(マイケル)
これは極東の国日本を訪れた我々家族の100日間の冒険の物語。
我々の目的は寺院巡りでも秋葉原でのショッピングでもない。
我々の最重要課題それは…
日本を食べ尽くす事だ。
(街の喧騒)今日で東京に来てから3週間か。
(リスン)そうね。
アスガーとエミルもピザとバーガーなしの環境にだいぶ慣れてきたみたい。
フッ。
だけど少々東京に疲れたよ。
この街はスリリングで魅力的だけどあまりにも喧騒に満ちている。
子供が外で遊ぶのにも向いてないわ。
うん。
次はもっと広いところへ行くか。
アスガーエミルリスンそして僕マイケル。
我々英国一家は羽田空港から国内線を使って大移動を敢行した。
次に向かう先は…
日本列島の最も北に位置し国土のという広大な土地を生かしジャガイモ小麦トウモロコシチーズやバターなど大規模な食糧生産が行われている農業王国だ
(アスガー)日本にも広い場所なんてものがあったの?北海道は外国人がイメージする日本とはかなり趣きが違う。
広大な大地と原生林が残る豊かな自然環境や大規模な農場だってあるんだ。
だったらみんな東京にばかり集まらないでそこに住めばいいのに。
(機内アナウンス)皆様当機はまもなく…。
ひゃっほう〜!結構いい部屋じゃん!都市部とはいっても札幌はだいぶ広々としてるなあ。
涼しいし空気もきれいね。
ん?…あっ!エミル見ろ!ビルの上に観覧車がある!
(エミル)あれ乗りたい。
いいやその前に腹ごしらえだ。
札幌といえばみそラーメン。
特にバターコーンラーメンは絶品だぞ!おなかすいたろ?観覧車!乗りたい。
もう何を言っても無駄よ。
無理に目的地まで連れていってもきっといい子じゃいられないわ。
あめ玉を口に放り込んでもか?あめ玉が10ダース要るわね。
失敗したなぁ!反対向きの部屋をとるべきだった!観覧車!乗りたい。
しかたなく僕たちは別行動をとる事にした。
東京で持て余したエネルギーを一気に解放するであろう2匹のゴブリンの面倒はリスンが見てくれる
あぁ〜!ちょっとアスガー動き回らないで!お願いだから座って〜!
本日最初のターゲットは…
小麦粉を使ったコシの強い麺を熱々のみそだれのスープに入れ特産のコーンとバターを他の具材とともにトッピングした麺料理。
日本のラーメンにはしょうゆ豚骨塩などの種類があるがここ札幌といえば何と言ってもみそラーメンである
「ラーメン横丁」と名付けられたビルの谷間の通路にはラーメン屋が所狭しと軒を連ねている。
どうも日本人は土地のあるなしにかかわらず狭い場所に集まりたがる習性があるらしい
(店主)はい〜いらっしゃい!
今日は少なくともラーメン屋を3軒は回るつもりだ。
食べ過ぎには注意しよう
(店主)お待ちどお!あぁ〜!あ?心の声思った以上に油っこいな…。
センセーショナルだった。
口に入れた途端塩とニンニクの効いたポークの味が広がり焼けるように熱いみそのスープにさらされた口の中に冷たいバターとコーンがショックを与えてくれる。
これは最高だ…!
(ラーメンをすする音)ん?
(ラーメンをすする音)
(ラーメンをすする音)
(ラーメンをすする音)
下品だからといってチャンネルを変えないでほしい。
何しろこれがラーメンを食べる時の大多数の日本人の作法なのだ。
なるほど空気と一緒に吸い込む方法が熱すぎるラーメンを食べるうえで理にかなっているのだと思えなくもない!
(ラーメンをすする音)心の声ん?…あっしまった!あと2軒回るつもりだったのに…。
せめてスープだけでも残せばもう1軒くらい…。
はぁ〜!…しまった〜!
(店主)ありがとうございました!うっ…。
やはりこれからは家族と一緒に来るべきかもしれない。
僕がおいしすぎるラーメンをうっかり食べ過ぎないように…
…げふっ!お〜いこっちだ!おっパパ発見〜!パパ。
どうだ?観覧車は楽しかったか?聞くだけ野暮だったか。
(リスン)観覧車に向かう途中でエミルが迷子になってエミルを見つけたと思ったらアスガーがいなくなって係員に英語は通じなくて係員に英語は通じないけど日本語も通じないっていうか北海道弁が何言ってるか分からなくて…。
悪いが後で聞かせてくれ。
今はこれ以上胃に負担をかけたくない。
あっ!アスガーもう何も見つけないで!カニだ!あれ乗りたい。
あれは乗り物じゃない。
カニ料理屋の看板だよ。
それくらい分かるよ。
あそこ行ってみたいと思ってさ。
何だアスガー腹が減ってるのか?お昼御飯は?食べさせたわよ。
だけど3回目の観覧車でこの子たちがゴンドラを揺らしすぎて2人とも気持ち悪くなって…。
その先はいい。
うわ〜見ろエミル!カニだ。
うわ〜きもっ!これ何てカニ?キング・クラブタラバガニだ。
これは?クイーン・クラブズワイガニだ。
キングとクイーンがいるの?じゃあこっちがオスでこっちがメス?いや種類が違う。
単なる呼び名だよ。
じゃあこれは?おい指を近づけるな!危ないぞ!な?危ないって言ったろ?うわっエミル見てみろあのカニ!でかっ!えっ!レストランというより甲殻類の解体工場ね。
みんな集中してるな〜。
カ〜ニカ〜ニ!
日本人がごちそうとして珍重する甲殻類。
特に北海道のカニはブランドとして人気も高い。
ちなみに日本では次のような法則がまことしやかに語られる。
「カニを食うとみんなが黙る」と
(店員)お待たせいたしました〜。
うわ〜!
(エミル)真っ赤っかだ。
おいしそうね〜!
(マイケルのしゃっくり)そ…そうだね。
僕はちょっとだけ味見するよ。
さっきうっかり食べ過ぎたからね。
どう?う〜ん…。
心の声特に際立った味はないな…。
海のかすかな香りとヌルッとした食感の間に見え隠れするヨードのうまみ…。
そして…。
どうだった?なかなか捉えがたい味だな。
それだけ?ああ。
興味深かった。
そう…それじゃあこのキング・クラブは?おいしいわよ?うまいけど大騒ぎするほどのもんじゃない。
パパもう食べないの?うん。
ラーメンがここまで来てるんだ。
ウッ。
カニ攻撃〜。
グーの方が強いよ。
食べ物で遊んじゃ駄目よ。
マイケルあなたも何か言ってあげてよ。
パーの方が強いぞ。
もうカニ関係ないじゃん。
正直その日のカニ料理は期待外れで終わった。
少なくともその時はそう思った。
だが僕はこの時の事を後になって死ぬほど後悔する事になる
うぅ…。
わあ〜!マイケルどうしたの?カニが…。
カニ?またあのカニが食べたい。
おやすみ。
(アスガーのいびき)
今になってあのカニの味が恋しくてたまらない。
あのおいしさの大部分を占めるのは食感だ。
半分液体で半分固体のあの捉えがたい感覚。
日本人の食感に対する意識は極めて洗練されている。
日本人は食べ物の舌触りを味と同じように重視し食感のきめ細かいニュアンスを大切にする。
例えばクラゲの奇妙なかみ応え餅のゴムみたいな感触…
(タイピングの音)
小豆のペーストや調理したサツマイモのパサついた食感でさえも…
日本人は喜ぶのだ。
食感に対する独自のセンスで
もう一度食べたい。
あのカニを…!食感のバリエーションとコントラストは今回の日本食べ歩き旅行で得た最大の発見だった。
僕はその後札幌を離れてからもあのカニの食感のフラッシュバックに悩まされ続ける事になる。
次にあのカニに出会ったらうんざりするまでとことん食べよう。
そう心に誓った
(トシ)あいつ眠れないほどカニの虜になっちまうとは…。
どうもマイケルの友人トシです。
どう?この夜景。
俺は今函館にいる。
なぜかって?それはもちろん…。
これだよこれ。
函館名物朝市だ。
俺もカニを狙ってここにやって来た。
港町・函館には近海ものを中心にたくさんの魚介類が集まる。
店の数はおよそ250。
道内最大級の朝市だ。
漁業が盛んな函館で最も水揚げ量が多いのがイカ。
生けすからすくい上げたばかりのイカをその場で刺身にしてくれる。
さっきまで泳いでいたから新鮮そのもの。
透き通った身はコリコリの食感。
肝の味も抜群。
しょうゆに溶かして食べるのが函館流だ。
え?カニがまだ出てこないって?そう慌てんな。
ほらほらいたぞ。
生けすの中にはタラバガニと毛ガニ。
さあてどちらから味わおうか。
実はこの時期オホーツク海では特別にうまい毛ガニがとれるんだ。
お父さん毛ガニはいい感じ?そうですね今身入りが最高です。
ねっ。
身入り100%ミソたっぷり。
何て呼んでんの?堅ガニです。
脱皮を繰り返して成長する毛ガニ。
脱皮の直前は身がパンパンに詰まり殻が堅くなるために「堅ガニ」と呼ばれている。
ゆでて食べるのがいちおしだ。
こんなふうに濃厚なミソを身にからめて食べる。
くう〜ったまらない!ここではタラバガニも外せない。
冷水でサッとしめ身のとろける食感と甘みを同時に楽しめるカニの刺身だ。
そして焼きタラバ。
香ばしい風味がクセになる。
これがオレ流の函館朝市カニのフルコース。
いけねぇもう一品忘れてた。
驚くなよ。
これだ!毛ガニが丸ごとのったみそラーメン。
更にエビイカホタテ朝市がこの一杯にある。
実はこの毛ガニ注文が入ってから仕入れに行く。
なぜか?朝市の中にある食堂なんでいつでもやっぱり新鮮なものを提供したいんで。
うれしいね〜。
でも毛ガニが売り切れていたら食べられない。
運も必要だ。
マイケルカニとみそラーメンお前の大好物が同時に味わえる。
どうだ食べたいだろ?
イタリア南部シチリア島。
2015/06/25(木) 00:40〜01:00
NHK総合1・神戸
アニメ 英国一家、日本を食べる「カニ、カニ、北海道」[二][字]
イギリス人フード・ライターとその家族が、日本に滞在して各地の料理や食材を食べ尽くす!?「和食」をテーマに、一家の100日に渡る日本珍道中を描くコメディ・アニメ。
詳細情報
番組内容
東京の暮らしにちょっと疲れてきたマイケルたちは、北の大地、北海道へ向かう。札幌に到着早々、観覧車に乗りたがる子どもたちをリスンに任せ、マイケルはひとり繁華街へと向かう。彼のターゲットは札幌名物の味噌ラーメンだった。限界までラーメンを満喫したマイケルは家族と合流し、さらにカニを食べるが、お腹がいっぱいなので味見だけと決めていた。しかし…
出演者
【声】竹本英史,満仲由紀子,広橋涼,徳山靖彦,滝藤賢一,荒井聡太
原作・脚本
【原作】マイケル・ブース,【翻訳】寺西のぶ子
監督・演出
【監督】ラレコ
ジャンル :
アニメ/特撮 – 国内アニメ
情報/ワイドショー – グルメ・料理
趣味/教育 – その他
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
日本語
サンプリングレート : 48kHz
2/0モード(ステレオ)
英語
サンプリングレート : 48kHz
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