(マイケル)
これは極東の国日本を訪れた我々家族の100日間の冒険の物語。
我々の目的は寺院巡りでも秋葉原でのショッピングでもない。
我々の最重要課題それは…
日本を食べ尽くす事だ。
(アナウンス)誠に申し訳ございません。
現在車間距離が狭くなった関係で電車が2分ほど遅れております。
皆様には大変ご迷惑をおかけしておりますが今しばらくお待ち下さい。
(アスガー)たった2分の遅れなんてわざわざ謝らなくていいのにね。
何でみんなイライラしてるの?これが国民性ってやつさ。
イギリスじゃ電車が遅れるなんて当たり前の事だが日本じゃ許されない事なんだ。
でもどうして?別に2〜3分遅れたところで何も変わらないじゃん。
とある文化人類学者が言っていた。
せっかちである事はしばしば日本人の特徴の一つと考えられるとね。
(エミルのあくび)明日は朝早くから市場に行くから少しでも早く寝たいんだがねぇ。
(リスン)そろそろ35分よ。
まだかしらねぇ。
まあ待とうじゃないか。
我々まで日本人みたいにせっかちになる事はない。
遅いな。
(アナウンス)誠に申し訳ございません。
現在隣の駅で車両点検をしている関係で電車の到着が5分ほど遅れております。
今しばらくお待ち下さい。
パパイライラしてるの?い…いや。
パパは全然イライラしてないぞ。
ハハッフッフフフッヘッヘッヘッフフフッフ…。
(アキラ)ここが東京都中央卸売市場通称・築地市場です!私本日この市場を案内するアキラです。
どうぞよろしく!今日はよろしくお願いします。
私はすし屋を経営してましてね毎日こうして築地市場に来て魚を仕入れてるんですよ。
今日はうちの仕入れに同行する形でじっくり見学して下さい。
あ〜!もうこんな時間だ!早く行きましょう!さあさ急いで!あの…。
パパあの人もせっかちな日本人だね。
何ボーッとしてるんです?こうしている間にも魚の鮮度が失われていくんですよ!さっさと行きましょう!ここ築地市場は私ら都民の胃袋を満たす巨大総合市場です。
一般には国内外から水産物が集まる世界最大級の市場として有名ですね。
外側には場外市場というものもありましてかつお節や昆布など旅行者の方が手軽にお土産を買って頂くには便利ですよ。
(匂いを嗅ぐ音)こう言っちゃ何だがあまり魚臭くないんですね。
分かります?築地市場が魚臭くない理由それはここに集まる食材がどれも新鮮なものばかりだからですよ。
だから匂いと言えば海の匂いくらいしかしないんです。
毎日1800トン余りの水産物がやり取りされてるっていうのにね。
1800トンってどのくらい?そうだな〜パパが大体80キロだからパパが22,500人くらいかな。
1800トンって気持ち悪いんだね。
ここに入る前に言っておかなくてはいけない事があります。
ん?言いにくい事ですが最近は一部の外国人観光客が悪さをしてみんな困ってるんです。
場内で売り物に触ったり勝手にトラックに便乗したりね。
それはよくないな〜。
アスガーエミルお行儀よくするんだぞ!ここで悪さをすると太刀魚の切り身って事にされて売り飛ばされてしまうかもしれないからな。
いくらで売られるの?冗談に決まってるだろ。
うわっ。
気をつけて下さいね。
ここではあの運搬用のトラックの方が人間より偉いんです。
歩行者の方が道を空けなければいけません。
これが築地市場です。
中に入ったら自分の身は自分で守らなければいけないんです。
2人とも危ないから離れちゃ駄目よ。
わっ!は〜い。
おお〜。
すげぇ〜!すげぇ〜!エミルこっち来てみろ!ほらマグロのメンタマだ!でかっ!ねぇねぇこれは何?これはハマグリです。
日本海の敦賀湾でとれたものみたいですね。
わっ。
アハハ。
(笑い声)楽しそうね。
子供にとっては少し変わった水族館みたいなものだからな。
うわっ大きい!これは?ムール貝ですね。
愛知県でとれたものです。
エミルの顔くらいありそうだよ。
ほら!なかなか食いでがありそうだな。
これは…。
分かった!ウニだ!そう!よく分かったね。
よかったら味見するかい?えっいいんですか!ほらマイケルさん!えっ…。
いや…僕はちょっと…。
おいしいですよ?あんまりおなかがすいてなくて。
あなたせっかくだから頂いたら?あれは卵じゃなくて生殖腺なんだぞ。
昔パリで一度だけ食べた事があるがまるでトイレの洗剤みたいな味だった。
トイレの洗剤なんて食べた事あるの?いやないけど…イメージだよ。
日本料理の神髄を学びに来たんでしょ?ここで食べないのはおかしいよ!そ…それはそうだが…。
何を迷ってるんですか!時は待ってはくれません!こうしている間にも地球は回り世界は動き続けそして何よりもウニの鮮度が失われていくんです!さあ早く!ちょ…ちょっと待って。
そうせかさないで…。
あ〜!鮮度が!鮮度がぁ〜!うぅ〜…。
(トイレが流れる音)うぅ〜…。
(匂いを嗅ぐ音)早く!ん?ん?ん?はぁ〜…!どうです?うまい!パリで食べたものとはまるで別物だ。
コクがあってクリーミーでパリの時みたいなアンモニア臭もまるでしな〜い!そうでしょうそうでしょう。
(エミル)いろんな魚がいるね。
これはアジだろ。
でこれは…えっと〜…。
(アキラ)すいませんこのタイをもらいたいんですが。
(業者の男性)あいよ!
(4人)あぁっ!あの〜死んだ魚に針金を刺してどうするんだい?ああおいしさを保つテクニックです。
保留の状態と言いますか凍らせるようなものでこうして新鮮さを保つんですよ。
(鐘)…おっとまずいまずい!そろそろマグロのセリが始まりますよ。
行きましょうか!ねぇねぇ「保留」ってどういう事?セリって何?
(マイケルのせきばらい)よしとりあえず行ってみるか。
いわば魚のオークション。
ここ築地では揚げられたマグロの買い手を決めるために毎日のようにセリが行われている。
過去にはたった1匹のマグロに1億円以上の値がついた事もあるのだ
一番人気があるのは本マグロですよ。
特におなかの部分の一番頭に近い辺りにある大トロは脂がのっていてもう絶品です!でも昔の日本人はマグロの脂身は食べなかったらしいですね。
そうです。
よく知ってますね〜。
第2次世界大戦が終わってアメリカの食文化の影響を受けるようになってから日本人の魚の好みがこってりとした脂身に傾いたんですよ。
それまではマグロの脂身をよく猫の餌にしていたそうです。
今考えるともったいない話ね。
肉牛のロースだけ捨ててるようなもんだからな。
(アキラ)今みたいな夏の本マグロは北海道の近海でとれるんですがこの時期のマグロはイカばかりを餌にしているのでとにかくおいしいんです。
輸入物には地中海やメキシコの近海で養殖されたものもあるんですよ。
へえ〜。
つまり…。
日本ではマグロの卵を人工ふ化させて育て更にその成魚から卵を取って人工ふ化させるという今まで不可能とされていた完全養殖の技術を確立しています。
ただ大量生産への道のりはまだまだ険しいようです。
しかし大量生産に成功すれば何年かあとには完全養殖のマグロが主流になる時代が来るかもしれないわけか。
それもすごい話ですね。
あっ!そろそろセリが始まりますよ!
(鐘)
(セリ人の声)あぁ…彼らはその…お経でも唱えてるのかな?ああえっと…それは…実のところ私も何を言ってるのか分からないんです。
日本人の私が分からないんですからマイケルさんたちに分かるはずがありませんよね。
なるほど。
まるでここだけ別の国だな。
(リスン)ほんと。
何だか不思議な場所ね。
ああ一度見たら忘れられない光景だな。
今日は本当にありがとう。
おかげでより一層日本の食文化の事が分かった気がします。
こちらこそとても楽しかったです。
マイケルそろそろ出ないと新幹線に間に合わなくなるわ。
ああ。
日本に来た時にはまたここを見に来よう。
そうね。
残念ながらそれは無理かもしれません。
(2人)え?築地市場は別の場所に移転する事が決まっているんです。
そうなんですか。
ひどい話ね。
とっても歴史を感じる場所なのに。
フゥ〜!やっほ〜い!ヘヘヘッ!お…おいあのトラック!子供が乗ってるぞ!アスガー!エミル!待て〜!お前たち〜!イェーイ!わ〜い!アッハッハッハ!アハハッアハハッ!パパを…パパを…なめるんじゃな〜い!お行儀よくしろって言ったのに…。
あぁっ!これはこってり搾られますよ。
はぁ…。
パパもう疲れたよ〜。
誰のせいでこんなにギリギリになったと思ってるんだ!大丈夫だって。
こないだだって電車遅れてたじゃん。
ブツクサ言わずに走るんだ!ほら!
(発車のベル)
(アナウンス)こだま号名古屋行き発車いたします。
黄色い線の内側までお下がり下さい。
ちょっと待って!
(アナウンス)ドア閉まります。
ちょっとだけぇ〜!あぁっ!あ〜!ん?フッ。
時間ぴったりだ。
本当にせっかちだな日本人は。
シェフをやっているマイケルの友人・トシです。
築地市場は朝4時。
お前仕入れに来たのかって?フッ…そうじゃない。
何でも築地市場で働く仲卸の連中が仕事前にうまいものを食べる店があると聞いてやって来た。
ここだな。
仲卸ってのはすし屋のアキラのようなプロを相手に食材を売るプロのためのプロだ。
何が出てくるのか…。
(マスター)はいお待ちどおさまです。
正解はクリームシチュー。
しかも半熟卵入り。
しっかり栄養をつけてほしいというマスターの計らい。
仲卸の寝起きの体を温める一品だ。
このお父さんは鮮魚の仲卸。
35年も前から通う常連さんだ。
ハハッうまそうに食ってる。
これ食べるとねほんとトーストが食べたくなっちゃう。
え?トースト。
あっトーストね。
パンこうつけて食べるとうまいんだよね。
お父さん意外に洋食派だねぇ。
ハハハッ。
この方は青果の仲卸。
セリを前に食べるシチューが活力源なんだって。
これうまいねぇ。
これ食べてると結局…他のもの食べるよりも結局元気が出るし。
これ食べないと仕事が進まないから。
築地市場を支えてる温かいこの一杯。
ごちそうさまね!いってらっしゃい!築地市場で働く仲卸。
水産だけで店舗数は600以上。
マグロをはじめカツオやタイ築地で取り引きされる水産物はおよそ480種類にも及ぶ。
俺にもなじみの仲卸がいる。
今日は仕入れに来たわけじゃないが会いに行ってみるか。
ここだ。
ようっ大将!あっトシさん毎度。
熊川正朗さん。
マグロを中心に魚を扱う仲卸の3代目。
この道20年のベテランだ。
今包んでいるのは大トロ。
割烹から町の魚屋まで一日30軒もの注文が舞い込む。
じゃあトシさん飯行きましょうか?さっき食ったばかりだけどもういっちょいくか。
ラーメンにうなぎにトンカツ人気の店が軒を連ねる。
じゃあ若いつものお願いします。
はいかしこまりました。
食べに来たのは江戸前ずし。
そして握ってくれたのは大トロだ。
うまいかい?バッチリです。
そうこのマグロは熊川さんから仕入れたもの。
この店はすしネタごとに仕入れる仲卸が違う。
10社以上と契約していていいネタが入ると連絡が入る。
毎日最高のすしを提供するためだ。
自信のある魚しかお客さんには出さないですよ。
マイケルこれぞ魚屋のための魚屋。
すごいだろ?2015/06/23(火) 16:05〜16:25
NHK総合1・神戸
アニメ 英国一家、日本を食べる「魚屋の魚屋」[二][字][再]
イギリス人フード・ライターとその家族が、日本に滞在して各地の料理や食材を食べ尽くす!?「和食」をテーマに、一家の100日に渡る日本珍道中を描くコメディ・アニメ。
詳細情報
番組内容
東京都民1300万人の胃袋を満たす東京中央卸市場・築地市場。水産物については世界最大級の規模を誇り、日々世界各地からやってくる水産物が取引されている。マイケルたちは、この築地市場に、すし屋のアキラに連れられて見学にやってきた。活気に満ちた市場の中で見るもの全てが珍しく、一家の気分は高揚していた。
出演者
【声】竹本英史,満仲由紀子,広橋涼
原作・脚本
【原作】マイケル・ブース,【翻訳】寺西のぶ子
監督・演出
【監督】ラレコ
ジャンル :
アニメ/特撮 – 国内アニメ
情報/ワイドショー – グルメ・料理
趣味/教育 – その他
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
日本語
サンプリングレート : 48kHz
2/0モード(ステレオ)
英語
サンプリングレート : 48kHz
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