タイムスクープハンター セレクション「江戸“婚活”最前線」 2015.06.24


え〜アブソリュートポジションN145W120E345S14。
ポジション確認。
アブソリュートタイムB0673258年34時85分36秒。
西暦変換しますと1803年3月6日9時21分。
無事タイムワープ成功しました。
コードナンバー314558。
これから記録を開始します。
沢嶋雄一。
彼はタイムスクープ社より派遣されたジャーナリストである。
あらゆる時代にタイムワープしながら時空を超えて名もなき人々を記録していくタイムスクープハンターである。
コードナンバー3145581803年江戸。
今回の取材対象者は仲人。
仲人といっても今の仲人とは趣が異なっている。
当時の仲人は相手探しに始まりお見合い式までをまとめて世話をした。
いわば結婚サービス業で収入として持参金の1割を礼金でもらっていた
この時代の人々にとって私は時空を超えた存在となります。
彼らにとって私は宇宙人のような存在です。
彼らに接触する際には細心の注意が必要です。
私自身の介在によってこの歴史が変わる事もありえるからです。
彼らに取材を許してもらうためには特殊な交渉術を用います。
それは極秘事項となっておりお見せする事はできませんが今回も無事密着取材する事に成功しました。
この界隈で評判の仲人だ。
良い縁を取り持ってもらおうと彼女のもとを訪れる者が後を絶たない。
吉右衛門25歳。
荒物問屋の跡取りである。
25歳でいまだに独身。
心配した父親がお梅にお見合いの段取りをお願いしたという
見た目の印象を良くするためお梅がアドバイスしていく。
ちなみに当時のモテる男の条件はご覧のとおり。
見た目の重要さは今も昔も同じである
そしていよいよお見合いに向かう。
当時お見合い場所として選ばれたのは水茶屋が多かった
江戸時代のお見合いとは今とどこが違うのか。
その様子をかいま見てみよう
相手は裕福な商家の娘19歳
当時のお見合いは当人同士が向き合うという形はとられない。
人のにぎわう所でたまたま出会ったという形をとり偶然の出会いを装っていた
だが吉右衛門は相手の顔を見逃してしまった
(吉右衛門)ですよね…。
えっ?
お見合いをうまく運ばせるのも仲人の重要な仕事だ
是非是非。
男性側が相手を気に入り異存がない時は女性に対し扇子を贈るしきたりがあったという
確かにお預かりしましたよ。
はい。
扇子を受け取るかどうか緊張の瞬間だ
この日吉右衛門の独身生活についに終止符が打たれた
めでたく吉右衛門さんにも縁が生まれました。
お梅さん。
はい。
さすがですね。
ええ。
そりゃありますよ。
どんな事ってねえ…。
かといってね若い人たちに情をかけていたんじゃまとまるもんもまとまりませんしね。
そんなお梅は独身である。
7年前町医者だった夫と死別。
仲人を引き継いだ
医者は診察などであちこちの家に出入りしその家の事情にも詳しかったためである
そのお梅にまた新しい依頼が入った
先延ばし先延ばしにしておりましたら…。
家柄にこだわれば婚期を逃しかねない
(お杉の父)あなた様のうわさを聞いたもんで。
今はそういう時代でございます。
依頼された条件は甲斐性のある真面目な男。
家柄は問わないというものだった
はい。
翌日早速お梅が動きだす。
向かった先は大挽町
どうも。
すいません突然にお邪魔して。
八兵衛。
お梅が昔からよく知る大工の棟梁だ
ご存じで?知ってるも何も…あら!そうですか。
何でよ。
八兵衛には同じく大工をしている28歳の一人息子がいる。
だが八兵衛は息子の結婚について気をもんでいた
まだそんな感じなの?あれはどういうもんだろうね。
てれかねぇ。
さあねえ…。
きっとあれさ。
そういうもんかね。
まあ俺としてもよ…だったらどうですかい。
そうねえ…。
なあお梅さん。
八兵衛が息子の結婚に心配するのも無理はなかった
お梅はその息子に直接縁談を持ちかける事にした
ちょっと来なさいよ。
おいちょっとちょっと何だよ。
いいから来なさいよ。
いい話なんだから。
何ならすぐに見合いを段取ったっていいんだよ。
だが事はそう簡単には進まない
そういうのいいかげんにしなさいよ。
自分で決めるっつって…そろそろおやじさん安心させてやんなさいよ。
ったくあんたは若い時分からそうなんだから。
分かったふうな口きくんじゃねえよ。
卯吉は親同士が決める結婚に反発している様子だ
子供じゃあるめえしよ。
そういうとこが子供だっつってんのよ。
あんたに何が分かるんだよ。
待ちなさいよ!
そんな難しい状況を調整し縁談をまとめるのが仲人の腕の見せどころ
八兵衛さんご存じでしょ?思い出しましたよ。
八兵衛さんとこは私も古いつきあいなんですけどね…おやじさんの後を継いで…まあその真面目さが災いして…
縁のある巡り合わせに父親の気持ちは盛り上がる
卯吉の気持ちを差し置いて話はどんどん進んでいってしまう
まずは大工仕事で忙しい卯吉抜きで顔合わせをする事になった
さあどうぞ。
(お杉の父)お久しぶりですな棟梁。
足元気を付けてね。
(八兵衛)狭苦しい所ですが。
まずは一献やりましょう。
お梅さん。
いやいや…お仕事を忙しくされるのが一番。
頼もしいじゃありませんか。
いやあ…。
さあどうぞ。
これはどうも。
どうぞ足崩して下さい。
俺も失礼して。
ヘヘッ。
伺っております。
私の口から言うのも何ですが…これは少し若いもんがだらしなさすぎる。
そのとおり!これは自慢じゃねえんですが…父親の私が言うのも何ですが…
親同士の相性は完璧だ。
第一関門は見事クリア。
だがお梅は少し不安になり始めていた
お見合いにかたくなな卯吉が気がかりになっていた
14の時かなあ大工継ぎてえなんて。
そしてこのあと不測の事態が巻き起こる!
大変だよ!
(八兵衛)どした?
(八兵衛)何だって!?まだ明るいじゃねえかよ。
知らないわよ。
都合が変わったんじゃないの。
遠出をしているはずの卯吉が予想より早く帰ってきてしまったのだ。
自分の知らないところでお見合い話が進んでいれば当然卯吉の怒りを買う事は間違いない
細かい事は後でゆっくり説明しますんでとりあえず今のところは帰って。
もう卯吉さんそこまで来てる。
(八兵衛)何だって!?この中入ってもらえます?ああお杉さん中で卯吉の面見てやってくれや。
ちょっと変わったお見合いって事で。
イテテテテ…。
急遽納戸に身を隠す事になったお杉一家とお梅。
狭い納戸の中から卯吉の顔をのぞき見るお杉
(八兵衛)なんでえ遅くなるんじゃなかったのかよ。
(卯吉)話になんねえや。
材がそろってねえだとよ。
一風変わったお見合いとなってしまった
(八兵衛)いや?何で?
(卯吉)何か酒くせえからよ。
おい卯吉ちょっと来い。
何だってんだよ。
いいからこっち来い!お前なあ。
その時卯吉が納戸に向かってきた。
緊張が走る
(八兵衛)出かけるのかよ。
(卯吉)こっちは汗だらけなんだぜ?
(卯吉)なんだよ。
(八兵衛)座れ。
いいから座れよ。
酔ってんのか?
酒の勢いも借りて再度説得に入る八兵衛
思い切って今回の縁談を切り出す
そこにお嬢さんいるんだ。
知らねえよ。
はあ?そのお嬢さんと会えって言ってんだよ。
何だそれ。
ところが卯吉は全く耳を貸そうとしない
は〜…ったく。
おい卯吉お前なあ…縁談の話が来てるうちが若えうちが華だろう。
卯吉!一生独り身でいるつもりかよお前。
早く帰ってくるとろくな事ねえな!
そしてついに…
(卯吉)風呂だ風呂!
(八兵衛)おい卯吉!おい!うわっ!すいません…。
お梅にとって前代未聞のお見合いになってしまった
これはお初にお目にかかります。
若狭屋の主人でございます。
(八兵衛)どういう事ってこういうこったよ。
ちょうどいいやお前。
お前説得する手間が省けた。
なあ。
卯吉。
しかし卯吉の怒りが爆発する
仲人として何とか破談にだけはしたくない。
お梅は卯吉への説得に向かった
卯吉さんちょっと待ってよ!分かってる…。
だからごめんって!だけどさあんただってそろそろ…そう言うけどな…「へい分かりやした」って…何言ってんの。
うまくまとまりゃ…ちょっと…!
(卯吉)何を偉そうに。
どこぞの小金持ちの女なんか連れてきやがって。
あんたさ…それでいいの?いいわけじゃねえ。
じゃあ何?まず親方にそう言いなさいよ。
できねえよ…。
何言ってんの子供じゃあるまいし。
じゃあいいわよ。
そしてこのあと父が持ち込む縁談を断り続けた訳が明らかにされる
もじもじしないで言いなさいよ!えっ?
突然の告白に戸惑うお梅
だってそんな…。
だって…。
それより何より…大丈夫だ。
なっ?いやちょっと…。
えっ?ねえちょっと待って…!あっすいません。
いや居てくれよ。
えっ?なっ?
事態は予想外の方向に進む事になった
(卯吉)おやじ!
(八兵衛)お前承知しねえぞ!恥かかせやがってよ。
おい入れよ。
入れって!
(卯吉)いいだろ?問題ねえだろ!?
(ため息)当たりめえだろ。
上がんな。
(八兵衛)上がんなって。
(ため息)
結局卯吉とお梅の結婚が許された。
数日後結納が交わされその4日後結婚式が行われる事になった
え〜これから結婚式が執り行われるようです。
お梅が再婚である事から式は質素に行われた。
当時嫁入りは日暮れに行われる事が多かった。
それは陰陽道に由来する。
女性は陰であるとの考えから同じく陰である夜が嫁入りに適するとしていたのだ。
また「結婚」の「婚」の字に「黄昏」の「昏」の字が使われているのはそれに由来するという説もある
(お梅の母)よかった…。
(お梅の父)ねえ。
式は滞りなく行われた
はい。
何つうかな…。
何て言うか…。
江戸時代後期町人の間には自由な恋愛が芽生え始めていた。
家同士のつながりを重視した武家の結婚よりも恋愛が価値を持ち始めていく事となる。
時代時代によって結婚の形は変化してきた。
だがそんな理屈とは無関係に人を好きになる情熱はいつの時代も変わらない
え〜以上コードナンバー314558アウトします。
沖縄の真っ青な海沿いを走る国道58号線。
2015/06/24(水) 01:40〜02:10
NHK総合1・神戸
タイムスクープハンター セレクション「江戸“婚活”最前線」[字]

「タイムスクープハンター」のアンコール放送。時空ジャーナリストの沢嶋雄一(要潤)は江戸時代の仲人さんに密着取材。現代とは、大きく異なる江戸の“婚活”事情に迫る。

詳細情報
番組内容
今回の取材対象は、江戸時代の仲人と良縁を求める若き男女たち。現代では夫妻ふたりで男女の仲をとりもつのが、通常である。しかし、江戸時代においては、女性1人か男性1人で行っていた。仲人のお梅さんは、何十組もの結婚を仲介し“縁結びの達人”と評判だった。とにかく男女を引き合わせるのが大好き。そんなお梅のもとに大工の卯吉(うきち)のお見合い話が持ち込まれる。現代とは大きく異なる江戸の“婚活”事情をリポート。
出演者
【出演】要潤

ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – 歴史・紀行
ドラマ – 国内ドラマ
バラエティ – その他

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz

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