山村美紗サスペンス 京都祇園殺人事件 2015.06.25


(徳大寺さつき)ただいま。
お母さん?お母さん?お母さん?お母さん!
(唄と三味線)
(夏目利彦)しっぺ〜。
ほい!
(あや乃)痛い痛い…。
はいじゃあ。
(狩矢和美)社長これって「女性のお茶屋遊び」の特集の取材ですよね。
(山野美野里)そうや。
夏目くん交代!えぇ!?何で?男がお茶屋遊びしてるとこ撮っても記事になんないの!そらそうや!交代交代。
うちがやる!社長頑張ってください。
あや乃ちゃんには負けへんでぇ。
鼻の下床まで伸びてるわよ!妬くなよ〜。
だいたい夏目くんがどうしてもついて来たいって言うから連れてきてあげたのに。
(豆ぎく)豆ぎくどす。
お兄さんおひとつどうぞ。
あぁどうもどうも。
あや乃ちゃんもいいけど豆ぎくちゃんもかわいいねえ!夏目くん!・「トラトーラトーラトラ…」
(工藤恵美子)おいでやす。
女将さんすみませんでした。
今日は突然無理を言ってお座敷を空けていただいたりして。
何だか先約のお客様がいらっしゃったみたいなのに。
(恵美子)いいえかましまへん。
おなじみさんどすさかいわけを話したらこころよう譲ってくれはったんどせぇ。
それよりあや乃ちゃんの同級生さんやてお聞きしましたさかい。
はいさつきとは…。
あっ違った。
あや乃とは中学のときに一緒だったんです。
ねっ?まぁそうどしたか…。
和美いい記事書いてどんどん宣伝してね。
うん。
よろしゅうおたの申します。
はい。
アハハ。
弱い…。
アハハ…。
夏目くん楽しみすぎ!はいすみません。
社長飲みすぎ!
(恵美子)はいあや乃ちゃん。
おおきに…。
義彦さん…。
(田辺義彦)これ取ってきておいたから見ておいて。
旅行の?あや乃が行きたいって言ってたところ調べておいたから。
ありがとう。
じゃあ…。
あや乃あの人婚約者で和菓子屋の跡取りの?田辺義彦さん。
来年の春芸妓をやめたら一緒になる約束してるの。
これ?新婚旅行。
君の行きたいところに行こうって。
へぇごちそうさま!
(恵美子)石原社長さん。
(石原太一)よぉ!今日はえらいすんまへんどした。
すんませんでしたね。
いきなりお座敷を譲ってもろたりして…。
その代わり大いに宣伝してやってくださいよ。
(美野里)はい。
いやまずいか。
「花力」にもあや乃にも断られっぱなしになったらたまらんからな。
アハハ…。

(狩矢澄江)あの物静かだったさつきちゃんが?そう今や祇園ナンバーワン芸妓のあや乃姐さん。
まあ!舞妓さんから芸妓さんにねぇ。
女の私から見てもうっとりするぐらいきれいなんだもん。
でもねお母さん。
夏目くんたらもうデレデレしちゃって…。
アハハ…。
(アナウンサー)「殺人事件のニュースです」「今日未明京都府宮津市天の橋立の海岸で殺人事件がありました」まあ天の橋立で殺人事件?天の橋立って日本三景の一つでしょ。
あっ昨日の人っ!「その遺体の状態から他殺と断定」「橋立署では京都府警と合同で捜査にあたると発表しました」
(刈谷)死因は刺殺か…。
(柴田)激しい暴行のあとはまったくないようです。
財布や貴重品もそのまま身についてます。
(橋口)ナガシのけんかや物取りではないということですね。
でも何でこんな行楽地でわざわざ殺したりしたんでしょうかね?どこか別の場所で殺されて運ばれて来たんだ。
見ろ。
地面に触れてないこんなところに死斑が出るか?それにしても海に浸かってたってことは死亡時刻の特定が厄介だな。
(狩矢)何だこりゃ。
遺留品ですかね。
(柴田)写真班お願いします!
(パトカーのサイレン)
(狩矢)徳大寺さつきさんですね?
(あや乃)はい。
殺された石原さんのことでちょっとお訊きしたいことがあるんです。
警察までご同行願えますか?
(あや乃)はい。
女将さんすみません。
お座敷のほう…。
それはかまへん。
そやけどあや乃ちゃん…。
(あや乃)行って来ます。
(狩矢)それじゃ。
あや乃が警察に?うちの社の社会部からの情報だと天の橋立不動産会社社長殺害事件の件で任意同行させられてるらしい。
何で?どうしてあや乃が警察に呼ばれなくちゃいけないの?彼女殺された石原社長の愛人だったそうだ。
嘘…。
別れる別れないでもめていたらしいんだよ。
あや乃が殺された石原さんの愛人…。

(あや乃)私じゃありません。
殺された石原社長とあなたは付き合いがあってそして最近あなたの結婚のことで別れる別れないでもめていたという情報がありましてね。
石原さんとはきれいに別れたつもりなんです。
そうですか。
おとといの晩はどちらに?私花力の前でばったり会ったあと石原さんには会っていません。
ですからどちらに?あの日はお座敷ももうなかったので一人でドライブしてました。
一人でドライブ?時々気晴らしで一人きりで…。
一人でね…。
どこかに寄られましたか?いやあつまりその…。
あなたがドライブしていたってこと誰か証言してくれる人は?証言?そんな人はいません。
ガソリンスタンドに寄ったくらいです。
(橋口)店員は覚えていました。
確かに2日前夜11時近くにあや乃は来ています。
オイル交換もしていて…。
ガソリンスタンドにあった控えでは走行距離は42672キロでした。
(橋口)42917キロ。
ガソリンスタンドでオイル交換したときは42672キロ。
その差245キロ。
例のガソリンスタンドのある市内から天の橋立までの片道はおよそ120キロです。
(狩矢)天の橋立までの往復距離とほぼ一致するな。
それからこの遺留品ですがまつげパーマに使用するロットであるということが判明しました。
ホシは美容関係者という線も考えられます。
それが何で被害者の衣服に付着していたのか石原の近辺をもう一度洗ってみる必要がある。
みんなその線で動いてくれ。
(一同)はい!
(狩矢)ただいま。
お父さん!あや乃が犯人だなんてあり得ないわよ!和美…。
徳大寺さつきちゃんって中学2年のとき和美が運動会のリレーで転んでねんざしちゃったときに家までおぶって帰って来てくれたのよね。
そうそうよ。
あや乃におぶってもらったことがある。
和美の友達だったとはな。
お父さんあや乃は友達じゃなくて親友なの。
和美いくらお前の親友でもな彼女には有力な容疑がかかってるんだ。
容疑ですって?
(狩矢)彼女はな舞妓から芸妓へ独り立ちするにあたって殺された石原から援助を受けていたんだ。

(狩矢)襟替えの費用から都踊りのチケットの買い取りや…。
まあああいう芸妓という商売を張っていくためにはそうとうな物要りだ。
それを全部石原が面倒を見ていた。
(狩矢)そんな石原の好意を受けて彼女は石原と4年ほど付き合いをしていた。
(狩矢)だが彼女は半年ほど前別れ話を切り出したんだ。
好きな人ができたんです。
(狩矢)田辺義彦老舗の和菓子屋の跡取り息子だ。
彼女は芸妓をやめてその男と一緒になりたいと思ったらしい。
そうかいそうかい…。
(狩矢)別れ話を切り出された石原はあや乃も自分のもとから羽ばたく日が来たのかと分別ある大人の対応を見せてあや乃から離れていった。
(豆ぎく)それが未練たらしゅうお座敷にあや乃ちゃん呼び続けはって。
ほんでしまいには石原さんお金返せ言い出しはったんどすえ。
金を返せって?
(花侑)1千万どすえ1千万。
そんなこと言うさかいに殺されはるんやわなあ。
せやけど祇園ナンバーワンのあや乃ちゃんがまさか人殺しまでしはるやなんてなあ。
いやまだ彼女が犯人だって決まったわけじゃないんだ。
(花侑)そやかてむちゃくちゃ動機はっきりしてますやん。
なあ豆ぎく姐さん。
(豆ぎく)ほんま。
あぁこわ。
ほな失礼します。
(花侑)ほな…。
(狩矢)あや乃にはアリバイがない。
それに彼女の車の走行距離のメーターが天の橋立京都間の往復にほぼ一致している。
しかもあや乃は天の橋立には土地勘がある。
そうだろう和美。
あや乃が天の橋立…?そういえばあや乃こっちに転校してくる前天の橋立に住んでたって言ってた。
ご両親が借金を苦にあや乃一人を置いて自殺しちゃって…。
こっちの親戚に引き取られたって言ってた。
修学旅行のときのこと和美。
うん。
修学旅行あや乃来なかったの。
向こうの親戚に負担をかけるからって。
そうだったわね。
あや乃中学を卒業したら親戚の家を出て住み込みで舞妓になるって言ってた。
自分の力だけで生きていきたい。
そして花街で成功していつかきっと天の橋立に帰ってあの美しい天の橋立を見るんだって…。
違う!何だよ大きな声で。
あや乃じゃない!いくら天の橋立に土地勘があったってあや乃じゃない!あや乃が人を殺すなんてそんなこと絶対にするはずない!まだ犯人と断定したわけじゃない。
容疑がかかってるだけだって言ったろう。
ねえお父さん。
あや乃田辺さんのこと…。
婚約者の田辺さんのこと何て言ってたと思う?あや乃田辺さんのこと和菓子作りに人生かけてるって。
一つ300円の和菓子をひとつひとつ丹念に作って儲けることよりお客さんに喜んでもらえるものを作りたいって。
すてきな人ねぇ。
あや乃の生きてる世界とは違って地味な世界だけどそういう落ち着いた生活がいいんだって。
そう言ってたの。
ねえお父さんあや乃だったら石原さんにお金の返済を申し出たはずよ。
他に容疑者いるでしょ!?お父さんが調べないなら私が見つけてみせる。
和美!おい和美…。
余計なことするんじゃ…。
和美!また和美の猪突猛進スイッチが入っちゃったみたいですね。
バカ笑いごとか…。
あら。
誰かさんに似てるから仕方ないもの。
うるさい!おい俺の飯はどうなってるんだよ!あらやっぱり食べるの?まったく…。
石原さんのこと「ぶっ殺してやりたい」って言ってたって聞いたんですけど何かあったんですか?
(相田)あんな欠陥マンション売りつけられたら誰だって…。
あの日石原さんが殺された日相田さんどこにいました?俺?ハワイに旅行してたよ。
昨日帰ってきたとこ。
土産のチョコレート食べる?
(狩矢)和美お前こんなところで何してるんだ?ここはシロ。
お前なそんなことしてていいのか?仕事はどうなってる?仕事は。
さつきのことが解決しなくちゃ仕事なんか手につきません!お父さんこそ仕事してよね!えっ?おい和美…!おい和美ピッチ上げすぎじゃないか?フーッ。
まったく…。
とにかくあの石原って殺された人調べれば調べるほど最悪で。
もう絶対地獄に行ってるわね。
あこぎな商売やってたんだ。
あぁ〜もうどこから調べていいのかわかんないくらい。
警察には任せておけないし。
うちのお父さんなんか私のあとから来てるのよ。
あれじゃ犯人にたどり着くまで100年かかるわよ。
よしわかった!和美俺が協力する。
プロの仕事見せてやるよ。
本当?うん。
俺の職業は?新聞記者。
任せろって。
なっ?うん。
乾杯!乾杯!
(狩矢)和美!何やってんだ。
お父さん!
(狩矢)仕事はどうなってるんだ!
(狩矢)止めろ止めろ!おい!
(橋口)危ないですよ。
あや乃…。
和美。
よかった。
疑いが晴れたわけじゃないの。
今日のところは帰してもらえたけど…。
これうちの社長から。
何だか知らないけど栄養ドリンク。
連日の事情聴取で疲れてるだろうからって。
ありがとう。
あや乃ごめんね。
あや乃に話してなかったよね父のこと。
狩矢警部は和美のお父さんだったのね。
家族の話したことなかったから父のことも黙っててごめんね。
わかってる。
和美は昔から私のこと気づかってくれて。
私中学のとき家族のこととか聞かれるのが嫌だった。
でも和美は何も聞かなかったわ。
祇園での生活のことも和美何も聞かなかった。
私のこと軽蔑してるでしょ?あや乃…。
石原さんとのこと和美に話してなかったよね。
そんな人がいながら他の人と一緒になろうだなんて。
虫がよすぎたのね私…。
違うよあや乃!あや乃は幸せになりたかったんでしょ?だから来年芸妓をやめて田辺さんと一緒になるつもりだったんでしょ?バチが当たったんだわ。
だから…。
バチなんて当たらないよ!あや乃は幸せになっていいのよ。
私殺してない。
石原さんを殺してなんかないの!信じてる。
父と私は別よ。
警察がどう考えていようと私はあや乃を信じてる。
だからきっと真犯人を見つけ出してみせるわ。
ありがとう…。
(大方)警察はな勇み足しとると思うで。
だいたいあの石原なんか死んだかて涙流す者はおらんでほんま。
やっぱり噂どおりあくどい奴だったんですね。
そうや。
わしら不動産屋仲間の間でも嫌われ者やったわ。
仁義も何もあらへん奴やさかいな。
バブルのときなんか何人殺してるかわからんでほんま。
殺してるって石原は人を殺してるんですか?ものの例えやがな例え。
あぁ例えね…。
最近はまあ体裁とりつろってたみたいやったけどな。
まあそういう話は聞いてるんですよねぇ。
だからこうもっと何か新鮮なネタが欲しいんですけど。
しゃあないなぁ。
そしたらあの女のこと教えたるわ。
野田麻里子。
知ってるやろ?野田麻里子ってあの女優の?ああ。
麻里子は知っとるで。
石原のこと。
酸いも甘いも裏の裏まで知っとる。
何せ石原とは10年以上の付き合いやさかいな。
野田麻里子か…。

(野田麻里子)何よ!新作の取材とか何とか言って。
どうせあんたも他の連中と一緒。
石原のことかぎ回ってるんでしょ?えっ?あんたもって?もううんざりなのよ!どいつもこいつも石原のこと聞いて揚げ句に私のこともあることないことおもしろおかしく書きたてるつもりなんでしょ!帰って。
いやそういうことで来たんじゃないんです。
しつこいわね。
帰って!ほんの少しでいいんですけど…。
帰ってよもう!二度と来ないで!クソッあの親父。
俺だけに教えるなんて言って他にもしゃべってたんだな。
野田麻里子のこと。
チケット損しちゃったよ。
どうしたの?野田麻里子を怒らせちまったよ。
何よ…。
プロの仕事見せてやるって言ってなかった?えっ?そんなこと言ったっけ?言ったわよもう…。
みなさんメイクしてから衣装に着替えてください。
こちらです。
どうぞ。
はい本番!よぉしいいか?いこう!よぉいスタート!大変でございます。
どうしました?だいぶ外が騒がしいようですが。
はい二条院の君が…。
二条院の君がおいでになりました。
二条院の君が?使いの者か?いいえ。
二条院の君ご自身が随身の惟光という者を連れておいでになっているそうでございます。
カット!はいOK。
どうもありがとう。
あの…。
えっ?「極道のやからたちしっかりしいや」の姐さん役もうすっごい迫力でした。
私めちゃめちゃファンなんです。
あのサインしてください。
いいわよ。
あと日中合作の「涙の城壁」!すっごい泣けました。
看護婦役の「天使の涙」。
涙シリーズも最高です!よく見てくれてるのね。
はい!はい。
あの涙シリーズ最後の作品どこで撮影でしたっけ?えっと…。
日本三景の松島?天の橋立?あぁあれ天の橋立じゃなかった。
宮島でしたね。
そうね。
ちょっと失礼。
脈あったわ。
まったく俺は和美の付き人かよ。
だって本当に重くて歩けないんだもん。
それより洗面所に行った野田麻里子遅すぎるもの。
ちょっともっとゆっくり歩けって。

(麻里子)違う!違う!私じゃない!私じゃ…。
石原…あぁ…。
キャーッ!何やってんのよ。
和美!
(パトカーのサイレン)和美何やって…。
何だその格好は?私は私のやり方で調べてるの!お父さんには関係ないでしょ?関係ない!?殺人現場にいて何が関係ないだ!しゃしゃり出るのはいい加減にしろ!何よ私が容疑者!?いいわよ。
警察に連れてって調べれば?やめろって和美。
夏目君は黙ってて。
お父さん一番怪しいのは私なんでしょ?行くわよ警察でもどこでも!和美…!あのお義父さん。
和美ちゃんはこう言ってますけど僕が一緒にいましたから和美ちゃんは犯人じゃありません。
本当ですってお義父さん!私は君のお父さんじゃない!
(橋口)凶器は撮影用の照明機材です。
ただ鑑識の結果ではあまりに不特定多数の指紋がついており犯人の特定はちょっと…。
目撃証言は?柴田くん。
はい。
犯行現場がセットの裏というせいもありまして人がほとんどいなかったため今のところ目撃証言は得られていません。
あとは和美たちが聞いたという被害者の言葉か。
「違う」「私じゃない」「石原」でしたね。
石原と野田麻里子は10年以上の愛人関係にありそこへこの4年ほどあや乃が割り込んでつまりこの二人は石原をめぐって三角関係だった。
(狩矢)殺された野田麻里子さんを知ってますね。
はい知っています。
でも会ったことはありません。
会ったことがない?
(あや乃)はい…。
そうですか。
今日11時ごろどちらにいました?今日はお休みだったので家にいました。
家に…。
誰かそれを証言してくれる人は?いません。
そうですか…。
ほんまに和美さんあや乃ちゃんのためにほんまにありがとうございます。
女将さんお礼なんてやめてください。
いいえ。
うちはうれしいんどす。
和美さんがあや乃ちゃんの無実を信じて体まで張ってくれはったやなんて…。
あや乃ちゃんええお友達持っててよかったなぁ。
はい。
うちもあや乃ちゃんの無実を信じてます。
この子は人をあやめるようなことのできる子やおへん。
それはうちがよう知ってます。
そうなんです。
私もそう信じてるんです。
だから…。
(美野里)まあパーッといきましょ。
厄落としや。
さあ飲みましょ。
そうそう…。
あっあや乃ちゃん。
またトラトラやろうよあれ。
はい。
夏目くん今日は私と勝負よ!やるか和美。
ようし。
あぁ〜当たった!
(英子)すみません。
これ私の落し物です。
何ですかこれ?まつげパーマのロットです。
私美容学校に通ってて今勉強中なんです。
こないだから何本かなくしてしまって…。
嫌だな…こんなところに落ちてたなんて。
まつげパーマ…。
(細川)何でまつげにまでパーマかけるんですかね?平安時代女の命は黒髪やった。
平成時代女の命はまつげや。
まつげパーマで男はイチコロ。
さぁ今度はあんたの番や。
やってみやってみ。
私はいいですって。
本当にいいですから…。
あっそや!平安時代で思い出した。
明日時代祭りや。
狩矢取材頑張ってや。
はい。

(恵美子)天の橋立?あなたいったい…。
すみません。
ごめんなさい。
和美!どうした?大丈夫か?夏目くん…。

(狩矢)和美!
(澄江)あなたこっち。
大丈夫なのか?お母さんがお父さんに大げさに言うから…。
あらだって…。
時代祭りの写真撮ってて何かにつまずいて後ろに転んじゃっただけよ。
えっ?えっ?でも夏目さんに連れて来られたときは…。
夏目くんも大げさなのよ。
もう本当全然大丈夫だから。
あっ夏目くんもう帰っていいわよ。
ああ…。
夏目くん今日はありがとう。
いいえ。
あの…。
何か?いえ何でもないです。
では失礼します。
お大事に…。
これあなたの落し物じゃないですか?昨日竹屋町通りで…。
確かにこれは私のです。
どこかに落としたんです。
落とす前に何やったんだ?えっ?人の頭かち割ろうとしたんじゃないのか?頭かち割るって?二度と和美に手を出すな!あんたの正体もあんたのやったこともすべて俺が暴いてやるからな!ごちそうさまでした。
(澄江)は〜い。
あっ和美そでに何か付いてる。
あっまつげパーマのロットだ。
この上着…。
あぁ…。
あのとき付いたんだ。
へぇ〜これがそうなの?うん。
これでまつげにパーマをかけるの?お母さんもまつげパーマやってみる?えぇ!?何がまつげだパーマだ。
朝っぱらからそんな…。
おいこれどうしたんだ?あぁこれね…。
天の橋立で殺された石原の上着にも付着していた。
まつげパーマのロットが付いてたの?これどこで手に入れた?それは…。
どこだ?まつげパーマですか?
(橋口)うん。
あや乃さんはまつげパーマをかけてるのかな?
(英子)はい。
時々私の練習台になってもらってます。
あや乃さんそれから女将さんや豆ぎく姐さんに他の姐さん方にも…。
(橋口)そうですか。
どうもありがとうございました。
警部!花力の訊き込みではあや乃以外に女将や他の芸妓たちもまつげパーマをかけているということです。
まつげパーマのロットから容疑者を特定するのは難しいようですね。
あの僕に話って何でしょうか?
(狩矢)ああいや…。
急に呼び出して悪かったね。
いえ。
えっと…単刀直入に聞くがね。
はい。
そのなんだ…。
独身の男女がだ。
その何というか付き合うということはだな。
やはりそのゴールというものは結婚というか…。
そのへんのことを最近の若い者は…。
あの…単刀直入に言ってもらえませんか?えっ?ああ…。
今言うところなんだ。
はい。
君は和美と結婚する気あるのか?えっ?和美と結婚する気あるのかないのか。
はいあります。
ああそう…。
ああそうか。
お義父さん僕たちの結婚を許して…。
ババカ!こんなところでいきなりそういうこと言うんじゃないよ。
いやでもお義父さんが最初に…。
私は君のお父さんじゃない!そうでしたすみません。
いやぁでもうれしいな。
そんなふうに考えてくださっていたなんて。
何だか僕たちって気が合いそうですね。
私と気が合ってどうするんだ?肝心なのは和美と君だろうが!いやそれはもうしっかり合ってますから。
はいご心配なく。
じゃあお義父さんお茶でも1杯どうぞ。
あああの今日私が君を呼び出したことは和美には言わないように。
わかりました。
(ドアの開く音)ただいま。
ああ和美ちょっと…。
えぇ〜!?いいから座りなさい。
単刀直入に言うがな今日なバッタリ夏目くんに会ったんだ。
偶然にな。
まぁいろいろ話す時間があってな。
そしてつまりもちろん彼の意見も聞いたし何て言うか彼の気持ちとしてはだ…。
お父さん単刀直入に言ってくれない?うん?ああ…。
お前夏目くんとは結婚するつもりなのか?何だそんな話。
バカッ!そんな話とは何だ。
じゃあ言わせてもらうけど何でいきなり結婚の話になるわけ?いやそれはだな…。
お前もいい歳なんだし。
だいたいないつまでも事件に首を突っ込んでばかりいないでいいかげん自分の人生というものにケリをつけてだな。
ケリ?お父さんケリって結婚のこと?えっ?バッカみたい。
男と女が付き合っててそのケリが結婚だと思ってるわけ?だってそうだろう?そういうもんだろう。
だいいち何でケリなんかつけなきゃいけないわけ?お父さん頭古すぎ!私は結婚する気なんてないしケリなんて全然つける気ないの。
ほっといて。
いや…。
そういうもんか?
(澄江)さあね。
そういうもんかこういうもんか…。
はぁ…わっかんねえな。
警部野田麻里子周辺の訊き込みで怪しい男が一人浮上しました。
(狩矢)上田…?丹後銀行天の橋立支店に勤めていた上田徳一ですが上田は半年ほど前に退職しています。
退職理由は?ギャンブル狂でそうとうな借金を作っていてリストラ対象にされたようです。
その借金ですが野田麻里子にも借金があったようですね。
現在行方不明か。
よし洗ってみよう。
(杉山)1か月くらい前やったかな。
上田はまたルーレット負けよってな。

(上田徳一)クソッ…。
(杉山)カラッケツで帰ろうとしとったところに麻里子が来て「貸した金返せ。
返さんのやったら出るとこ出る」言うてえらいもめとったわ。
野田麻里子は何で上田に金を貸していたのかね?殺された石原とあや乃のこといろいろと探っては麻里子にちくっとったんですわ。
でその見返りとして…。
せやけどあの上田が借りた金返せるかいな。
上田は石原とも知り合いだった…。
古い仲らしいですわ。
石原は昔そうとうあこぎな奴やったからバンバンたたいて金をせびったる言うて。
上田が石原を恐喝しようとしていた?
(杉山)上田かて石原のことは言えんのとちゃうか?銀行員の面の裏で何やっとったことか。
そやどこやったかな。
確か上田が言うとったけど。
天の橋立!天の橋立?石原はそこで二人も殺しとるんや。
「あのことまたほじくり返したろか」そう言うとったな。
二人殺した?天の橋立…。
天の橋立。
すべてを解く鍵はここにあると思うんです。
このとき女将さん確かに「天の橋立」て言わはってんな?ええ。
天の橋立はあや乃の故郷。
そして石原さんの死体が発見された場所。
すべての秘密は天の橋立にあると。
社長私天の橋立に行って来ます。
えっ?ちょっと…狩矢。
ちょっと待ち狩矢!待ちって!あんたな時代祭りのとき襲われたん忘れたんか?どいてください社長。
あかん。
危なすぎる。
お父さんかてめちゃくちゃ心配したはるんやで。
行かせるわけにはいかへん!真実を知りたいんです。
たとえそれがどんなものであろうと。
あや乃のため自分自身のためにも真実を知りたいんです。
狩矢…。
もうあとには戻れません!進むしかないんです。
くれぐれも気ぃつけてな。
ここにあや乃の家があったのね…。
誰か徳大寺家のことを知ってる人に話を訊いてみよう。
かわいそうなことでした。
徳大寺さんバブルでものすごい借金してしまって結局夫婦で心中しはって。
養女やとは言えさつきちゃん一人残して行かはったんはせめてもの愛情やったんですかねえ。
養女?徳大寺さんとこのご夫婦はお子さんができなくてねぇ。
そやけどそれはもうえらいかわいがりようで。
実の子以上にかわいがってはったと思いますよ。
(徳大寺昭)じゃあ乾杯だ。
(徳大寺美代子)そうね。
カンパーイ!養女だったなんて…。
でもあや乃にとっては実のご両親と一緒よね。
事件には関係のないことだわ。
いや関係ないかどうかはまだわからないな。
和美はさっきの人が言ってた徳大寺さんの古い知り合いに話を訊きに行ってくれ。
俺は不動産屋を当たってみる。
ここは二手に分かれよう。
ええ。
亡くなられた徳大寺さんご夫婦についてなるべく詳しく知りたいんですけど…。
(水島洋三)だまされたんですよ!あのバカが。
(水島信子)あんた。
亡くなった人のことそんなふうに言うたらアカンて!すみませんね。
この人亡くなった昭さんとは遠縁にあたるもんで…。
徳大寺の財産ドンドン食いつぶして行きよって。
揚げ句にだまされよって。
あんなアホに継がせたのが間違いや!はぁ…。
すみませんねぇ。
あんた。
とにかく昭さんところは代々土地持ちで。
せやけどまあ昭さんが世間知らずやったんやろねぇ。
株で損して次は学園都市やと…。
うまい儲け話にのせられよって。
学園都市?儲け話って…?京都のある市に国立の総合大学ができるいう話で。
昭さんにその話持ちかけて来たんは当時の丹後銀行の上田いう支店長とその支店長が紹介した京都市の不動産会社の社長で。
(石原)一生に1回あるかないかですよ。
さる代議士からの有力な情報ですわ。
本当ですか?支店長。
ご融資のほうはバックアップ態勢を内密理に進めております。
そうですか。
よろしくお願いします。
(信子)昭さんすっかり信じ込んで…。
その学園都市予定の土地を5億円ほど買い占めはったんやわ。
(信子)それは数年後には倍以上になって戻ってくるはずやったんやけどね。
どういうことや?あなたこれ…。
実際には全然別の市に学園都市ができることになって。
じゃあ徳大寺さんが買った土地は…。
丸損や丸損!
(信子)昭さんが買わされはった土地はその不動産屋の二束三文の土地で…。
早い話がだまされはったんやわな。
ひどい…。
昭がアホなんや。
家も土地も担保に5億の借金。
かわいそうに昭さん。
ショックでそのまま寝ついてしまわはってなぁ。
大丈夫?ただいま。
お母さん?お母さん?お母さん?お母さん!そうして徳大寺ご夫婦はさつきをたった一人残して自殺してしまったんですね。
まあさつきちゃんに借金を残さんようにしていかはったんだけがせめてもの親心だったんやろねぇ。
何かの因縁やな。
あのときの社長天の橋立で殺されよったわ。
えっ?どういうことですか?その社長って…。
石原いう奴や。
石原?私らもすっかり忘れてたんですけどねぇ。
ニュース見ても何も気づかへんかったねあんた。
事件のすぐあとに京都から何や若い男の人がこの話を訊きに来はってね。
京都から男の人?どんな人でした?何や品のええまじめそうな男前のお兄さんやったなあんた。
ああそれで思い出したんや。
十何年か前昭のことだましたのはこの間殺された男やってな。
ああそういえば京都府警の刑事さんもいろいろ訊きに来とったな。
気がつきませんでしたね。
(橋口)そうですか。
≪あや乃には動機がある?≫≪あや乃がもし石原が両親の自殺に絡んでいたことを知ったとしたら?≫≪あの夜のあや乃の車の走行距離245キロ≫
(信子)〔事件のすぐあとに京都から何や若い男の人がこの話を訊きに来はってね〕
(信子)〔品のええまじめそうな男前のお兄さんやったな〕≪時代祭りのときあそこで私を襲ったのは…≫≪あや乃あなたが犯人なの?≫田辺さんどうしてあなたがここに?お願いします。
和美さん。
この事件のことは忘れてください。
お願いします。
私を襲ったのは田辺さんあなただったのね。
野田麻里子さんを殺したのも?あや乃のためなの?あや乃の復讐をかばってるの?あや乃の親友だったら頼むから忘れてやってくれ!いいえ。
忘れることはできないわ。
たとえそれがどんな真実であろうと…。
忘れてやってくれ…。
頼む!和美に近づくな!あんた…。
二度と和美に近づくなと言ったはずだろ!貴様待てっ!夏目くん!あいつ…。
大丈夫だったか?こっちでもとんでもないことがわかったんだ。
あや乃さんは徳大寺の愛人が産んだ子供だったんだ。
愛人の子?徳大寺夫婦は子供ができなくていったんはあきらめていたらしい。
美代子土産。
さつき…。
若すぎて生活力のなかった母親は「必ず幸せにする」という徳大寺夫婦の言葉を信じ子供の幸せを祈って二人に託したそうだ。
あや乃は何らかの情報で石原が両親のかたきであることを知ったんだわ。
そして復讐のために刺し殺した。
石原の死体を車に積み込んで…。
死体を天の橋立に運んだんだわ。
野田麻里子は?野田麻里子は石原と長い付き合いだった。
何かに勘づいてあや乃を脅迫してきた。
それで殺した…。
もしかしたら麻里子を殺したのは田辺じゃないか?あや乃の婚約者の田辺さん?和美がさっき話を訊いた夫婦が言ってた若い男ってきっと田辺のことだよ。
あいつ天の橋立で石原のことを知ってあや乃さんの犯行だと確信したんだ。
それであや乃を脅迫してきた野田麻里子を殺した?現にさっき和美の前に現れた。
田辺はあや乃さんを守り通そうとしているんじゃないかな?
(ノック)
(橋口)上田徳一さんですね?殺された石原社長のことでお伺いしたいんですが。
待て!石原が天の橋立で二人殺してるってどういうことなんだ?知りませんよそんな話。
じゃあ警察に来てゆっくり話を訊かせてもらおうか。
私はただ石原と麻里子とあや乃の三角関係のことで野田麻里子に頼まれていろいろと情報を渡しては金をもらっていただけですよ。
田辺さん…。
忘れてくれって言ったのに。
忘れることなんてできないわ。
私はあや乃と話したいの。
キャッ!うわぁっ!女将さん…!どうして田辺さんや女将さんがここに?それは…。
明日12時に天の橋立の成相山の展望台…。
(田辺)あや乃行くな。
(あや乃)どうして?
(田辺)いいから!あや乃が田辺さんに。
でもどうして女将さんまで?私はあや乃と話したかったのに…。
いけない救急車!女将さん!何するんですか!和美さん。
お願いもう何もしないで。
あや乃ちゃんのためを思うんだったらもうそっとしておいてください。
お願いします。
女将さん…。
ねっお願い。
お願いします。
お願いします。
女将さん…。
ねっお願い。
お願いします。
あや乃のことを思うからこそこのままにしておけないんです。
どんなにつらくても真実から目を背けることはできないんです。
どうしてもですか?ええ。
そうですか…。
女将さん…。
やめろ!夏目くん!自分の産んだ娘の…。
娘の親友を殺すのか?娘…?そうだ和美。
この人があや乃さんの…。
27年前あや乃さんを産んで徳大寺夫妻に預けたんだ。
お母さん?女将さんが?徳大寺さんの愛人?女将さんがあや乃のお母さんだったのね。
あや乃を見つめる女将さんの目。
とっても優しくて…。
あれは母親が娘を見守る眼差しだったのね。
じゃあ石原社長を殺したのは女将さん…?そうです。
どうして?なぜあや乃を苦しめるようなことをしたんです?女将さん今までずっとあや乃に母親であること名乗らずにいて。
どうして?なぜ今ごろあや乃を苦しめるんですか?違う。
あや乃を苦しめるためにやったんじゃない。
だったらなぜ?なぜなの?あや乃を苦しみから救うため…。
(恵美子)あの子は石原に世話になったお金は何とか返すつもりだと。
恩義は感じてるけど今度こそちゃんと別れてもう二度とつきまとわないでほしいと頼むつもりで…。
(チャイム)
(石原)今ごろになってわしをゆするつもりかい?
(上田)天の橋立で徳大寺夫婦二人も殺してるじゃないですか。
人聞きが悪いな。
あれは自殺や。
それにもう14年も前の話や。
あなたが殺したも同然ですよ。
ただ同然の土地を5億で売ったんだからね。
だったら今度は私を助けてくれたっていいじゃないですか?
(石原)助ける義理はないな。

(チャイム)あや乃ちゃんどないしたん急に…。
まあとにかく上がって。
どないしたん?あや乃ちゃん…。
私…汚れてる。
いや…。
私汚れてる…。
石原なんかに…!もう田辺さんと一緒になんかなれない。
なれないの…。
(恵美子)しっかりしいや。
あや乃ちゃん何言うてんの。
石原さんがどうしても聞いてくれはらへんのやったらうちも頼んであげる。
それでもあかんのやったら…。
(あや乃)殺したい…。
あや乃ちゃん!石原を殺したい!
(恵美子)あや乃は石原が自分の両親を殺した男だったと私に打ち明けた。
そしてそんな男の援助を受け抱かれ続けてきた自分は汚れているそう言ってた。
あの子は石原を殺すかさもなければ自分が死んでしまいたい…。
そう思い詰めてた。
ええなあや乃ちゃん。
もうアホなこと考えたらあかんえ。
このことはうちの胸にしもうとくさかいあや乃ちゃんは無事に芸妓を終えて田辺さんと結婚して幸せにならなあかん。
(あや乃)いいえ。
私このままでは幸せになんかなれない。
お父さんやお母さんを殺した石原をこのままになんかしておけない!あや乃ちゃん!石原を殺したかてご両親は浮かばれへん。
そんなこと亡くなったご両親かて喜ばはらへん。
どこの世界にたとえ復讐のためとはいえ子供が人を殺して喜ぶ親がある?そやろ?
(恵美子)けれど私の言葉はあや乃の胸には届かなかった。
(恵美子)あなたたちが取材に来た夜…。
それじゃあよろしくお願いします。
(恵美子)あの子が石原を呼び出しているのを聞いてしまって…。
(恵美子)あの子は今夜石原社長を殺すつもり…。
過去の分まで幸せにならなければならないあの娘がなぜ今になって苦しまなければならないの?すべては私のせい…。
あの子の手を汚すわけにはいかない。
よぉ!今日はえらいすんまへんどした。
すんませんでしたね。
いきなりお座敷譲ってもろたりして…。
その代わり大いに宣伝してやってくださいよ。
(美野里)はい。
それであのときあや乃の手が震えていたのね。
(恵美子)この男は私が殺す。
私はあや乃に先回りして石原を待ち受けた。
そして気づいたら天の橋立へと来てしまっていた。
27年前あの子を捨てたとき二度と来ないと誓った場所へ…。
自首してください。
そしてあや乃に母親だと名乗ってください。
いいえできません。
女将さん!死んじゃだめ!離して!あなたはもう一度あや乃を捨てるんですか?あなたが死んだらあや乃は今度こそ本当に独りぼっちになってしまう。
(嗚咽)
(パトカーのサイレン)和美…。
(ノック)失礼します。
警部先ほど病院から連絡がありまして田辺義彦は脳震とうを起こしただけで手当てを受け回復したようです。
(狩矢)そうか。
あやうく三人目の犠牲者が出るところだった。
二人目の犠牲者野田麻里子を殺したのは?
(恵美子)石原を殺した数日後ファクスが送られて来たんです。
(恵美子)石原と長い付き合いの野田麻里子がかぎつけて脅迫してきた。
そう思ったんです。
違う!違う!私じゃない私じゃ…。
石原…。
(恵美子)だけどファクスを送って来たのは野田麻里子じゃないとあとでわかったんです。
じゃあ誰なんです?あや乃の婚約者の田辺さんでした。
田辺義彦が…?あなたを脅迫してきたんですか?いいえ。
脅迫じゃない?私も初めは脅迫だと思いました。
あや乃は田辺さんにだまされているんだと田辺さんを憎くさえ思いました。
でも違ったんです。
(狩矢)じゃあ何のために?天の橋立へ行って来ました。
(恵美子)天の橋立へ?あなたいったい天の橋立で…。
27年前のことも知っています。
あや乃に母親だと名乗ってやってください。
お願いします!あや乃に名乗ってやってください。
やっぱり女将さんが母親なんですね?失礼します。
二人も手にかけた私は絶対にあの娘に母親だと名乗るわけにはいかなかった。
あの娘を殺人者の娘になんてどうして…。
すみませんすみません…。
(恵美子)田辺さんを追いかけようと…。
そしたら和美さんが…。
(恵美子)秘密を知った田辺さんに今和美さんを会わすわけにはいかない。
そう思ったら夢中で…。
自分の手を染めたこと後悔はしていません。
(狩矢)あや乃さんに石原を殺させたくなかったから?そうです。
あの娘を殺人者にしたくないその一心でした。
あや乃さんが自分の娘だといつ?27年前あの娘と天の橋立で別れたとき私ねもう二度と天の橋立には来るまい。
あの娘には決して会うまいって心に決めたんです。
それなのに…。
ある日祇園に舞妓見習いでかわいい娘が入った。
その娘は天の橋立から来た娘で両親が自殺したかわいそうな娘だって聞いたとき私すぐにあの娘だってわかったんです。
そして…。
よろしゅうおたの申します。

(恵美子)この娘のためにどんなことでも力になろう。
そう心に決めました。
(狩矢)違う。
母親のあんたが手を下さずに娘さんの復讐の思いを断ち切る方法は本当になかったのか?なぜ母親だって名乗ってやらなかった!私だってそうしたかった!あんたのお母さんだよって言ってやりたかった…。
あの娘を抱いてやりたかった!だけど私はあの娘を捨てたんです。
あの娘が許してくれるはずないじゃありませんか!
(狩矢)あんたがしたことはエゴだ!本当の母親なら娘が間違ったことをしようとしたら体当たりして止めるんじゃないのか?娘を捨てたことも何もかもさらけだして自分がボロボロに傷つく覚悟があればだ…。
あんたが本当に母親として彼女の前に立つ勇気があったらあや乃さんの復讐の怨念は消すことができたはずだ。
警部さん…。
あなたは母親としての愛の表現の仕方を間違えた。
(嗚咽)お母さん…。
待っています。
帰ってきてくれるのを。
ずっと待ってる。
お母さん…!さつき…。
これは徳大寺のお父さんへ。
これはお母さんへ。
そしてこれは石原さんと麻里子さんへ。
あや乃が舞妓として祇園にやって来たときお母さんどんなにうれしかったでしょうね。
そしてずっとずっと見守り続けて来てくれたのよね。
今までもそしてこれからもずっとずっとあや乃のことを思ってくれている。
私もう一人じゃない。
今本当にそう思ってる。
あや乃…。
和美夏目さんありがとう。
だからあのちょっと出っ張ってるところが龍の首でしょ?天に昇って行く龍に見えるじゃない?そうかなぁ?全然見えないけどな…。
普通はそう見えるの!夏目くん絶対目がおかしいわよ!あぁそうかもな…。
絶対目おかしい!だって今日の和美は妙にかわいく見えるもん。
アハハハ…。
夏目くん!2015/06/25(木) 14:00〜15:51
ABCテレビ1
山村美紗サスペンス 京都祇園殺人事件[再][字]

父母は殺されていた!120キロ天の橋立に復讐のドライブ…平安絵巻に芸妓の秘密

詳細情報
◇出演者
藤谷美紀、田村亮、原田龍二、音無美紀子、田中美奈子 ほか

ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
福祉 – 文字(字幕)

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
映像
音声 : 2/0モード(ステレオ)
日本語
サンプリングレート : 48kHz

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