慎重にならなくては。
だからこの場合は…もし野球部が今遠征中だったら?野球部犯人説は否定される。
野球部以外の誰かという説は否定されて野球部犯人説がより確かな推測になる。
そう。
新しい証拠によって推測は否定されたりより確実になったりする。
だから推測をする時には……という事がとても大事な事になる訳。
そうなると僕の台本はどうだったんだろう。
台本に戻って見てみましょ。
…という推測はあまり確かな推測じゃないな。
ノーノが言ってたようにいつ置かれたものかも分からないし。
では圭次が立てた次の推測……という推測はどうかしら。
風で飛ばされたのか生存者が取り込んだのか。
その時の風の強さや洗濯物の干し方にもよるね。
じゃあさ…「まだ新しいかじりかけのリンゴが落ちていたから」…っていうのはどう?リンゴなんて犬でもかじれるよ。
嫌なやつ。
犬がかじった可能性がゼロじゃない限り生き残った人はやっぱりいないかもしれない。
来緋それ違う。
推測なんだから絶対確実じゃないのは当然。
大事なのはどれくらい確かかって事だよ。
そうだけど…。
この推測はどのくらい確かなものだと思う?絶対確実じゃないけどかなり確か。
そうだよね!これでタネとヒネに希望を与えられるね。
かじりかけのリンゴってアダムとイブのイメージにつながるから今後の展開的にもいいかもしれないな。
アダムとイブのリンゴだとするとそれが暗示するものは希望だけじゃないって事になるのかな。
証拠の強さとか推測の確かさとか新しい考え方を教わった気がするけどもしかしてこれも…。
そう。
これも…「ロンリのちから」。
(トゥイードルディ)ねえねえアリスちゃんいいこと教えてあげよっか?
(アリス)いいことってな〜に?トゥイードルディ。
ハンプティ・ダンプティは君の事いつも見てるよ。
きっと君の事が好きなんだ。
でもいつも見ているからって私を好きだって考えるのは気が早すぎない?あまり確かな推測とはいえないわ。
(トゥイードルダム)アリスハンプティ・ダンプティは君のためにプレゼントを用意してるよ。
きっと君の事が好きなんだ。
でもプレゼントをくれるからって好きだって考えるのは気が早すぎない?あまり確かな推測とはいえないわトゥイードルダム。
(ウサギ)トゥイードルディの証拠だけでは弱すぎる。
トゥイードルダムの証拠だけでも弱すぎる。
でも2人の証拠を合わせると…。
ハンプティ・ダンプティはアリスの事をいつも見てるし…。
ハンプティ・ダンプティはアリスにプレゼントを用意してるし…。
(2人)それなら証拠の合わせ技2つ合わせて強い証拠になる。
そのとおり。
一つ一つは弱い証拠でも集まると強い証拠になる事がある。
2人合わせれば強くなる。
それは僕たちの事だ〜!
(アリスウサギ)あ〜れ〜。
2015/06/26(金) 01:15〜01:25
NHKEテレ1大阪
ロンリのちから「推測の確かさ」[字]
論理的思考力を養う番組です。毎回、簡単な例文を題材に、論理的に考えるとはどういうことかを学んでいきます。今回は推測の確かさについて学びます。
詳細情報
番組内容
わたしたちは身の回りの事象から、あらわになっていない原因や背景を推測する。推測は絶対に確実ということはなく、はずれることがある。思考を深めていくには、より強い証拠を求めて、推測がはずれる可能性を小さくしていかなければならない。それも、ロンリのちからだ。【出演】緒川たまき ほか
出演者
【出演】緒川たまき,水石亜飛夢,阿久圭介,高橋春織,田中美海
ジャンル :
趣味/教育 – 中学生・高校生
趣味/教育 – 生涯教育・資格
ドラマ – 国内ドラマ
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz
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