韓国の貧困街 九龍村
韓国の江南(カンナム)といえばサムスンをはじめとした大企業がビルを構え、
1億円クラスの高級マンションが立ち並ぶことからセレブの街として知られている。
街の歴史は浅く、もとは郊外の農村であったが1963年のソウル市編入以降次々と高級マ
ンションや企業ビルが建てられていった。
2012年にはPSYの「江南スタイル」という江南に暮らす富裕層の贅沢な暮らしぶりを題材に
した歌が世界的にヒットしたことから、国外にもセレブな江南のイメージが広がった。
そんな江南だが、同じ区内にイメージとは対極な一角がある。
バラック小屋がひしめき合うその場所は九龍村という地区で、
華やかな江南の中心地からわずか1㎞ほどの距離に位置する。
バラック地帯の後ろには高層ビルが見え、韓国経済の光と闇を感じずにはいられない。
九龍村では高齢者を中心に2500人程が暮らしている。
日本にもバラック小屋が密集する地域はあるが、これほどの規模のところは見たことがな
い。
なかには生ゴミもあり、歩いていると腐敗臭が漂ってくる。
住宅から生活感は感じるのだが、村の中を歩いてる人はほどんどいなく、
とてもひっそりとした雰囲気である。
村の周りにはきちんとした消火設備が設置されていた。
たしかにこのような環境だと火事になった時が大変である。
実際昨年に火事が起きた時に消防当局は消防車、消防ヘリを動員したが、
村の進入路が狭く、消化に難航したらしい。
おのおのの住宅にはトイレや郵便ポストはなく、共同で使用しているらしい。
飛ばないようにシートの上には石が置かれている。
九龍村は1988年のソウルオリンピックの時の都市開発事業によって行き場を失った人達
によって形成されたといわれている。
オリンピックによる外国客に向けてソウルを中心に都市の美化が課題になり、それに反す
る貧困街が押し出されたというわけである。
韓国では脆弱な社会保障制度による格差問題が指摘されており、
九龍村はまさにその象徴だといえる。
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